C09シーン別・暮らし
サロン通いをしている人がサロン通いのあいだで困ること、その手当て
トリミングの会計のあとに「次のご予約はいつにしますか」と聞かれて、カウンターの前で20秒ほど黙ってしまいました。前回は6週間空けました。その前は5週間で、もう一つ前は7週間です。決めているようで、実際には毎回その場の感覚で答えています。トリミングに通っていると、この20秒が予約のたびにやってきます。間隔を4週にするか、6週にするか、8週にするか。正しい答えがどこかにあるのだろうと思って調べても、毛の長さと毛質の話ばかりが出てきて、自分の家に当てはめる方法が書いてありません。この記事では、サロン通いをしている人が次の予約日を決めるときの基準を、8つの問答に分けて置き直します。8問めでは、予約の前にやめていいことを3つ挙げます。
「次のご予約はいつにしますか」に、その場で答えられるようになりますか
答えから書きます。トリミングの間隔は、毛の長さではなく、家でどこまで手が届いているかで決まります。だからカウンターの前で迷うのは自然なことで、毛を見て決めようとしているかぎり、何回通っても20秒の沈黙はなくなりません。毛はその場にありますが、間隔を決める材料は家のほうに置いてあるからです。
具体的には、次の3つを数えます。家で手が届いている場所の数、届いていない場所の数、そして先週その子に触った日数。この3つを言えるなら、次の予約日はその場で決まります。言えないなら、どんなに毛をよく見ても決まりません。サロン通いをしている人が持っている情報のうち、トリマーが持っていないのはこの3つだけです。
なぜ毛では決まらないのか。毛の伸びる速さは、同じ子なら大きく変わりません。変わるのは、伸びた毛がどうなるかのほうです。同じだけ伸びても、家で毎日手が入っている場所は流れが残り、入っていない場所はそこで絡み始めます。つまり、日数が同じでも、家の側の条件が違えば「次に必要になる日」は変わります。トリミングの間隔という言葉が指しているのは、毛の長さではなく、この差のことです。
サロンの会計は、荷物を持ち、支払いをして、その子を受け取る、いちばん手がふさがっている時間です。その場で3つを思い出そうとすると、たいてい思い出せません。行く前にスマートフォンのメモに「届いている◯か所/届いていない◯か所/先週触った◯日」と書いておいてください。書くのに1分もかかりません。この1分で、20秒の沈黙がなくなります。
そもそもトリミングの間隔とは、どこからどこまでを数えているのですか
多くの人が数えているのは、前回のサロンの日から、次のサロンの日までの日数です。カレンダーの上ではそれで合っています。ただ、この数え方だと、家で何が起きているかが一切入りません。6週間という数字は、6週間ぶんの生活を全部同じ扱いにしてしまいます。
この記事で使う数え方は違います。トリミングの間隔とは、仕上がった状態から、家の手が追いつかなくなった日までのことです。追いつかなくなった日がまだ来ていないなら、その子はまだ間隔の中にいます。来てしまったなら、カレンダー上で4週目でも、そこが終わりです。間隔は日数の単位ではなく、状態の区間だと考えてください。
| 数え方 | 基準にするもの | 決まること | 決まらないこと |
|---|---|---|---|
| カレンダーで数える | 前回からの日数 | 予定の入れやすさ | その子に合っているかどうか |
| 状態の区間で数える | 家の手が追いつかなくなった日 | 次に必要になるおおよその時期 | 何日後かという正確な数字 |
| 両方を使う | 日数で仮に押さえて、状態で前後させる | 予約と生活の両方 | 1回で正解にすること |
実際の運用は、3行目の「両方を使う」になります。サロンの予約は席の都合があるので、日数で先に押さえるしかありません。そのうえで、家の手が追いつかなくなった日が予約より早く来たら、電話で前へずらす。来なければそのまま行く。トリミングの間隔を「決めるもの」ではなく「更新するもの」として持っておくと、毎回ゼロから考えなくて済みます。
追いつかなくなった日、というのは感覚ではありません。いつもの手順で触っていて、指が同じ場所で2日続けて止まった日です。1日だけなら、その日の乾き方や寝ていた向きで説明がつきます。2日続いたら、そこは家の手では戻らない場所に変わっています。日付をメモしておくと、次の間隔を決めるときにそのまま使えます。
4週・6週・8週のどれが正しいのですか。どれかに決まっているのですか
決まっていません。正しい間隔は1つではなく、家の側の条件ごとに上限が変わります。下の表は「何週がいい」ではなく「何週までなら家の手で持ちこたえられるか」を並べたものです。上限より短くするのは、いつでも自由です。
| 家で届いていない場所 | 先週触った日数 | 間隔の上限の目安 | そう置く理由 |
|---|---|---|---|
| 0〜1か所 | 5日以上 | 8週まで | 絡み始めても、翌日には家の手が入ります |
| 2か所 | 5日以上 | 6〜7週 | 1か所は必ず後回しになり、そこだけ先に進みます |
| 3か所以上 | 5日以上 | 6週 | 触れない場所が3つあると、優先順位が毎日変わります |
| 2か所以下 | 週2〜3日 | 5〜6週 | 届く場所でも、間が空くと戻す手間が増えます |
| 3か所以上 | 週2〜3日 | 4〜5週 | 家の側で持ちこたえる区間が短くなります |
| 数えたことがない | — | まず1回だけ4〜5週 | 数えるための1周期として使います |
表の使い方で、ひとつだけ注意があります。上限を短くしたからといって、家でやることがなくなるわけではありません。4週で通っていても、届いていない場所が3か所あるなら、その3か所は4週間ずっと触られないままです。トリミングの間隔を短くするのは、家の手が届かない範囲を小さくしておくための手であって、なくすための手ではありません。
届いていない場所の数え方も書いておきます。その子を立たせたまま、脇の下・内股・耳の後ろ・尾のつけ根・胸の下の5か所に、順番に手を当てるだけです。嫌がって体をひねる、こちらが姿勢を変えないと届かない、片手では押さえきれない。このいずれかが起きた場所を「届いていない」に数えます。上手にできるかどうかではなく、日常的に触れるかどうかで数えてください。
順番を毎回変えると、その子は次にどこを触られるか分からないので、身構える回数が増えます。脇の下から始めて、内股、耳の後ろ、尾のつけ根、胸の下。この順で固定してください。1周で30秒ほどです。トリミングの間隔を決めるための材料であると同時に、そのまま毎日のケアの下地になります。数えるための時間を別に取らなくて済みます。
10月に入ってから、同じ日数でも様子が違います。季節で間隔を変えるのですか
動かすのは日数ではありません。動かすのは、家でやる中身のほうです。秋は下毛が増えていく時期なので、同じ6週間でも、その6週間に絡む量が夏とは変わります。日数を5週に縮めても、増えた下毛は同じだけ増えます。縮めて解決する種類の変化ではありません。
実際に変わるのは、指が止まる場所です。夏のあいだは尾のつけ根で止まっていた指が、10月に入ると耳の後ろと内股でも止まるようになります。止まる場所が1か所から3か所に増えるので、同じ手順にかかる時間が伸びます。ここで「トリミングの間隔を短くしよう」と考えると、サロンの予定だけが増えて、家の手はそのままになります。家の手が3か所ぶんに増えていないので、次の6週間でも同じことが起きます。
- 秋に増えるのは量:同じ日数のあいだに、体に残る抜け毛が増えます
- 増える場所は決まっている:耳の後ろ、内股、尾のつけ根。動きの多い場所ほど残ります
- 間隔ではなく回数を足す:週2日だったのを週4日に。1回の長さは変えません
- 1回を長くしない:長くすると続かず、結局そのぶんが空きます
- 予約を前倒すのは最後の手:家の回数を足しても指が止まるときだけ
季節でトリミングの間隔そのものを動かす人もいます。それが間違いというわけではありません。ただ、動かすなら理由を1つに決めてください。「秋だから」ではなく「耳の後ろで指が2日続けて止まったから」。理由が状態のほうにあると、翌年も同じ判断ができます。季節を理由にすると、毎年10月に同じところで迷います。
8週まで空けている人がいます。うちも同じように空けられますか
空けられるかどうかは、その子の毛では決まりません。家で届いていない場所が何か所あるかで決まります。8週まで空けている家は、たいてい届いていない場所が0か1か所です。5か所のうち4つ以上に、日常的に手が入っています。毛が伸びにくいから空けられているのではなく、伸びたぶんを家で受け止められているから空いています。
順番を逆にしないでください。先に8週へ空けてから家の手を増やそうとすると、だいたい途中で崩れます。家の手が増えるまでには数週間かかりますが、間隔を空けた影響はその週から出るからです。先に家の側を1か所ずつ広げて、届く場所が増えたぶんだけ、次の予約を後ろへずらす。この順番なら、途中で戻す必要がありません。
-
いま届いていない5か所のうち、いちばん近い1つを選ぶ
5つ全部に手をつけません。いちばん嫌がられない1か所だけを選びます。多くの家では胸の下か尾のつけ根です。耳の後ろと内股は最後に回してください。
-
その1か所に、5秒だけ手を当てる日を2週間続ける
整えません。ブラシも入れません。手を当てて、5秒たったら離す。これだけです。目的はその場所を「触られてよい場所」に移すことで、手入れではありません。ここを混ぜると2週間で終わりません。
-
嫌がらなくなったら、手を布に持ち替える
手を布に替えます。グルーミングスプレーを布に吹きかけて、毛の流れに沿って一往復。すすぎが要らないので、時間は5秒のままで構いません。毎日の回数を保てる長さにしておくことが、トリミングの間隔を空けるための条件になります。
-
届く場所が1つ増えたら、次の予約を1週だけ後ろへ
いきなり2週ずらしません。1週ずらして、その1週で指が止まるかどうかを見ます。止まらなければ、次はもう1週。間隔は、この1週きざみでしか安全に伸ばせません。
ここで布とスプレーに分ける理由も書いておきます。この手順が数えているのは回数なので、毎日のほうに5秒が入る形でなければ場所は増えません。洗う日は洗う日として、モイストシャンプーで週末に1回。届く場所を広げる側は、グルーミングスプレーを含ませた布で毎日5秒。役目を2つに分けておくと、どちらの回数も落ちません。1本で両方をやろうとすると、乾かす時間のぶんだけ毎日の側が週2日まで減ります。間隔を空けるのは、この毎日の側が積み上がってからです。
短くすれば、家でやることは減るのですか
減りません。4週で通っても、家でやることの量はほとんど変わりません。減るのは量ではなく、判断のほうです。6週や8週で通っていると、途中で「今日はやったほうがいいのか、明日でいいのか」を毎日考えることになります。4週なら、その迷いが半分の期間で終わります。
この「判断が減る」というのは、軽い話ではありません。続かない理由のほとんどは、手間ではなく迷いのほうにあります。5分の手順が負担で続かない家は多くありません。今日やる意味があるのか分からないまま、なんとなく先送りになって、気づいたら1週間空いている。トリミングの間隔を短くする理由として「迷いたくないから」を選ぶのは、まっとうな決め方です。
| 4週にすると | 理由 | |
|---|---|---|
| 減る | 今日やるか迷う日数 | 区間そのものが短くなります |
| 減る | 指が止まる場所の数 | 止まる前に一度リセットが入ります |
| 減らない | 1日にかかる時間 | 触る場所の数は同じです |
| 減らない | 届いていない場所 | 4週間ずっと触られないままです |
| 増える | その子が移動と待ち時間を過ごす回数 | サロンに行く日そのものが増えます |
| 増える | 予定を合わせる手間 | 席の確保が月1回になります |
表の下2行は、短くする側のもう一つの面です。その子にとって、サロンの日は移動と待ち時間のある日でもあります。回数が増えれば、その日も増えます。短いほうが体にやさしい、という単純な話ではありません。だから、短くするなら「迷いを減らすため」という理由をはっきりさせておいたほうがいい。理由がはっきりしていると、家の手が増えたときに、またトリミングの間隔を6週へ戻す判断ができます。
同じサロンに通い続けたほうがいいのですか。腕で選ぶものですか
通い続けるかどうかは、前回との差を言ってもらえるかどうかで選んでください。間隔を決めるための情報は、今回の状態そのものではなく、前回と今回の差にしかありません。差は、前回を見ていた人にしか見えません。毎回ちがう場所に行くと、差の記録がどこにも残らないので、いつまでも「何週がいいか」が決まりません。
具体的には、預けるときと受け取るときに、それぞれ一言だけ渡します。預けるとき「前回から6週間で、耳の後ろだけ家の手が届いていません」。受け取るとき「前回と比べて、どこが違いましたか」。この2つを毎回言うだけで、次のトリミングの間隔を決める材料が1周期ごとにたまっていきます。技術を評価する必要はありません。差を教えてもらえる関係が続いているかどうかだけです。
- 預けるとき:前回からの週数と、家で届いていない場所を1つ
- 受け取るとき:前回と比べて違った場所を1つ
- 持ち帰るもの:その1つを、次の6週間で触る場所にする
- 聞かないこと:何週がいいですか、という質問。家の情報がないと答えられません
- 記録の形:日付・週数・言われた場所。この3つだけを1行で
同じサロンに通っていても、この2つを言っていなければ差は残りません。逆に、引っ越しなどで店が変わっても、自分の側に3行の記録があれば間隔は決められます。通い続けること自体が目的ではなく、差が続けて見えることが目的です。サロン通いをしている人が持てるいちばん強い材料は、この1行ずつの積み重ねになります。
やらなくていいことを、1つだけ教えてください
ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。予約の2〜3日前に、家で念入りに整えるのをやめてください。きれいにして連れて行きたくなる気持ちは分かりますが、トリマーが見たいのは、家の手が届いていない場所そのものです。直前に整えると、その情報が消えます。消えると、次のトリミングの間隔を決める材料もいっしょに消えます。
やめていいことは、あと2つあります。毛の長さをものさしで測ることと、前回から何日たったかを毎朝数えることです。どちらも数字は出ますが、その数字から次の予約日は出てきません。測るなら、指が止まった場所と、その日付です。数える対象を間違えていると、記録が増えるほど決められなくなります。
| やらなくていいこと | 代わりにやること | |
|---|---|---|
| 予約の3日前 | 念入りに整えて連れて行く | いつもどおり。届いていない場所をメモする |
| 予約の前日 | 洗って乾かす | 何もしない。その子を早く寝かせる |
| 当日の朝 | 毛の長さを測る | 5か所に手を当てて、止まった場所を確認する |
| 受け取った日 | 帰ってすぐ全身に手を入れる | 触らない。その日は仕上がりのまま置く |
| 翌日から | 毎朝の日数カウント | 指が止まった日だけを記録する |
| いつでも | 他の家の間隔と比べる | 自分の家の前回と比べる |
受け取った日に触らない、という行は補足しておきます。仕上がった直後の状態は、その周期のあいだで唯一の基準です。ここに手を入れてしまうと、何が仕上がりで何が自分の手なのか分からなくなります。1日だけ置いてから、翌日に手を戻す。それだけで、6週間後に「どこから崩れたか」が言えるようになります。
8つの答えを、家の側の3つの数字に畳む|次の予約日を20秒で決める
最後に、ここまでを1枚に畳みます。持っていくのは、家で届いている場所の数、届いていない場所の数、先週触った日数。この3つだけです。毛の長さも、前回からの日数も、他の家の話も持っていきません。トリミングの間隔は、この3つの数字から機械的に決まります。
| 聞かれること | 答えるために見る数字 | 決まる間隔 |
|---|---|---|
| 次はいつにしますか | 届いていない場所が0〜1か所/先週5日以上 | 8週で押さえる |
| 次はいつにしますか | 届いていない場所が2か所/先週5日以上 | 6〜7週で押さえる |
| 次はいつにしますか | 届いていない場所が3か所以上 | 6週で押さえる |
| 次はいつにしますか | 先週触ったのが週2〜3日 | 上限からさらに1〜2週短く |
| 次はいつにしますか | 数えたことがない | 4〜5週。次の1周期で数える |
| 途中で早めますか | 指が2日続けて止まった | その時点で電話して前へずらす |
この表に入っていないものが、間隔を決める材料になっていなかったものです。毛の長さ、季節、他の家の週数、前回の仕上がりの良し悪し。どれも大事に見えますが、次の予約日を1つに絞る役には立ちません。トリミングの間隔で迷い続ける人は、材料が足りないのではなく、決めるのに使えない材料を多く持っていることのほうが多いです。
毎日のケアの側も、増やさないでください。5か所に順番に手を当てる30秒と、届いていない1か所への5秒。合わせて1分もかかりません。1分で終わる形にしておけば、雨の日も、帰りが遅くなった日も同じようにできます。グルーミングスプレーを布に含ませる形にしているのは、間隔を空けるためではなく、毎日の回数を落とさないためです。回数が落ちなければ、トリミングの間隔は結果としてついてきます。
いつも同じ場所だけをなめ続けている、地肌が赤い、触ると避ける場所が急に増えた、においが日ごとに強くなる、耳を振る回数が増えた、皮膚に見慣れないものがある。こうした変化は、トリミングの間隔を短くしても、家の手を増やしても、そのままでは動きません。被毛の状態ではなく体の側で起きていることがあるので、手入れの回数を足す前に動物病院にご相談ください。前回のサロンからの週数と、指が止まった場所をメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
8つの問いに共通していたのは、答えがサロンの側ではなく家の側にあったということでした。次の予約日を決めているのは、毛の伸び方ではありません。この6週間で、その子のどこに手が入ったかです。数え方さえ決めてしまえば、カウンターの20秒は要らなくなります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
