C09シーン別・暮らし

雨の日の散歩、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?

公開日 2024年11月2日|文=mofuwa編集部

明るい玄関で、大きな布の上に落ち着いて立っている淡い色の犬
拭くより先にできることがあります。布の上に立ってもらうところまでは、体にいちども触れません。写真:Mia X/Pexels

迎えて9日目の夜、初めての雨の日にその子と外へ出て、帰ってきた玄関で30分止まりました。手には布を持っていましたが、近づけると後ろへ下がる。晴れた日の散歩から帰ったあとにやっていた足の拭き取りも、全身が濡れている日はまったく勝手が違いました。濡れたまま部屋へ上げるか、押さえて拭くか。その夜は、この二択しかないように見えていました。保護犬・保護猫を迎えたばかりの家では、乾かし方の話が始まる前に「触らせてくれるかどうか」で止まります。その子はまだ、拭かれることを受け取っていません。以前どうしていたかは分かりませんし、こちらが想像で埋めるところでもありません。この記事では、雨の日の散歩から帰ったあとに拭かない形をあらかじめ用意しておく手順を、5つに分けて書きます。

濡れたまま上げるか、押さえて拭くかの二択になります|雨の日の散歩と、迎えたばかりの保護犬・保護猫

雨の日は、迎えてから何日目でもやってきます。天気はこちらの支度を待ってくれません。困るのは外を歩いているあいだではなく、帰ってきた玄関です。保護犬・保護猫を迎えたばかりの家では、濡れた体を前にして手が止まります。布を持って近づくと後ろへ下がる。押さえてしまえば拭けますが、その1回で、玄関という場所そのものが「押さえられる場所」に変わります。次の雨の日の散歩から帰ったとき、その子は玄関の手前で立ち止まるようになります。

雨の日の散歩について書かれているものの多くは、帰ったあとの乾かし方から始まります。どこから拭くか、どの順番で乾かすか、室内の湿り方をどうするか。どれも役に立つ話ですが、それはその子が拭かれることを受け入れている家の話です。保護犬・保護猫を迎えて数週間の家には、その前提がまだありません。触られることに慣れていないというのは、性格の説明ではなく、こちらとその子で過ごした時間がまだ足りていないという事実です。

だから、順番を1つ入れ替えます。拭き方を覚えるより先に、拭かない形を用意しておきます。雨の日の散歩は、これから何十回もあります。そのうちの最初の数週間を、拭かずに渡す。触れる場所は、そのあいだに1か所ずつ増えていきます。増えた場所だけを拭くようにすれば、押さえる必要はいちどもありません。時間はかかりますが、玄関がその子にとって安全な場所のまま残ります。

Note拭かないことは、放っておくことではありません

雨の日の散歩から帰って何もしない、という話ではありません。やることは、布を敷くこと・場所を作ること・待つこと・記録することの4つで、そのどれもがその子の体に触れません。触らない時間にも、こちら側には手を動かす先があります。保護犬・保護猫を迎えた最初の数週間は、この4つだけで足ります。

布の上に立ってもらうところから始める5つの手順|雨の日の散歩から帰った保護犬・保護猫に触らない

手順は5つあります。1日で5つを通す必要はありません。1から3までは初日からできて、4と5はその子の側が動いてから始まります。雨の日の散歩が5回あって、5回とも1から3で終わってかまいません。保護犬・保護猫を迎えた家でこの手順が崩れるのは、たいてい4を早く始めたときです。

  1. 玄関に、体より大きい布を1枚敷いておく

    古いシーツでも、使わなくなった敷物でもかまいません。その子の体より大きいことだけが条件です。雨の日の散歩に出る前に敷いておきます。帰ってきてから広げると、その動作そのものにその子が反応します。布の上に乗ってもらうのが目的で、拭くための布ではありません。乗ったら、そこでいったん止まります。人は布の外に立っていてください。

  2. リードを一段長く持って、自分で体を振らせる

    犬は濡れると体を振ります。この動作だけで、毛の表面についた水はかなりの量が落ちます。振れないのは、リードが短くて頭が動かせないときと、周りに物があって当たるときです。玄関の靴を片側へ寄せて、リードを持つ手を一段ゆるめる。振り始めたら手を出しません。振ったあとの体は、こちらが5分かけて拭いたのと近いところまで水が減っています。

  3. 座って乾くのを待てる場所を、玄関のそばに作る

    布の隣に、もう1枚。壁が2面ある角があれば、そこに置きます。帰宅後、その子が座って乾くまでの30分をどこで過ごすかを、雨の日の前に決めておきます。部屋の奥へ入れてしまうと、濡れたまま室内を移動することになり、こちらの手当てが家じゅうに散ります。場所を1か所にすると、床の側も1か所で済みます。ここでもまだ触りません。

  4. 触れる場所が1か所増えたら、そこだけを拭く

    数日から数週間で、その子のほうから近づいてくる場所が出てきます。背中の真ん中だけ、前足の甲だけ、といった具合に1か所です。増えた1か所だけを、毛の流れに沿って一往復させます。拭き終わったあと、その子はたいてい同じ場所を自分でなめて確かめます。許してもらえた1か所に何を残すかは、こちらが選んでいることになります。選ぶ物差しは、成分表よりも口の側にあります。mofuwaスキンケアミストの中身は電解水100%で、清涼飲料水の規格基準で測られた水です。玄関に敷いた布へ数滴落としてから当ててください。ボトルの口をその子へ向けると、音と風のほうで下がってしまいます。ほかの場所へ手を伸ばさないでください。1か所が2か所になる日は、その子が決めます。

  5. 何日目にどこを触れたかを、1行だけ書く

    日付と、触れた場所と、下がったかどうか。1日1行です。雨の日の散歩をした日は、その横に「雨」と書き足します。保護犬・保護猫を迎えた家では、変化が小さすぎて記憶のほうに残りません。書いておくと、3週間たったときに「前足は10日目から」と分かります。分かると、こちらが急がなくなります。

雨の日の散歩から帰ってからの30分を、触らない側から組み立てる
時間人がやることその子に触れるか
出かける前玄関に布を敷く/靴を片側へ寄せる触れない
帰宅した直後布の上に乗ってもらう。人は布の外に立つ触れない
0〜1分リードを一段長く持って、自分で振らせる触れない
1〜5分座れる場所へ移ってもらう触れない
5〜30分そばに座って待つ/床に落ちた水を拭く触れない
30分以降触れる場所が1か所あれば、そこだけ一往復1か所だけ
寝る前日付・触れた場所・下がったかを1行書く触れない

この表のなかで人が動いているのは、布・靴・床・記録の4つだけです。その子の体は、最後の1行までどこにも出てきません。雨の日の散歩を何回か重ねると、この形が「帰ってきたときに起きること」としてその子の側に残ります。押さえられないと分かっている場所には、自分から入ってきます。玄関で足が止まらなくなるのが、最初の変化です。

猫のほうにも、同じ考え方が使えます。保護猫は雨の日の散歩に出ませんが、犬が濡れて帰ってきた日は室内の条件が変わります。玄関が湿り、犬が座る場所ができ、においが動く。猫に対しても、その日に手を足さないでください。いつも通りの時刻に、いつも通りの場所で過ごせることのほうが、拭くことより先にあります。

毎日つまずくのは、雨が3日続いた週です|保護犬・保護猫のやり方を止めていい日の決め方

うまくいかない日の話をします。毎日が同じようにはいきません。この手順がいちばん崩れるのは、雨が3日続いた週です。理由は5つあって、どれもその子の側ではなくこちら側の事情です。事情のほうを先に見ておくと、崩れた日に自分を責めずに済みます。

雨が続く週に崩れる5か所と、そこで止めていいこと
崩れるところ何が起きているか止めていいこと
布が乾かない1枚を毎日使うと、2日目から湿ったまま使うことになる布を3枚用意して、乾いた1枚だけ使う
待つ30分が取れない帰宅の時刻が遅い日は、そばに座っていられない待つのをやめる。座れる場所だけ用意しておく
家族のやり方がそろわない別の人が拭こうとすると、その子は前の段階へ戻る拭く役を1人に決める。ほかの人は触らない
記録が飛ぶ3日書かない日が続くと、そのまま終わる雨の日だけ書く。晴れた日は空欄でよい
こちらが待てなくなる何日たっても触れる場所が1か所も増えない週がある増やす目標を持たない。日ではなく週で見る

いちばん多いのは3番目です。保護犬・保護猫を迎えた家では、拭く役を1人に決めておくのが、やり方としていちばん確実です。善意で手を出す人ほど、その子にとっては予測できない手になります。家族には「今はまだ触らない時期です」と一度だけ伝えておく。理由の説明は要りません。伝えるのは時期の話であって、その子の事情ではないからです。

4番目の記録も、続かないことを前提にしておいたほうが残ります。毎日書こうとすると、書けなかった日から止まります。雨の日の散歩をした日だけ書く、と決めてください。月に何日かで足ります。晴れた日の空欄は、あとから読むときに「この週は雨が少なかった」という情報になります。埋めようとして思い出しで書くと、比べる相手として使えなくなります。

Point1つしか続かない日は、布を敷くことだけにする

5つの手順のうち、どれか1つしかできない日は、1番だけにしてください。玄関に布が敷いてあれば、その子は濡れたまま部屋へ直行しません。雨の日の散歩から帰ったあとに起きることのうち、床と室内の側の問題は、これでほとんど収まります。体の側は、あとから追いつきます。保護犬・保護猫を迎えた最初の月は、追いつく順番がこちらの都合と逆になる、と思っておくと楽です。

家でできることは、その子が触らせた場所の数で決まります|雨の日の散歩を数週間重ねる

3週間ほど続けると、記録の紙のほうが読めるようになります。何日目に何が起きたかが並ぶので、進んでいるかどうかを気分ではなく行数で見られます。下は、迎えて1か月の家で実際に起きうる並び方の一例です。日数はその子ごとに違います。この数字に合わせにいかないでください。

触れた場所が1か所ずつ増えていく記録の一例 雨の日の散歩をした日だけを書き足していくと、1か月でこの程度の行数になります。日数はその子ごとに変わります。 1日目 布の上に立つ 布に乗るまで20秒かかった 6日目 自分で体を振る 玄関で振った。水がかなり落ちた 11日目 背中の真ん中 手が近づいても下がらなかった 18日目 前足の甲 触れる場所が2か所になった日 26日目 座って待てる 乾くまで同じ場所から動かない
記録は、進んでいるかどうかを気分ではなく行数で見るためのものです。

この記録から分かるのは、進み方が一直線ではないということです。6日目にできたことが、9日目にはできない日もあります。戻ったように見える日は、たいてい家の側で何かが変わっています。来客があった、家族の帰宅が遅かった、玄関の物の位置が動いた。その子の気分ではなく、条件のほうを先に疑ってください。条件は書き足せますし、直せます。

Cautionこんなときは、玄関の手順を増やす前に動物病院にご相談ください

雨の日の散歩が続いた週に、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、耳を振る回数が増えた、においが数日で変わった、触ろうとすると声を出す、食べる量が落ちている。こうした変化があるときは、玄関でやることを増やす前に動物病院にご相談ください。保護犬・保護猫を迎えて間もない時期は、体の変化と環境の変化が同時に起きているので、家の側だけでは切り分けられません。記録の紙をそのまま持っていくと、いつから続いているのかをその場で見てもらえます。迷ったときは、早いほうを選んでください。

最後に、この手順の目的をもう一度書いておきます。雨の日の散歩から帰った玄関で、こちらが求めているのは「乾いた体」ではありません。求めているのは、玄関がその子にとって押さえられない場所であり続けることです。乾くのは待てば済みます。押さえてしまった記憶のほうは、待っても消えません。

保護犬・保護猫を迎えた家の最初の数週間は、やることの少なさが不安になります。それでも、布を敷いて、振らせて、座れる場所を作って、1行書く。その子が拭かせてくれるまでの数週間を、拭かずに渡してください。触れる場所が1か所増えた日から、雨の日の散歩は、乾かし方の話に戻っていきます。

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よくある質問

濡れたまま部屋へ上げると、床や家具のほうが心配です。どうしていますか。
布を敷く位置を、玄関から部屋へ上がるまでの通り道に合わせてください。帰宅後の30分をその1か所で過ごしてもらえば、水が落ちるのもその1か所になります。人が拭くのは、その子の体ではなく床のほうです。雨の日の散歩が続く週は、布を3枚用意して乾いた1枚を回すと、湿ったものを使い続けずに済みます。
何週間たっても、触れる場所が1か所も増えません。やり方を変えたほうがいいですか。
週単位で見て、変えるのは家の条件のほうにしてください。玄関の明るさ、物の位置、帰宅する人の順番、リードの長さ。保護犬・保護猫を迎えた家では、この4つを1つずつ動かすほうが、触り方を工夫するより先に変化が出ます。手を伸ばす回数を増やすのは、いちばん最後です。
犬と保護猫が同じ家にいます。雨の日は猫にも何かしたほうがいいですか。
その日は増やさないほうが落ち着きます。犬が濡れて帰った日は、玄関が湿り、犬の座る場所ができ、においが動くので、猫の側の条件はすでに変わっています。そこへ手を足すと、変化が2つ重なります。いつもの時刻に、いつもの場所で過ごせることを優先してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。