C05犬種・猫種別ケア
イングリッシュセッターと暮らすなら知っておきたい、耳の汚れの話
イングリッシュセッターの耳を手のひらに乗せて、いちばん下の位置を指でたどると、耳そのものの先で終わりません。そこからさらに数センチ下に、細い絹のような毛の先があります。この犬種の耳には、耳の輪郭を超えて垂れる長い毛が付いています。ここで一度、汚れの出どころを考え直してみてください。草、土、床、水。外にあるものに先に触れているのは、耳ではなく毛の先のほうです。毛の先に付いた汚れは、そこに留まりません。毛を伝って上へ移り、耳の縁や内側に触れる位置まで戻ってきます。つまり、耳の汚れには「耳が触れてその場で汚れた」ものと、「毛の先が汚れて、あとから耳へ戻ってきた」ものの2種類があります。この記事では、その2つを並べて比べます。
耳の先より下に、毛の先が来る|イングリッシュセッターの耳の汚れが始まる条件
イングリッシュセッターは、背の高い中型から大型の犬種です。立っているとき、その子の耳は地面からかなり離れたところにあります。この体格のままなら、耳が外のものに触れる機会はそれほど多くありません。ところが、この犬種は鼻を低く保って野を歩き、においをたどる仕事をしてきました。頭を下げている時間が長い犬です。頭が下がると、地面までの距離は一気に縮みます。
そのとき、地面にいちばん近いのは何かを考えてみてください。耳は頬に沿って垂れています。その耳の外側から下端にかけて、細く長い絹のような毛が生えています。この毛は、耳の先端よりさらに下まで伸びています。だから、高さの順序はこうなります。地面がいちばん下で、その次が毛の先、そのうえに耳の先、いちばん上が耳の付け根。外にあるものに最初に触れるのは、いつも毛の先です。
この順序は、家の中でも変わりません。床のにおいを取るとき、水を飲むとき、体を伸ばして伏せるとき。頭が下がるたびに、毛の先だけが先に何かへ届いています。耳のほうは、そのすぐ上で止まっています。イングリッシュセッターの耳の汚れを考えるときは、まずこの高さの関係を頭に入れてください。
- 毛の先は、耳の先より数センチ下にある:どちらが先に触れるかが、これで決まります
- 体格があるので、立っているあいだは何にも触れない:触れるのは頭を下げたときだけです
- 鼻を低くして歩く時間が長い:頭が下がっている時間が、そのまま触れる時間になります
- 毛が細く、絹のような手ざわり:付いたものを、面ではなく1本ずつ抱えます
- 毛は耳の付け根から下へ向かって生えている:先に付いたものが、上へ移る道になります
- 体を振ると、毛の先が耳の内側へ当たる:戻ってくるときの入り口です
最後の2つが、この記事の中心です。毛は耳の付け根から下へ向かって生えているので、毛の先に付いたものは、毛を伝って上へ移動できます。移動しなくても、その子が体をぶるぶると振れば、毛の先は勢いよく跳ね上がって耳の内側に当たります。毛の先で受け止めた汚れが、耳へ戻ってくる。イングリッシュセッターの耳の汚れの多くは、この道すじで起きています。
汚れは見つけた場所に付いているので、そこで起きたことのように見えます。けれどイングリッシュセッターの場合、汚れが見える場所と、外のものに触れた場所は同じではありません。耳の内側に土が付いていても、その土が土に触れたのは毛の先です。ここを分けて考えないと、耳ばかり拭いて、拾ってくる側には一度も手を入れないままになります。
その場で汚れるのか、あとから戻るのか|イングリッシュセッターの耳の汚れを比較する
2つの経路を、同じ項目で並べます。片方は、耳そのものが何かに当たって、当たった面がその場で汚れるもの。もう片方は、毛の先が当たって、その汚れが遅れて耳へ戻るものです。比べるのは「どちらが多いか」ではなく、拭いたあとに戻ってくるかどうかです。戻ってくる側に手を入れないかぎり、拭く回数を増やしても同じところに戻ります。
| 耳が触れて、その場で汚れる | 毛の先が触れて、耳へ戻る | |
|---|---|---|
| 最初に触れるもの | 耳の外側の面そのもの | 耳の先より下に垂れた毛の先 |
| 起きる場面 | 耳が人の手・家具・床に直接当たったとき | 頭を下げて歩いたとき、体を振ったとき |
| 汚れが付く場所 | 触れた面と同じ | 耳からいちばん遠い、毛の先 |
| 汚れが見える場所 | 触れた場所と同じ | 耳の縁や内側。触れた場所とは違う |
| 見えるまでの時間 | その場で見える | 毛を伝う、あるいは跳ね上がるぶん遅れる |
| 拭く場所 | 触れた面を拭けば終わる | 耳を拭いても、毛の先が残れば戻る |
| 拭いた翌日 | 戻らない | 毛の先が汚れたままなら、また戻る |
| 起きる頻度 | 少ない。体格があるぶん機会が限られる | 頭を下げるたび。1日に何度も |
| 換毛期の動き | 大きく変わらない | 抜けかけた毛が絡み、汚れを抱えたままになる |
表を見ていくと、2つの経路は「拭いた翌日」の行ではっきり分かれます。その場で汚れたものは、拭けば終わります。戻ってくるものは、拭いた場所がきれいになっても、汚れを持っている側がそのまま残っているので、時間がたてば同じところへ現れます。イングリッシュセッターの耳の汚れで「毎日拭いているのに変わらない」と感じるときは、たいてい右側の経路が動いています。
もうひとつ、頻度の行も見ておいてください。耳そのものが何かに触れる機会は、この体格ではそれほど多くありません。床に頭をつけて眠るとき、人の手が当たるとき、狭い場所を抜けるとき。数えられる程度です。一方で、毛の先が何かに触れる機会は、頭を下げるたびにあります。散歩の1時間で何十回にもなります。回数の差がそのまま、どちらの経路が主役かを決めています。
皮脂についても触れておきます。耳の付け根の側には皮脂が出るので、そこにたまるものは外から来た汚れとは別のものです。外から来た汚れは毛の先の側に、皮脂は付け根の側にたまります。同じ耳の中で、上と下では性質の違うものが集まっているということです。この2つを混ぜて「耳の汚れ」とまとめてしまうと、手を入れる場所が決まりません。
触れた場所と汚れた場所がずれる|イングリッシュセッターの耳の汚れの見分け方
どちらの経路が動いているかは、家で確かめられます。手がかりは、触れた場所と汚れた場所がそろっているかどうかです。そろっていれば、その場で汚れたもの。ずれていれば、毛の先から戻ってきたものです。次の4つを順にやってみてください。全部で2〜3分です。
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耳を持ち上げて、外側の面と内側の面を分けて見る
外側は、耳が直接何かに当たる面です。内側は、ふだんは頬に向いていて外のものに当たりません。内側だけが汚れているなら、耳が直接触れて付いたものではありません。イングリッシュセッターでこの見え方をしているときは、毛の先から戻ってきたと考えて先へ進みます。
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毛の先を10本ほど束にして、白い布ではさんで下へ引く
布に何が残るかを見ます。土、細かい草、乾いた泥、うっすらとした色。耳の内側の汚れと同じものが布に付いたら、出どころは毛の先です。何も付かないのに耳だけが汚れているなら、別の経路を考えます。布は白か淡い色のものを使ってください。
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耳の内側だけを拭いて、24時間後にもう一度見る
毛の先には手を入れずに、耳だけを拭きます。翌日に同じ場所が同じように汚れていたら、供給側が残っているということです。戻ってこなければ、その場で付いた汚れだったことになります。この1回のテストが、いちばんはっきりします。
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その子が頭を下げる場面を、横から1回だけ見る
散歩中でも、家で床のにおいを取っているときでも構いません。毛の先が地面や床に届いているか、耳の先は届いていないかを、目で確かめてください。イングリッシュセッターの体格だと、この2つがはっきり分かれます。届いている側が、汚れを受け取っている側です。
| 確かめたこと | そろっている(その場で汚れた) | ずれている(毛の先から戻った) |
|---|---|---|
| 汚れている面 | 耳の外側 | 耳の内側や縁 |
| 白い布に付くもの | ほとんど付かない | 耳の汚れと同じものが付く |
| 拭いた24時間後 | 戻ってこない | 同じ場所に同じように出ている |
| 頭を下げたとき | 耳の先も何かに触れている | 毛の先だけが届いている |
| その日にすること | 触れた面を拭くところまで | 毛の先の側に手を入れる |
毎日やる必要はありません。白い布ではさんで引く、というのを週に1回だけ決めておけば十分です。布に付くものは季節で変わります。春から夏は草の細かいかけら、雨の多い時期は乾いた泥、換毛期は抜けかけた自分の毛。イングリッシュセッターの耳の汚れは、この布の上に先に現れます。耳の中を毎日のぞき込むより、こちらのほうが早く分かります。
耳を拭くのが先か、毛の先を止めるのが先か|イングリッシュセッターでどっちを選ぶか
見分けがついたら、手を入れる場所を決めます。戻ってくる経路が動いているなら、先に触るのは耳ではなく毛の先です。順番が逆になると、拭いた直後の耳に、汚れたままの毛の先が当たります。せっかく拭いた面に、その場でもう一度戻すことになる。イングリッシュセッターの毎日のケアで、いちばん結果が変わるのはこの順番です。
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帰ってきたら、毛の先だけを下へ向かって滑らせる
湿らせた布で、耳の付け根の側から毛の先へ向かって、握らずに滑らせます。向きは必ず上から下です。下から上へ動かすと、汚れを耳の側へ運ぶことになります。細く絹のような毛なので、力はほとんど要りません。左右で30秒ずつ。この段階では耳には触りません。
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毛の先が乾いてから、耳の内側の見える範囲を拭く
毛の先が濡れているうちに耳を拭くと、そのあと体を振ったときに水と一緒に戻ります。乾くまで待ってから、耳の内側の目で見える範囲だけを拭いてください。奥は家で触る場所ではありません。見えないところまで指や綿棒を入れないでください。
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週に1回、目の粗いコームで毛の先からとかす
耳の飾り毛は細くて絡みやすいので、根元から入れずに毛先から少しずつ上がります。絡んだままの毛は、汚れを抱えたままになります。ブラッシングは毛を整えるためだけでなく、汚れを抱える場所をなくすためでもあります。この犬種の被毛は全体に絹のような手ざわりなので、耳だけ特別な道具は要りません。
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換毛期は、毛の先を見る回数だけ増やす
抜けかけた毛が飾り毛の中に留まると、そこが汚れの受け皿になります。換毛期に増やすのは、拭く強さではなく、見る回数のほうです。1日1回だった確認を、朝と帰宅後の2回にする。時期が終わったら回数も戻します。この期間だけ、毛の先の絡みが早く進みます。
| 起きている経路 | 先に触る場所 | 耳をどうするか |
|---|---|---|
| その場で汚れる(耳が触れた) | 耳の外側の、触れた面 | 拭けば終わり。毛の先は触らなくてよい |
| 毛の先から戻る | 毛の先。上から下へ滑らせる | 毛の先が乾いてから、内側の見える範囲だけ |
| 両方が同時に起きている | 毛の先が先。耳はあと | 順番を守れば、拭く回数は増やさなくてよい |
| どちらでも説明がつかない | 手を止める | 動物病院に相談する |
同じ場所が戻ってくると、つい1日2回、3回と拭く回数を増やしたくなります。けれど、汚れを持っている側が残っているかぎり、回数を増やしても戻る間隔が短くなるだけです。そのうえ、耳の内側をくり返しこすると、必要な皮脂まで取ってしまいます。イングリッシュセッターの耳では、拭く回数より、毛の先を先にするという順番のほうが効いてきます。
毛の先に手を入れるとき、何を含ませるかも決めておけます。その日、毛の先がどこまで届いたかは、白い布ではさんで引いた人にしか分かりません。飼い主が確かめに行くまで、飾り毛は誰にも見られていない場所です。そこへ何かを足すなら、翌週の布を読めなくしないものであることが先に来ます。mofuwa スキンケアミストは無香料です。この記事はにおいを手がかりのひとつに数えているので、ここは外せません。香りのあるものを飾り毛に足すと、次に布へ付いたにおいが、こちらが足したものなのか、毛の先が拾ってきたものなのかを分けられなくなります。使い方は、布に含ませてから、耳の飾り毛を付け根から先へ一方向に滑らせるところまで。往復させると、いま滑らせた先の汚れを付け根側へ戻します。耳の内側や、その子が気にしている場所には直接吹きかけないでください。
2つの経路のどちらでも説明がつかない耳の汚れ|イングリッシュセッターで手を止める線
ここまでは、毛の先と耳の高さの関係で説明のつく汚れの話でした。毛の先を先に触る順番にしても、同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、飾り毛の条件だけでは説明がつきません。家での手順を増やす前に、いったん手を止めます。
- 毛の先には何も付いていないのに、耳の内側だけが汚れる:外から来たものではない可能性があります
- においが先に出てくる:見える汚れより、においのほうが早い変わり方をしています
- 左右で汚れ方がはっきり違う:同じ環境で同じだけ頭を下げているのに、片側だけ違うとき
- 耳を気にする回数が増えた:頭を振る、後ろ足でかく、床にこすりつける
- 耳を持ち上げると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、その場で手を止めてください
- 耳の中が湿っている状態が続く:拭いたあとに乾く時間が取れているかを見てください
耳のにおいが強くなった、耳の中が赤い、頭を振る回数が増えた、耳を持ち上げると痛がる、耳の中が湿ったままになっている、片側だけ様子が違う、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、拭く回数を増やす前に動物病院にご相談ください。イングリッシュセッターは耳が垂れていて中が見えにくいので、外から分かる変化に気づいた時点で相談するほうが確実です。迷ったら早いほうを選んでください。
相談に行くときは、いつからか、どちら側か、その週に毛の先へ手を入れたかどうかの3つを伝えられるようにしておいてください。前の晩に念入りに拭いてしまうと、もとの状態が分からなくなります。毛の先も耳も、そのままの状態で連れて行くほうが役に立ちます。白い布に付いたものが残っていれば、それも持っていくと話が早くなります。
最後にもう一度整理します。イングリッシュセッターの耳には、耳の先より下まで垂れた毛があります。頭を下げたとき、外のものに先に触れるのはその毛の先で、耳ではありません。だから耳の汚れは、その場で付いたものと、毛の先から遅れて戻ってきたものに分かれます。拭いた翌日に戻るかどうかで、どちらかが分かります。戻る側なら、先に触るのは毛の先。この順番ひとつで、毎日のケアの手数は増えないまま、耳の汚れの戻り方が変わります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- イングリッシュセッターの耳の飾り毛は、短く切ってしまってもいいですか?
- 切る前に、その毛が何をしているかを一度考えてみてください。飾り毛はもともと、草や地面から体を守るために付いている毛です。短くすれば汚れを拾う量は減りますが、耳そのものが直接触れる機会は増えます。切るかどうかを決める前に、まず毛の先を上から下へ拭く順番を1〜2週間続けて、それでも戻るかどうかを見てから判断するほうが確実です。
- 耳の中まで洗ってしまったほうが、汚れは減りませんか?
- 家で耳の奥まで触るのはおすすめできません。見える範囲を拭くところまでが家でできることで、その先は動物病院やトリミングサロンの領域です。イングリッシュセッターの場合、外から来る汚れの入り口は耳の奥ではなく毛の先なので、奥へ手を伸ばすより、毛の先を止めるほうが結果につながります。
- 換毛期以外でも、耳の毛だけがよく絡むのはなぜですか?
- 耳の飾り毛は細くて長く、頭を振るたびに大きく動きます。動いた毛どうしがこすれると、そこから絡みが始まります。首輪やハーネスの縁に当たっている場合も、同じ場所で絡みが繰り返されます。週に1回、目の粗いコームで毛先から上がっていくだけで、絡みが汚れを抱え込む前にほどけます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
