C05犬種・猫種別ケア
ラサアプソと暮らすなら知っておきたい、涙やけの話
ラサアプソの目の上には、頭から前へ下りてきた毛が、そのまま垂れています。指ですくうと驚くほど軽く、手を離すと元の位置へ戻っていきます。ここまでは、ただの長い毛です。ところが先が涙で濡れると、同じ毛が急に重くなります。ラサアプソの涙やけが自分で続いていくのは、この重さの変化があるからです。水をふくんだ毛は上へ戻らず、目のふちに垂れ下がったまま当たり続けます。当たっていれば涙は増え、増えた涙がまた毛を濡らす。この記事では、乾いている毛が目に触れるときと、濡れた毛が目に触れるときを並べて、家で動かせるのがどちらなのかを書きます。
頭から下りた毛が、涙をふくんで重くなる|ラサアプソの目のまわりで起きていること
ラサアプソの頭の毛は、後ろから前へ向かって下りてきます。額を越えて、そのまま目の上を通り、鼻筋の両側へ落ちていく。チベットの高地の寺院で、屋内の番犬として長く飼われてきた犬で、切らずにいれば頭の毛も伸び続けます。つまりラサアプソでは、目のまわりに「上から下りてくる毛」が常にあります。これが涙やけを考えるときの出発点になります。
乾いているあいだ、その毛はほとんど問題を起こしません。細くてまっすぐで、軽いからです。まばたきをすれば押し出され、頭を振れば外へ流れ、伏せて起き上がれば元の向きに戻ります。目に触れても、触れているのは毛先だけで、しかも一瞬です。ラサアプソの顔がいつも毛に覆われているのに、毎日ずっと涙が出ているわけではないのは、乾いた毛が自分で目から逃げていくからです。
変わるのは、その毛先が涙で濡れたときです。細い毛は水を持ちます。何本もの毛が水をふくんで束になると、そのぶん重くなり、下へ垂れます。乾いていれば外へ逃げていた毛が、濡れたとたんに目のふちへ垂れ下がって、そこに留まります。留まった毛は、毛先の点ではなく、濡れた面のまま目に当たり続けることになります。
ここから先が、ラサアプソの涙やけがひとりでに続いていくところです。毛が当たっている状態は、目にとって心地よいものではありません。当たっていれば涙は出ます。出た涙は、いちばん近くにある垂れた毛にしみ込みます。しみ込めば毛はさらに重くなり、いっそう戻りにくくなる。涙が毛を濡らし、濡れた毛がまた涙を呼ぶ。この輪の中に入ってしまうと、拭いても翌朝には同じところが濡れている、という状態になります。
- 頭の毛が前へ下りてくる:ラサアプソでは、目の上に毛がある状態が標準です
- 乾いた毛は軽い:まばたきと頭の動きで、目から自分で外れていきます
- 濡れた毛は重い:垂れ下がったまま戻らず、目のふちに残ります
- 当たり方が点から面へ変わる:触れている時間が、けた違いに長くなります
- 目のまわりの毛は数が多い:1本が濡れると、隣の毛も一緒に束になります
- 変色は結果として遅れて出る:毛の色が変わるのは、濡れている時間が積み上がったあとです
ラサアプソの涙やけを「涙が多いから」で終わらせると、家でできることが何も残りません。涙の量そのものは、家で動かせるものではないからです。動かせるのは、出た涙が毛の中に留まっている時間のほうです。同じ量の涙でも、毛がすぐ乾けば毛は軽いままで、目から外れていきます。濡れたままなら、重い毛が目のふちに残り続けます。この記事で比べるのは、そこです。
乾いている毛と、濡れている毛|ラサアプソの涙やけで同じ1本に出る違い
ここで比べるのは、2頭の犬でも、2種類の毛でもありません。同じ1本の毛が、乾いているときと濡れているときで、まったく別の振る舞いをするという違いです。ラサアプソの目のまわりを見るときは、毛が何本あるかではなく、そのうち何本が濡れているかを見てください。
乾いた毛は、根元から先まで同じ細さで、張りがあります。指で押すと押した向きへ倒れ、離すと戻ります。この戻る力があるかぎり、毛は目の上に居座りません。ラサアプソの顔の毛が長くても涙やけが薄い子は、この「戻る」がまだ働いています。目のまわりの毛が乾いているかどうかは、見た目より、指の背を当てたときのひんやり感で分かります。
濡れた毛は、先のほうが束になります。1本ずつなら軽くても、束になれば水を挟み込んで、乾きにくくなります。しかも、束は下へ向いたまま固まります。目のふちに沿って、湿った小さな面ができている状態です。この面は目の高さより下にできるので、上からのぞいても見えません。顔を下から見上げるか、指を当てるかしないと気づけません。
| 乾いている毛が目に触れるとき | 濡れた毛が目に触れるとき | |
|---|---|---|
| 毛の重さ | 軽い。手を離すと元の向きへ戻る | 水をふくんで重い。垂れたまま戻らない |
| 当たり方 | 毛先が点で触れて、すぐ外へ逃げる | 束になった面のまま、目のふちに残る |
| 触れている時間 | まばたきのあいだだけ | 拭くまで、ずっと |
| 涙の行き先 | 毛を伝って広がり、そのまま乾く | 束の中に留まり、同じ場所に溜まる |
| 毛の色の変わり方 | 変わりにくい | 濡れている時間が積み上がると変色が進む |
| 気づく場所 | 顔を正面から見て分かる | 下から見上げるか、指を当てないと分からない |
| 家で入れる手 | 毛の向きを直す | 毛にふくまれた水分を抜く |
この違いが分かると、拭き取りの意味も変わります。拭き取りは、色を落とすためではなく、毛を軽い側へ戻すための作業です。色は、変色してしまった毛が伸びて入れ替わるまで残ります。今日ごしごし拭いても、今日の色は動きません。動くのは、これから濡れる時間のほうです。ラサアプソの涙やけで拭き取りを毎日続ける理由は、そこにあります。
逆に言えば、乾いている毛に力をかける必要はありません。乾いた毛をこすると、毛の向きが乱れて、かえって目のほうへ入り込みます。目のまわりで手を入れる相手は、濡れている毛だけで足ります。どの毛が濡れているかを先に決めてしまえば、顔に触れる回数そのものが減り、嫌がられにくくなります。
指の背で重さを確かめる|ラサアプソの涙やけで、その日の手を決める使い分け
毎日どちらの手を入れるかは、鏡でも写真でもなく、指で決めます。使うのは指の腹ではなく、指の背です。爪のある側を顔に向けて当てると、毛の重さと湿り気が伝わるのに、力が入りません。目のそばで指を立てずに済むので、ラサアプソの側からも、押されている感じが少なくなります。次の順で回してください。
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朝いちばんに、目のまわりを指の背でなでる
起きた直後は、前の晩からの状態がそのまま残っています。目頭の下から目尻の下へ、毛の流れに沿って指の背を送ってください。すっと抜けるなら乾いています。途中で指が引っかかる、ひんやりする、毛が束になって指を押し返す。このどれかがあれば、そこは濡れている側です。
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目頭の下・目尻の下・鼻筋の3か所で、重さの差を見る
ラサアプソの顔は、この3か所で条件が変わります。目頭の下は涙が最初に落ちる場所、目尻の下は毛の流れが横へ抜ける場所、鼻筋は左右の毛が寄ってくる場所です。3か所を同じ強さで触って、いちばん重いところから手を入れます。3か所とも軽い日は、その日は何もしなくて構いません。
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重い場所には水分を抜く手、軽い場所には向きを直す手
濡れている場所は、布を当てて水分を吸わせます。乾いている場所は、毛の流れを目の外へ向けて送るだけです。この2つを同じ日に同じ場所へ重ねないでください。吸わせたあとの毛は向きが乱れているので、向きを直すのは水分が抜けたあとです。順番を入れ替えると、湿ったまま目のほうへ毛を送ることになります。
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手を入れたあと、もう一度だけ指の背を当てる
さっきより軽くなっていれば、その場所は終わりです。まだ重いなら、布を替えてもう一度当てます。3回当てても重さが変わらないときは、その日はそこで止めてください。回数を増やすより、夕方にもう一度見に行くほうが、目のまわりの負担は小さくなります。
| 指の背で分かったこと | その日の手 |
|---|---|
| 3か所とも、すっと抜ける | 何もしない。毛の向きだけ確認する |
| 目頭の下だけ重い | そこに布を当てて吸わせる。ほかは触らない |
| 3か所とも重く、束になっている | 目頭の下から順に、1か所ずつ時間をかける |
| 片側だけ重い日が続く | 回数を増やす前に、記録して動物病院に相談する |
ラサアプソは目のまわりに毛があるぶん、飼い主が顔へ手を伸ばす回数が自然と多くなります。回数が多いほど、顔をそむける子が増えます。朝の1回だけと決めて、そのときに指の背で3か所を確かめ、必要な場所にだけ手を入れる。触る回数を減らすほうが、結果として濡れている時間は短くなります。抱き上げたついでに、と決めておくと続きます。
吸わせる布と、すべらせる布|ラサアプソの涙やけで拭き取りに使うものの選び方
使うものは2つに分かれます。水分を吸わせるための布と、毛の向きをそろえるための布です。同じ1枚で両方をやろうとすると、どちらも中途半端になります。ラサアプソの目のまわりは面積が小さいので、大きな布は要りません。指に巻ける大きさで足ります。
吸わせる布は、厚みと目のあらさが要ります。濡れた束に当てて、動かさずに3〜5秒置く。動かさないのが大事なところで、こすると水が横へ広がるだけで、毛から抜けません。当てて、少し押して、離す。これを場所を少しずつずらしながら繰り返します。1枚が湿ったら、乾いた面に持ち替えてください。同じ面で続けると、抜いた水をまた戻すことになります。
すべらせる布は、薄くて目の細かいものです。こちらは水を抜く道具ではなく、毛の向きを決める道具です。目頭から目尻へ、そして鼻筋の下へ向かって、短く送ります。向きは必ず、目から外へ出ていく側です。逆向きに送ると、乾いた毛を目のほうへ寄せることになります。ラサアプソの毛はまっすぐで長いので、向きを決めると、そのまましばらく保ちます。
| 吸わせる布 | すべらせる布 | |
|---|---|---|
| 相手にするもの | 毛にふくまれた水分 | 毛の向き |
| 生地 | 厚みがあって、目があらいもの | 薄くて、目が細かいもの |
| 動かし方 | 当てて、押して、離す。動かさない | 目頭から外へ、短く送る |
| 1か所にかける時間 | 3〜5秒 | 1〜2往復 |
| 使う場面 | 指の背で重かった場所だけ | 水分が抜けたあと、顔全体に |
| 向かないこと | こすると水が横へ広がる | 濡れた束に当てても、抜けない |
| 持ち替える合図 | 布の面が湿ってきたとき | 毛が同じ向きにそろったとき |
毛の色についても書いておきます。変色した部分の色は、拭き取りの強さでは動きません。色が付いているのは毛そのもので、表面の汚れではないからです。強くこすれば、色が落ちる前に目のまわりの皮膚のほうが先に赤くなります。今日の色を薄くしようとするより、今日から先に生えてくる毛が濡れている時間を短くするほうを選んでください。毛の色は、そのぶんだけ遅れて変わっていきます。
液体を使うときは、必ず布に含ませてから顔へ持っていきます。顔に向けて直接吹きかけると、目に入るだけでなく、音と風で顔をそむける子になります。一度そむけるようになると、毎日の拭き取りそのものが続かなくなります。含ませる量も、布がしっとりする程度で足ります。垂れるほど含ませると、毛の束に水を足すことになってしまいます。
涙が伝って落ちていく先は、目のまわりではなく、そこから下へ続く頬から口の横までの面です。ここは毛が下を向いているので、落ちた涙が乾きやすい向きへ抜けていくか、その場に溜まったまま残るかが、毛の流れだけで決まります。目のふちで水分を抜くのと同じくらい、落ちた先の流れをそろえておくことに意味があるのは、そのためです。重さを見て手を決めている以上、布に含ませるものの中身も、そのまま毛の重さのほうへ返ってきます。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、オイルも鉱物油も配合していません。含ませた布で毛を送ったあとに、油分が毛に残って束をつくることがないのは、そこが理由です。使うのは朝の1回、指の背で重かった側だけ。目の下から2〜3センチ下がったところに布を当てて、鼻筋の下へ向かって短く送ります。
濡れている時間が延びる時期と、毛の重さでは説明がつかない変化
一年のあいだで、目のまわりが濡れている時間は同じではありません。ラサアプソの涙やけを見るときは、増えた減ったを毎日で判断せず、時期の側から見てください。次のような時期は、同じ手を入れていても濡れている時間が延びます。あらかじめ分かっていれば、その週だけ夕方の1回を足す、といった調整ができます。
- 風の強い時期:外で目に風が当たると、帰宅後しばらく毛が濡れたままになります
- 暖房を使い始めた週:部屋が乾くと、目のまわりの状態が数日で変わることがあります
- 換毛期の前後:抜けかけの毛が顔まわりで束になり、水を挟み込みやすくなります
- 顔まわりを整えてから週数がたったころ:伸びた毛が目にかかる角度が変わります
- 寝床を替えた直後:顔をうずめる面が変わると、濡れた毛が乾く時間も変わります
- 散歩の時間帯を変えたとき:日差しと風の条件が変わると、帰宅後の乾き方が変わります
ここまでは、毛の重さで説明のつく話でした。指の背で軽い日が続いているのに、目のまわりの様子だけが変わっていくときは、別の見方をしてください。毛や拭き取りの話として片づけないほうがよい変わり方があります。次のようなときは、家でのケアを増やす前に相談を考えてください。
- 片方の目だけが濡れる日が続く:左右で条件が違うのは、毛の向きだけでは説明がつきません
- 目やにの色や粘り気が変わった:量ではなく、性質の変化のほうを見てください
- まぶたが腫れている、目を開けづらそうにしている:毛の重さの話ではありません
- 顔を床や家具にこすりつける回数が増えた:かゆさや痛みがあるときの動きです
- 目のまわりの皮膚が赤い、においがある:濡れた状態が続いた結果として起こることがあります
- まばたきの回数がはっきり増えた:目そのものに何か起きているときの合図です
目を開けづらそうにしている、まぶたが腫れている、目やにの色が変わった、片目だけ症状が続く、目のまわりを気にして前足でこする、痛がるそぶりがある。いずれかに当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。ラサアプソは目のまわりに毛があるぶん、目そのものの変化が毛に隠れて見えにくくなります。迷ったときは、早いほうを選んでください。
相談へ行くときは、いつから、片側か両側か、指の背で重かった場所、その日にやったことの4つをメモしていってください。この4つがあると、毛の条件で説明のつく涙やけなのか、そうでないのかを、その場で切り分けてもらいやすくなります。前の晩に頑張って拭き上げていくと、もとの状態が分からなくなります。当日はいつもどおりで構いません。
ラサアプソと暮らすうえで、目の上に毛があるという条件は変わりません。頭から前へ下りてくる毛は、この犬種がもともと持っている作りだからです。動かせるのは、その毛が濡れている時間のほうです。乾いている毛は軽く、自分で目から外れていきます。濡れた毛は重く、垂れたまま残ります。指の背で重さを確かめて、重い場所にだけ水分を抜く手を入れる。ラサアプソの涙やけで毎日できるのは、そこです。
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mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
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商品ページを見るよくある質問
- 目の上の毛を、ゴムで結んでしまってもいいですか?
- 毛が目に当たらなくなるという意味では、選択肢のひとつです。ただ、ラサアプソの頭の毛は根元が細いので、強く引き上げると引っぱられた状態が一日続きます。結ぶなら、指が1本入るくらいゆるく、その日のうちにほどいてください。結んだ日も、目のまわりの毛が濡れていないかは指の背で確かめます。結んだこと自体が、乾かす手の代わりにはなりません。
- 涙やけで変色した毛の色は、拭き続ければ元に戻りますか?
- その毛自体の色は戻りません。色は毛の中に入っているので、表面を拭いても動かないためです。変わるのは、これから伸びてくる毛のほうです。濡れている時間が短くなれば、新しく伸びた部分は色が付きにくくなります。毛の色を目標にすると続かないので、指の背で軽い日が何日あったかを数えるほうをおすすめします。
- 子犬のうちから、顔のケアに慣らしておくことはできますか?
- できます。ただし、いきなり布を当てるところから始めないでください。まず指の背で顔に触れて、何もせずに離す。これを1日1回、数日続けてから、乾いた布を当てるだけの日をつくります。順番を飛ばすと、顔に手が伸びてくること自体を嫌がるようになります。慣らす期間は、拭き取りの結果を求めない期間だと考えてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
