C04悩み解決
静電気が出やすい子には共通点がある|体の構造から考える
同じ部屋で、同じ毛布に触れて、同じブラシを使っている2頭でも、静電気が出るのは片方だけということがあります。この差を犬種差と呼びますが、分かれ目は品種の名前より手前にあります。毛が何層あるか、つまり毛どうしがこすれる面がいくつあるかです。1層の毛は、外のものとしかこすれません。上毛と下毛の2層を持つ子は、毛の中でも毛どうしがこすれています。同じものに触れていても、内側で起きている量が違う。この記事では、外でこすれる子と内側でもこすれる子に分けて、それぞれで逆になるケアの選び方を整理します。
静電気の犬種差は、毛が何層あるかで決まる
静電気は、性質の違うものがこすれたときに起きています。ここまでは、どの子でも変わりません。差がつくのは、こすれている面がいくつあるかです。被毛が1層の子は、外にあるものとしかこすれません。服、毛布、カーペット、ブラシ、そして飼い主の手。触れている相手は複数あっても、こすれている面は「毛の外側」というひとつだけです。
上毛と下毛の2層を持つ子は、そこにもうひとつ加わります。毛の中で、上毛と下毛がこすれています。その子が歩いて、体をひねって、寝返りを打つたびに、外からは見えない場所で毛どうしがこすれ続けている。同じ部屋にいて、同じものに触れていても、内側で起きている量が違うのはこのためです。
静電気の犬種差として語られているのは、この面の数の差です。品種の名前で覚えてしまうと、混血の子や、同じ品種でも被毛の量に幅がある子を当てはめられなくなります。名前で決めず、その子の根元に下毛があるかどうかで見てください。
- 上毛:外側にある、太くて長い毛。外のものと直接こすれる側です。ここだけを持つ子が「1層」になります
- 下毛:根元に密に生える、細くて柔らかい毛。上毛とのあいだで毛どうしがこすれます。これがある子が「2層」です
- 抜けたまま残っている下毛:換毛期に抜けても、下毛は自然に落ちきりません。毛の中に留まったまま動き、こすれる面をさらに増やします
下毛が密にある猫は、犬と同じ理由で毛の中でもこすれています。犬か猫かではなく、根元に下毛があるかどうかで見てください。静電気の犬種差という言い方をしますが、実際には種をまたいで同じ条件で説明できます。
外でこすれる子と、内側でもこすれる子を比較する
型を2つに分けます。外でこすれる型(下毛がない、または少ない子)と、内側でもこすれる型(下毛が密にある子、毛が長い子)です。静電気の出かた、出るタイミング、換毛期の影響、うるおいの届き方まで、この2つは全部ずれます。
| 外でこすれる型(1層) | 内側でもこすれる型(2層) | |
|---|---|---|
| こすれている場所 | 毛の外側と、外のものだけ | 毛の外側に加えて、上毛と下毛のあいだ |
| 出やすい場面 | 触れた瞬間。パチッと音がすることが多い | ブラッシングの途中から。毛先が広がって落ちてこない |
| 見た目の変わり方 | 毛先が服や手に吸いつく | 毛全体がふくらむ。分け目が戻らない |
| 換毛期の影響 | 小さい。抜ける量そのものが少ない | 大きい。抜けた下毛が残るぶん、面が増える |
| うるおいの届き方 | 部屋の湿りで変わりやすい | 下毛が詰まっていると、湿りが根元まで届かない |
| 先にやること | 触れている相手を替える | 抜けた下毛を、先に外へ出す |
この表でいちばん大事なのは、いちばん下の行です。外でこすれる型は「相手」を変える話、内側でもこすれる型は「毛の中身」を減らす話になります。相手を全部替えても内側の面は減りませんし、下毛を出しても外のものと触れれば静電気は起きます。どっちの型かを先に決めないと、手を入れる場所を間違えます。
静電気の犬種差を「毛が細いから」「毛が長いから」で覚えていると、この2つが混ざります。細さや長さは、面の数とは別の条件です。長くても1層の子はいますし、短くても下毛が密な子はいます。比較するのは長さではなく、層の数です。
根元まで毛を分けて、指に下毛がつくかで見分ける
見分け方は、道具も時間もいりません。毛を根元まで分けて、指に下毛がついてくるかを見るだけです。ついてくる子は、内側でもこすれています。
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背中の真ん中で、毛を左右に分ける
指の腹で、被毛を左右に押し開きます。毛先ではなく、地肌が見えるところまで開いてください。ここで地肌までまっすぐ見通せる子は、外でこすれる型に寄っています。
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分けたところに指を入れて、まっすぐ引き抜く
根元に指を差し入れ、力を入れずにそのまま引き抜きます。引っぱらないでください。抜くのではなく、指のあいだに残るものを見るだけです。
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指についた毛の、太さと長さを見る
太くて長い毛だけなら上毛です。短くて細い、綿のような毛が混じっていたら、それが下毛です。量ではなく、混じっているかどうかで判断します。
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腰・胸・後ろ足のつけ根でも、同じことをする
下毛の密さは体の場所で違います。背中だけで判断せず、4か所で確かめてください。1か所でも下毛がついてくるなら、その子は内側でもこすれる型として扱います。
この見分け方は、換毛期の途中でも使えます。むしろ換毛期のほうが下毛が浮いているので、はっきり出ます。指に綿のような毛がまとまってついてくるなら、それはもう抜けている下毛です。抜けているのに毛の中に残っている状態が、静電気の面をいちばん増やします。
見た目の毛量と、下毛の量は一致しません。ふわふわして見えても上毛が長いだけの子がいますし、短く見えても根元が詰まっている子がいます。静電気の犬種差を写真や品種名から推測せず、その子の根元に指を入れて確かめてください。週に一度でも触っていると、換毛期の入り口にも気づけます。
型が逆なら、やることも逆になる|ケアの選び方
型が決まったら、手を入れる場所を選びます。外でこすれる型と内側でもこすれる型では、やることが逆になります。どちらも「静電気を減らす」という言い方は同じですが、触っている場所が違います。
外でこすれる型のやることは、相手の側にあります。
- 毛が触れている布を、ひとつだけ替える。寝床のカバー、抱っこのときの服、車のシート。全部を一度に替えず、1つずつにします
- ブラッシングは毛先から入れて、1回のストロークを短くする。長く引くほど、こすれている距離が伸びます
- 部屋のうるおいを上げる。1層の子は毛の表面がすぐ外気に触れているので、空気の側の変化が届きやすい型です
内側でもこすれる型のやることは、毛の中にあります。素材を替えても、内側の面は残ったままです。
- ブラッシングの前に、抜けた下毛を外へ出す。根元から少しずつ、地肌に立てないように寝かせて動かします。ここを飛ばして毛先だけ整えると、面が残ったままになります
- うるおいは毛先ではなく、分けた根元へ届ける。表面にかけても、詰まった下毛の上を滑って終わります
- 換毛期は、1回を短く回数を分ける。週に1回10分より、毎日3分のほうが出る量は増えます
この2番目の工程で使えるのが、毛玉予防ジェルです。被毛1本1本をコーティングして、毛どうしが絡まりにくい状態を保つためのものです。表面にかけるのではなく、指で分けた根元に少量を置いて、そこから毛先へ向けてなじませます。内側でもこすれる型の子は、下毛が詰まっていると表面に置いたものが上を滑って終わるので、毛玉予防ジェルを届ける先は毛先ではなく分け目になります。5プッシュを手のひらに広げてから全身へ置き、そのあとブラッシングでなじませて2〜3日に1回。外でこすれる型の子は、触れている布を替える手と並べて使ってください。皮膚が赤くなっている場所や、じゅくじゅくしている場所には使わないでください。
内側でもこすれる型の子に、外の素材だけを替え続けても変わりません。そこでブラシの力を強くする方向へ進むと、地肌に当たって別の問題が出ます。変わらないときは力ではなく、型の見立てを疑ってください。根元にもう一度指を入れて、下毛が残っていないか確かめるのが先です。
毛の層では説明がつかない、根元の変化
毛の層は、急に変わりません。だから静電気の犬種差で説明できるのは、いつも同じように起きている出かたまでです。次のような変化は、層の数では説明がつきません。
- 片側だけ毛が広がる:左右の被毛の作りは基本的に同じです。片側だけの変化は、別の理由で起きています
- 毛が立つのではなく、抜けて地肌が見える:静電気で広がっている毛は、時間がたてば落ちてきます。落ちてこず、地肌が見え続けるのは別の話です
- 根元に白い粉がたまっている:下毛と混ざって見分けにくい場所です。指で分けたときに、毛ではないものがついてこないか見てください
- 分けた根元が赤い、においがある:うるおいが届かない状態が続いた結果として起こることがあります
- 換毛期でもないのに、下毛が大量に出る:時期と量が合わないときは、記録して比べてください
- ブラッシングを急に嫌がるようになった:静電気で驚いているのか、触られると痛いのかは、飼い主でも見分けにくいところです
地肌が見えるほど毛が抜けている、根元が赤い、においが数日続く、同じ場所をかき続ける、触ると痛がる、フケが急に増えた、元気や食欲が落ちている。この7つは、毛が何層あるかでは説明がつきません。ここに挙げた形が出たら、静電気のせいと決めずに動物病院で根元を見てもらってください。層の見立てを続けているあいだに、別のことが進んでいる場合があります。
受診するときは、いつから、体のどこで、ブラッシングの前と後のどちらで気づいたかをメモしてください。根元まで分けた写真が1枚あると、地肌の状態が伝わります。静電気そのものは病気ではありませんが、静電気のせいだと思っていた毛の広がりが、根元の変化から来ていることはあります。層の数で説明がつくかどうかを、最初の分かれ目にしてください。
静電気の犬種差は、品種の名前ではなく根元で決まります。週に一度、背中と腰と胸と後ろ足のつけ根の4か所に指を入れる。綿のような毛がついてくるなら、下毛を先に外へ出して、分け目に毛玉予防ジェルを置いてからブラシへ。ついてこないなら、触れている布をひとつ替える。型が分かっていれば、冬のあいだにやることは毎日同じです。
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よくある質問
- 静電気の犬種差は、猫にも当てはまりますか?
- 当てはまります。下毛が密にある猫は、犬と同じように毛の中で毛どうしがこすれています。根元まで毛を分けて、指に綿のような短い毛がついてくるかで見分けてください。ついてくるなら、内側でもこすれる型として扱います。
- 部屋のうるおいを上げれば、犬種差はなくなりますか?
- 空気の側を変えると、外でこすれる型の子には届きやすくなります。ただ、下毛が詰まっている子は湿りが根元まで入らないため、同じ部屋にいても変化の出かたが違います。うるおいを上げても毛先だけがふくらむときは、先に抜けた下毛を外へ出してください。
- 静電気で毛が広がるとき、短く切ってしまってもいいですか?
- 長さは面の数と別の条件なので、短くしても下毛が残っていれば毛の中でこすれます。カットで変えるなら、長さより下毛の量です。どこをどれだけすくかはトリミングサロンで相談してください。家庭でバリカンを入れると、下毛だけが残って余計に詰まることがあります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
