C02技術・エビデンス

次亜塩素酸は濃度とpHで別物になる

公開日 2024年9月8日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の木の床に座っている、淡い色の猫
同じ名前で並ぶ2本は、数字を1つ見ただけでは比べられません。写真:Arina Krasnikova/Pexels

ペット用品の棚に、次亜塩素酸と書かれたボトルが3本並んでいました。50ppm、200ppm、そして数字の書いていない「弱酸性」の1本です。3本とも、同じ言葉を大きく刷っています。濃度の数字が並んでいれば、高いほうが強いのだろうと読みたくなります。ところが、この3本を濃度だけで並べることはできません。同じ濃度でも、水のpHが違えば、その水の中で次亜塩素酸の形をとっている量が変わってしまうからです。つまみが2つあって、片方だけを見ている状態になっている。この記事では、なぜ濃度という数字が単独では条件にならないのか、その性質が家での使い分けに何をもたらすのか、そして電気分解でつくる水がこの話のどこに立っているのかを、順に書いていきます。お風呂の温度と湯の量を思い出しながら読んでください。

棚の前で止まる経験|次亜塩素酸の濃度を見比べようとしたとき

その3本を手に取って、裏のラベルを読み比べたところで止まったという経験は、めずらしくありません。50ppmの1本には「使うときは薄めずに」と書いてあり、200ppmの1本には「用途に応じて薄めて」とあります。薄めて使うということは、手元に届く濃度は買った人が決めることになります。3本目には数字がなく、代わりに「弱酸性」と書かれています。並べた3つの表示は、それぞれ違う種類のことを言っていました。

お風呂で考えると分かりやすい場面です。給湯器の表示が42℃でも、浴槽に張った量が半分なら、入ったときに感じる熱さは違います。追い焚きを止めてから30分たっていれば、また違う。42℃という数字は、湯量と時間とセットになってはじめて、あのお風呂を言い表せます。次亜塩素酸の濃度も、同じ性質の数字です。1つだけ取り出すと、何を指しているのかが決まりません。

犬や猫のまわりで次亜塩素酸という言葉を見る場面は、たいてい床・トイレまわり・ケージ・食器のあたりです。体に吹くものとして置かれていることもあります。どちらにしても、飼い主が棚の前で確かめられるのは、ラベルに書かれた文字だけです。だから、その文字が何を言っていて何を言っていないのかを先に決めておくほうが、迷う時間が短くなります。この記事が扱うのは、その読み方の側です。

念のため、記事の立ち位置を書いておきます。ここでは、どの濃度なら使ってよいという線を引きません。その線は、その製品をつくった人と、その子を診ている人が持っています。書くのは、濃度という数字の性質と、2本を比べようとしたときに何が起きるかまでです。他社の製品を落とす目的でもありません。

濃度が同じでも別物になる理由|つまみが2つある液体だから

塩素の仲間が溶けた水の中では、次亜塩素酸という形と、そのイオンの形が、混ざって存在しているとされています。どちらか一方だけになることはなく、割合だけが動きます。そして、その割合を動かしているのがpHです。酸性の側に寄っていれば次亜塩素酸の形が多く、アルカリ側に寄るとイオンの形が増えていきます。同じ水の中で、内訳だけが入れ替わります。

ここで、ラベルの濃度が何を数えているかが問題になります。有効塩素濃度と書かれた数字は、塩素の仲間をまとめて数えたものとされています。つまり、有効塩素濃度が同じ2本でも、pHが違えば、次亜塩素酸の形をとっている量は違います。濃度というつまみと、pHというつまみが、独立に動く。だから「濃度が同じだから同じもの」とは言えません。

同じ濃度の2本を、pHだけ変えて並べたとき 有効塩素濃度が同じでも、pHが違えば水の中の内訳が変わります。2本の試験結果を並べて比べられない理由が、ここにあります。 どちらが良い・悪いという比較ではなく、条件がそろわないという話です 酸性の側に寄った1本 有効塩素濃度は同じ数字 次亜塩素酸の形の割合が高い 用途欄は道具・環境が多い 試験条件のpHが書かれている 中性より上に寄った1本 有効塩素濃度は同じ数字 イオンの形の割合が上がる 用途欄は漂白や器具のものも 同じ秒数の試験でも条件が別
数字が1つそろっただけでは、条件はそろいません。もう1つのつまみが残っています。

この性質は、試験の数値の読み方にそのまま跳ね返ります。ある製品が「30秒で」という結果を出していても、それはその製品の濃度とpHと対象菌種をそろえた1回の記録です。別の製品が同じ秒数を書いていても、pHが違えば、比べているものが違います。秒数だけを取り出して2本を並べるのは、お風呂の温度表示だけを見て、湯量の違う2つの浴槽を同じだと言うのに近い読み方になります。

次亜塩素酸の数値を読むときに、4つそろって1つの条件になる
条件書かれていないと何が分からないか
濃度どれだけ入っているかが分からない(比べる土台が置けない)
pHその濃度のうち、次亜塩素酸の形がどれだけかが分からない
時間何秒後に測ったのか、その前後は分からない
対象何に対して測ったのかが分からない(菌種で条件が違う)

4つのうち1つでも欠けていると、その数値は他の数値と並べられません。これは製品の良し悪しの話ではなく、比べるための土台がそろっていないという話です。棚の前で2本を見比べているときに起きているのは、たいていこれです。片方に濃度とpHが書いてあり、もう片方には濃度だけしかない。その時点で、比較はいちど保留になります。

開けたあとに起きる変化|次亜塩素酸の濃度は置いた時間で動く

もう1つ、時間のほうのつまみがあります。塩素の仲間が溶けた水は、光と熱と空気に触れると、時間とともに形が変わっていくとされています。だから、買った日の濃度と、1か月後の濃度は同じとは言えません。遮光のボトルに入っていたり、期限が書かれていたりするのは、この変化を前提にした設計です。詰め替えて使うときは、移した先の容器の条件のほうが効いてきます。

この4つを見ると、家で確かめられることの範囲が決まります。ラベルの数字は、そのボトルがつくられた時点の記録で、いま手元にある液の濃度ではありません。お風呂の追い焚きを止めてからどれだけたったか、というのと同じ種類の話です。数字を疑うという意味ではなく、数字には時点がついている、という読み方になります。

mofuwaがケア用品の原料に使っているのは、薬剤を水に溶かして濃度をつくる型の水とは、成り立ちの違うものです。三室ダブルイン型の電気分解(特許5253483)でつくる電解水で、電解槽がカソード室・中間室・アノード室の3つに分かれています。部屋が分かれている構造のため、電解質に由来する不純物が水に入りません。できるのはアルカリ側の高機能性電解還元水と、酸性側の高機能性電解酸化水の2つです。特許について1行だけ添えておくと、これは作り方が新しいものとして登録された記録であって、効果を証明した番号ではありません。

菌についての記録も公開されています。ただ、読み方はここまでと同じです。公開されているのは、対象にした菌の種類と、検体を採った時刻と、測った検査機関(江東微生物研究所/日本食品分析センターほか)で、結果の欄には「生菌が検出されず」という言葉が入っています。試験条件は容器の中でそろえたもので、家の床や被毛の上は条件に入っていません。秒数だけを抜き出して別の製品の秒数と並べると、濃度とpHを外して比べたのと同じことになります。この一行から、家の中で同じことが起きるとは読めません。

体に近い場所で使うものとしては、mofuwa スキンケアミストがあります。こちらは高機能性電解酸化水100%の水で、あとから成分を重ねていない中身です。飲みものに使う水と同じ基準に照らして、水質が調べられています(江東微生物研究所)。犬でも猫でも、口のまわりや指のあいだのように、数分後に舌が通る場所があります。そういう場所へ置く1本を選ぶときに読むのは、濃度の欄よりも中身の欄のほうです。水そのものなので、薄め方を決めるつまみがありません。濃度とpHを自分で決める作業が、スキンケアミストの側では発生しない、ということです。毛の中まで浸透する水かどうかは別の検証の欄にあり、濃度の欄とは分けて読むものになります。

名前の背景を1行に畳むと、棚の前の読み方が決まる

次亜塩素酸という言葉は、水の中にあるときの形の名前です。固体として棚に置ける物質の名前ではないので、水の側の条件が変われば、そこにある量も変わります。濃度とpHという2つのつまみが独立に動き、光と熱と時間でさらに動く。だから同じ名前のまま、中身が別物になります。これが、この記事で見てきた性質のすべてです。

持ち帰る1行は、こうなります。濃度の数字が1つだけ書かれているとき、その数字は比較の土台にはなりません。濃度・pH・時間・対象の4つがそろっているかを見て、そろっていなければ、比べるのをやめて用途欄を読む。犬や猫のまわりで使うものなら、体に使うものとして書かれているのか、環境に使うものとして書かれているのかを、そこで分けられます。

お風呂の話に戻します。温度表示だけを見て湯加減を決める人はいません。手を入れて、量を見て、いつ止めたかを思い出します。棚の前でも、同じ3つを見ればいい。数字の大きさで並べ替えるより、条件が4つそろっているかを見るほうが、迷う時間は短くなります。

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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。