C05犬種・猫種別ケア

チベタンスパニエルの長毛|耳の汚れを毎日のケアで防ぐ

公開日 2024年9月10日|文=mofuwa編集部

明るい室内で、淡い色の長い毛の小型犬が落ち着いて座っている
耳は、めくれば内側が見えます。首の毛と重なっている裏側は、めくっても、こちらを向きません。写真:SLZ/Pexels

チベタンスパニエルの耳を指でめくると、内側の面がすぐに見えます。ここは誰でも見ます。汚れがあれば気づきますし、拭こうと思えばその場で拭けます。問題は、めくった手を離したあとに戻っていく面のほうです。耳は首のつけ根に向かって伏せていて、そこには肩まで広がる長い毛があります。チベタンスパニエルの耳の汚れが分かりにくいのは、耳の裏側が首の毛と重なり合っていて、外からは一度も見えないからです。この記事では、誰もが見る内側と、誰も見ない裏側を並べて、毎日のケアで手が届いていない面はどちらかを書きます。

耳が首の毛に伏せている|チベタンスパニエルの耳の裏側にできる、擦れ合う面

チベタンスパニエルの耳は、頭のわりに高い位置についていて、そこから前下がりに伏せています。耳そのものにも飾り毛があり、ふちに沿って長く伸びます。そして首から肩にかけては、たてがみのように広がる長い毛があります。この2つは、同じ場所で重なります。耳の裏側と、首まわりの毛。チベタンスパニエルの耳の汚れを考えるときは、まずこの重なりから見てください。

チベットの高地で、僧院の見張りとして人の近くで暮らしてきた犬です。寒さに耐える二層の被毛を持ち、上に絹のような毛、その下に細かい下毛があります。首まわりの毛が長く豊かなのは、この作りの一部です。豊かであること自体は、この犬種の被毛が本来持っている条件です。ただ、耳がそこへ伏せている以上、耳の裏側は毎日その毛に触れ続けることになります。

触れ続けている面では、2つのことが同時に起きます。ひとつは摩擦です。頭を上げ下げするたび、耳の裏側の毛と首の毛が擦れ合い、毛どうしが少しずつ絡みます。もうひとつは皮脂です。絡んだ毛のあいだに皮脂が回ると、そこが空気の通らない小さな面になります。チベタンスパニエルの耳の汚れが、拭いても拭いても内側だけ変わらないように感じるのは、たまり場が内側ではなく裏側にあるからです。

そしてこの面は、日常の姿勢では絶対に見えません。上から見れば耳の外側の毛しか見えず、正面から見れば顔しか見えません。めくれば内側が出てきますが、めくった時点で裏側は下を向いています。耳の裏側を見るには、耳を持ち上げたうえで、自分が後ろへ回り込む必要があります。毎日のケアの中で、この動きが入っていないご家庭は少なくありません。

Note耳の中の話をしているのではありません

この記事で扱うのは、耳の穴の中ではなく、耳という一枚のひらひらした部分の、表と裏です。耳の穴の奥は、家庭で見える範囲を超えています。棒状のものを入れて掃除しようとしないでください。チベタンスパニエルの耳の汚れで、家の中で手を入れられるのは、耳のふちの毛と、裏側の擦れ合う面までです。ここだけでも、手が届いているかどうかで状態はずいぶん変わります。

めくれば見える内側と、めくっても見えない裏側|チベタンスパニエルの耳の汚れが分かれる違い

2つの面を、同じ項目で並べます。比べるのは汚れの多さではなく、どうやって汚れるか、そして誰の目に入るかです。チベタンスパニエルの耳の汚れは、この2つの面でまったく別の性質を持ちます。同じ布で同じように拭いても、片方にしか効きません。

内側は、耳の穴のほうを向いている面です。ここに出るのは、耳の中から出てきたものと、空気の中を漂って入ってきたものです。粉っぽかったり、薄い膜のようだったりしますが、いずれも面の上に乗っているだけです。だから布を当てれば取れます。そして、めくれば見えるので、変化にも気づけます。毎日のケアで見落とされにくい面です。

裏側は、首の毛に接している面です。ここに出るのは、擦れて絡んだ毛と、そこへ回り込んだ皮脂です。乗っているのではなく、毛と毛のあいだに挟まって組み上がっています。布で表面をなでても動きません。ほどく手が要ります。しかも、めくっても見えないので、指で触るまで存在に気づけません。チベタンスパニエルの耳の汚れで手が届いていないのは、たいていこちらです。

チベタンスパニエルの耳で、内側と裏側は何が違うか
耳の内側(めくれば見える)耳の裏側(めくっても見えない)
何が汚れになるか耳の中から出たもの、空気中のもの擦れて絡んだ毛と、そこへ回った皮脂
汚れのつき方面の上に乗っている毛と毛のあいだに挟まっている
気づく方法めくれば目で分かる指を入れて触るまで分からない
触れている相手空気首まわりの長い毛
進み方その日ごとに増えたり減ったりする日がたつほど、面のまま固まっていく
家で入れる手布を当てて、拭き取る毛を分けて、絡みをほどく
換毛期に起きること大きくは変わらない抜けた下毛が加わり、一気に厚くなる
耳の内側と、耳の裏側 チベタンスパニエルの耳の内側は、めくればすぐ見えて、布で拭き取れる面です。耳の裏側は首まわりの長い毛と擦れ合っていて、外からは見えず、毛の絡みと皮脂が組み上がります。手の入れ方が2つに分かれます。 同じ耳で、面が2つに分かれます 耳の内側 めくれば、その場で見える 汚れは面の上に乗っている 手:布を当てて拭き取る 見落とされにくい面 耳の裏側 後ろへ回らないと見えない 毛の絡みと皮脂が組み上がる 手:毛を分けて、ほどく 毎日のケアから抜けやすい面 換毛期は、裏側だけが一気に厚くなります
同じ一枚の耳でも、表と裏で汚れの中身と手の入れ方が変わります。

この2つには、順番の関係もあります。裏側が絡んで面になっていると、耳そのものが持ち上がりにくくなります。持ち上がらない耳は、内側も開きません。開かなければ空気も通りません。つまり、裏側を放っておくと、拭けていたはずの内側の条件まで下がります。逆はありません。内側をどれだけ丁寧に拭いても、裏側の絡みはほどけないからです。

だからチベタンスパニエルの耳の汚れは、裏側を先に、内側を後にという順番で考えます。ブラッシングのときも同じです。首まわりに道具を入れるなら、その延長で耳の裏側まで届かせてください。首の毛だけを整えて耳の手前で止めると、いちばん擦れている面を毎回よけていることになります。

耳を持ち上げて、後ろから見る|チベタンスパニエルの耳の汚れの見分け方

裏側は、見ようと決めないと一生見ません。見分け方の中心は、自分の位置を変えることです。正面や上からではなく、その子の斜め後ろに回ってから始めます。立たせたままで構いません。膝の上に乗せているなら、体ごと少し横へ向けてください。次の順で回します。

  1. 斜め後ろに回り、耳を根元から持ち上げる

    ふちの毛をつまむのではなく、耳の付け根に指を添えて、耳全体を起こします。持ち上げた瞬間に、いつもは首を向いていた面がこちらへ出てきます。ここが裏側です。持ち上げにくい、途中で引っかかる感じがあるなら、その時点でもう絡みが始まっています。

  2. 出てきた面を、指の腹で根元から先へなでる

    目で色を見るのではなく、指で引っかかりを探します。すっと抜けるか、途中で毛が寄って指を押し返すか。押し返してくる場所が、擦れ合って絡んでいるところです。左右で感触が違うことも珍しくありません。よく寝るほうの側から先に固まります。

  3. 耳の裏側と首の毛が接している線を、指でたどる

    耳を伏せた状態に戻して、耳のふちが首の毛に触れている線に沿って指を送ります。この線の上が、いちばん擦れている場所です。ここに小さな塊が触れるなら、内側をどれだけ拭いても状態は変わりません。今日手を入れるのは、この線の上です。

  4. 最後に耳をめくって、内側を見る

    順番はここで最後です。内側は見れば分かるので、時間をかける必要がありません。色や湿り気を確認して、必要なら布を当てる。裏側で指が止まらなかった日は、内側も落ち着いていることがほとんどです。毎日のケアの中では、この4つ目だけが短くて構いません。

指で分かったことと、その日に手を入れる面
指で分かったことその日に手を入れる面
耳が軽く持ち上がり、裏側も指が抜けるその日は何もしなくて構いません
裏側の途中で指が止まる裏側だけ。毛を分けて、ほどく手を入れる
接している線の上に、小さな塊が触れる裏側を先に。内側は、そのあとで拭く
片側だけ、毎回同じ場所で止まる寝る向きを見直しつつ、記録して相談する
Point耳の裏側は、ブラッシングの終わりに組み込む

裏側を見る時間を、独立した予定にすると続きません。首まわりにブラシを入れたら、その手を止めずに耳の付け根まで送る。これだけで、擦れ合う面が毎回ケアの範囲に入ります。チベタンスパニエルは体格が小さいので、首から耳までの距離はごくわずかです。あと数センチ手を伸ばすかどうかで、裏側に手が届いているかどうかが決まります。

布を当てる内側と、毛をほどく裏側|チベタンスパニエルの耳で手を使い分ける

面が2つに分かれるので、手も2つに分かれます。内側は拭く手、裏側はほどく手です。この2つを入れ替えると、どちらもうまくいきません。裏側を布でこすると、絡んだ毛が押し込まれてもっと固まります。内側を道具でほどこうとすると、薄い皮膚に歯が当たります。チベタンスパニエルの耳の汚れは、面ごとに手を決めてしまうのがいちばん早い方法です。

裏側のほどき方には、順番があります。まず耳を持ち上げて、絡んでいる面を上に向けます。次に、指で毛を左右に分けて、絡みの端を出します。中心から入れず、端から少しずつ外していきます。1回で全部ほどこうとしないでください。半分ほどけたところで止めても、次の日はそのぶん軽く始められます。ほどけた毛は、そのまま外へ運び出してください。中に残すと、また同じ場所で組み上がります。

内側の拭き方は、単純です。耳をめくって開いた状態で保ち、布を当てて、外へ向かって一方向に送る。往復させないでください。戻す動きは、いま外へ出したものをまた内側へ運びます。拭いたあと、そのまま10秒ほど耳を開いたままにしておくと、湿り気が抜けます。この10秒が、毎日のケアの中でいちばん手軽で、いちばん効いてきます。

内側と裏側で、当てるものと動かし方を分ける
耳の内側耳の裏側
入れる手拭くほどく
当てるもの薄くてやわらかい布指、または歯の細かい道具
動かし方外へ向かって一方向端から中心へ、少しずつ
1回にかける時間10〜20秒1か所につき、無理のない範囲で
やらないこと往復させる、強く押しつける布でこする、中心から引っぱる
終わりの合図布に色が移らなくなったとき指が根元から先まで抜けるとき
頻度の目安気づいたときに首まわりのブラッシングのたびに

当てるものの選び方も、面によって変わります。内側に使う布は、薄くて、目が細かくて、乾いているものです。厚いものは耳の中へ押し込みやすくなります。裏側に道具を使うなら、歯が細かく、先の丸いものを選んでください。選ぶ基準は、皮膚に当たったときに痛くないかどうかの一点です。チベタンスパニエルの耳は薄く、下にすぐ皮膚があります。首まわりの毛に使うのと同じ力を、そのまま耳へ持ってこないでください。

Caution固まった面を、力で引き抜かないでください

裏側で指が止まる場所へ、道具を上から入れて引くと、絡んだ毛ではなく、生えている毛と耳の皮膚を一緒に引っぱることになります。耳は薄く、その子にとっては痛みの出やすい場所です。声を出す、頭を振って逃げる、次から耳を触らせなくなる。ここでつまずくと、毎日のケアそのものが止まります。ほどけないときは、そこで手を止めて、トリミングや動物病院で相談してください。

耳の裏側は、その子が頭をどれだけ振っても、向きの変わらない面です。首の毛に押しつけられたまま、擦れる場所だけが毎日同じところに残ります。この面の条件が動くのは、耳を持ち上げて指を入れたときだけで、それ以外の時間はずっと同じ向きのままです。そして耳は、持っていける道具がいちばん限られる場所でもあります。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、使う場所を限定していないぶん、耳のまわりのように、ほかのものを持っていきにくい面にもそのまま届きます。ほどく手を入れる前に、布へ取って、絡んでいる面の端からなじませてください。毛が湿っているあいだは端がほぐれやすく、そのぶん指を中心へ進められます。使う場所は耳の中ではなく、擦れ合っている耳の裏側の毛と、そこに接する首まわりの毛です。耳の穴のほうへは入れないようにします。

換毛期に裏側だけが厚くなる時期と、擦れ合う面では説明がつかない耳の変化

一年のうちで、裏側の条件がはっきり変わる時期があります。換毛期です。抜けた下毛は、外へ落ちる前に、いったん上の毛に引っかかります。耳の裏側は、そこへさらに首の毛が押しつけられている面なので、抜けた毛の出口がふさがれます。内側は変わらないのに、裏側だけが数週間で厚くなる。チベタンスパニエルの耳の汚れが季節で動くのは、この理由です。

ここまでは、擦れ合う面と皮脂で説明のつく話でした。裏側をほどいていて、指が根元まで抜けるようになっているのに、耳そのものの様子が変わっていくときは、別の話として扱ってください。次のような変化は、毛や毎日のケアの範囲を超えています。

Caution早めに動物病院へ相談してほしいとき

耳からにおいがする、耳の中が湿ってすぐ戻る、頭をしきりに振る、同じ側ばかりかく、耳の皮膚が赤い、触ると痛がる、頭を傾けている。いずれかに当てはまるときは、家でほどく回数を増やす前に動物病院にご相談ください。チベタンスパニエルの耳は毛に覆われているぶん、変化が進んでから気づくことがあります。迷ったときは、早いほうを選んでください。

相談へ行くときは、いつからか、片側か両側か、裏側で指が止まる場所、その日にやったことの4つをメモしていってください。この4つがあると、擦れ合う面で説明のつく汚れなのか、そうでないのかを、その場で切り分けてもらいやすくなります。前の晩に頑張って耳をきれいにしていくと、もとの状態が分からなくなります。当日はいつもどおりで構いません。

チベタンスパニエルと暮らすうえで、耳が首の毛に伏せているという条件は変わりません。高い位置から前下がりに伏せる耳と、肩まで広がる長い毛は、この犬種の被毛がもともと持っている作りだからです。変えられるのは、その面に手が届いているかどうかのほうです。誰もが見る内側は、放っておいても誰かが気づきます。誰も見ない裏側に、ブラッシングのたびにあと数センチ手を伸ばす。チベタンスパニエルの耳の汚れで、毎日のケアとしてできるのは、そこです。

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よくある質問

耳の裏側の毛を、短く整えてしまってもいいですか?
トリミングで相談できる選択肢のひとつです。ただ、耳の飾り毛は左右で見た目が変わるので、切る前に、いま何が起きているかを伝えてください。裏側が絡んでいるから短くしたいのか、見た目を変えたいのかで、切る場所が違います。切ったあとも、首まわりの毛と擦れる条件そのものは残ります。短くしたら触らなくてよい、とはなりません。
耳を触ろうとすると逃げてしまいます。どこから慣らせばいいですか?
耳から始めないでください。まず首まわりを触るところから入り、そのまま指を耳の付け根まで送って、何もせずに離します。これを数日続けてから、耳を持ち上げるだけの日をつくります。持ち上げてすぐ離す、を何度か重ねると、持ち上げること自体が合図でなくなります。ほどく手を入れるのは、そのあとです。
子犬のうちは、耳の裏側もまだ毛が短いので大丈夫でしょうか?
毛が短いあいだは、擦れ合う面の条件はまだ軽い状態です。ただ、首まわりの毛が伸びてくると条件は変わります。毛が短いうちに触られることに慣れておくと、伸びてから手を入れやすくなります。汚れを取る必要がなくても、耳を持ち上げて後ろから見る動作だけは、毎日のケアに入れておくことをおすすめします。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。