C04悩み解決
季節の変わり目に毛のもつれが増えるのは、なぜか
12月に入ってからできたもつれを、ひとつだけほどいてみてください。指のあいだに抜けた毛の束が残れば、それは春と秋に多いもつれです。何も出てこなければ、冬に多いもつれです。もつれが季節で増えるとき、入れ替わっているのは数ではなく、もつれの芯に何が入っているかのほうです。芯があるものと、芯がないもの。この2つは、やることが逆になります。
もつれが季節で増えるとき、変わるのは芯の中身
同じ子でも、もつれが増える時期は1年に何度かあります。4月に増えるもつれと、12月に増えるもつれ。数だけを数えていると、どちらも「季節の変わり目にもつれが増えた」で終わってしまいます。ところが、ひとつほどいて中を見ると、入っているものが違います。季節が入れ替えているのは、もつれの数ではなく芯の中身です。
春と秋は換毛期です。抜けた毛は、抜けた瞬間に体から落ちるわけではありません。まわりの被毛に引っかかったまま残り、その子が動くたびに、周りの毛がそこに巻きついていきます。抜けた毛が芯になり、そのまわりに生えている毛が巻きつく。これが春と秋に増えるもつれの作りです。ほどけば、必ず抜け毛が出てきます。
冬に増えるもつれには、芯がありません。空気が乾いて毛先が立ち、服や毛布、カーペットとこすれた回数だけ、毛どうしが引っかかっていきます。中に何かが挟まっているのではなく、毛が毛に絡んでいるだけです。だから、ほどいても何も出てきません。同じ「季節でもつれが増える」でも、中身はこれだけ違います。
もつれの芯とは、絡んだ毛の束の中心に入り込んでいるもののことです。春と秋なら、換毛期に抜けた下毛がこれにあたります。芯があるもつれは、まわりの毛をほどいても中心が残るため、同じ場所に何度も戻ってきます。芯がないもつれは、一度ほどけばその場所は落ち着きます。戻ってくるかどうかで、あとから型を確かめることもできます。
抜け毛が芯のもつれと、こすれて絡むもつれを比較する
2つを並べて比較すると、増える時期も、できる場所も、手の入れ方も違うことが分かります。まず表で全体を見てください。
| 春と秋に増えるもつれ | 冬に増えるもつれ | |
|---|---|---|
| 芯にあるもの | 換毛期に抜けた下毛 | 何もない(毛どうしの絡み) |
| 増える時期 | 3〜5月と、9〜11月 | 12〜2月の、空気が乾いた時期 |
| できやすい場所 | 下毛の多い体の側面、後ろ足のつけ根 | 服やハーネスが当たる面、寝床に接している側 |
| ほどくと出てくるもの | 抜けた毛の束が出てくる | 何も出てこない |
| さわった感じ | 中心が詰まっていて、押すと弾む | 薄く広がっていて、押すとつぶれる |
| 先に手をつけるところ | 被毛の中の抜け毛を外へ出す | こすれる相手を減らす |
| ブラッシングの向き | 根元から浮かせて、下毛を運び出す | 毛先を流して、うるおいをなじませる |
この表でいちばん見てほしいのは、下の2行です。春と秋は被毛の中から出すのが先、冬は外から触れているものを減らすのが先。やることの順番が逆になります。季節でもつれが増えたときに同じ手をかけ続けると、片方の季節では効かない、ということが起こります。
- 冬に増えたもつれに、根元から強くブラシを入れる:芯がないので、絡んだ毛を引っぱっているだけになります
- 春と秋に増えたもつれを、毛先だけ流して終える:芯の抜け毛が残るため、同じ場所に戻ってきます
- どちらの季節も、同じ道具で同じ回数:もつれが増える理由が違うので、片方だけ手つかずのまま進みます
なお、冬に毛先が立つ理由として静電気が挙げられますが、静電気そのものは別の切り口になるため、ここでは「こすれる回数が増える条件のひとつ」として扱います。ここで分けたいのは、芯があるかないかの一点です。
ほどいて抜け毛が出るか|季節ごとの見分け方
見分け方は1つだけです。もつれをひとつ選んで、ほどける範囲だけ指で開き、出てきたものを見ます。道具は使いません。所要は1分ほどです。
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明るいところで、ひとつだけ選ぶ
体じゅうを探さず、いちばん手が届きやすいものをひとつ選びます。暗いところでは、出てきた抜け毛が被毛にまぎれて見えません。窓のそばか、明かりの下でやってください。
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濃い色の布か、白い紙を下に敷く
白い毛の子なら濃い色の布、色の濃い子なら白い紙。出てきた抜け毛を見るための下地です。敷かずにやると、床に落ちて分からなくなります。
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ほどける範囲だけ、指で開く
無理に引かないでください。開かないところで手を止めます。ここで見たいのは、ほどききることではなく、中から何か出てくるかどうかだけです。
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別の場所で、もう2回くり返す
1か所だけでは、たまたまということがあります。体の別の場所で合計3回。3回とも抜け毛が出れば春秋型、3回とも何も出なければ冬型です。混ざるときは、季節の境目にいます。
出てきた抜け毛の量まで数える必要はありません。出るか、出ないか。それだけで、その日にやることが決まります。判断に迷うのは、ほとんどが「少しだけ出た」ときですが、その場合は次の11月と3月の項目を見てください。
指が入らないほど固い束、持ち上げると皮膚が一緒に持ち上がる束、下の皮膚が見えない束、その子が触られると鳴く・振り返る場所。これらはほどける範囲がないので、この見分け方の対象外です。無理に開かず、トリミングサロンに相談してください。束の下の皮膚が赤い、湿っている、においがあるときは、動物病院にご相談ください。
芯があるかないかで、先に外すものの選び方が変わる
型が分かったら、やることを入れ替えます。同じ「もつれを減らす」でも、外すものが違います。回数を増やす話ではありません。
春と秋(芯に抜け毛があるとき)
- 毛先ではなく、被毛の中に残っている抜け毛を外へ出すことを先にします
- 根元の側から少しずつ浮かせて、抜けた毛を表に運び出します。表面だけ何度も流しても、芯は残ります
- 回数を増やすより、1回で下毛まで届いているかを見ます。届いていれば、週2〜3回で足ります
- 換毛期は2か月ほど続きます。そのあいだ、もつれが増えるのはふつうのことです。終わりが来ます
冬(芯がないとき)
- こすれる相手を1つずつ減らします。服、ハーネス、毛布、カーペット。いちばん長く触れているものから外します
- 毛先のうるおいが落ちると毛どうしが引っかかりやすくなるため、ブラッシングの前に毛先をなじませます
- 部屋の湿度を上げると、毛が立ちにくくなります。加湿は、もつれの側にも効いてきます
- 根元から強く入れないこと。芯がないので、引っぱる意味がありません
冬型のもつれは、毛先が乾いて引っかかるところから始まります。こすれる相手を減らすのと同時に、毛の表面を整えておくほうが早く落ち着きます。mofuwa 毛玉予防ジェルは、手のひらに5プッシュ出して全身に伸ばし、ブラッシングでなじませて使います。トリートメント成分が毛を1本ずつ覆うので、毛どうしが引っかかりにくくなります。2〜3日に1回で足りるため、服やハーネスを外したあとのブラッシングに合わせれば、回数は増えません。
すでに束になっているところにも、同じジェルの使い方があります。ほぐしたい束に直接なじませ、その束がしっとり濡れる程度まで含ませてから、ブラシを入れます。ゆるんでこないときは、mofuwa グルーミングスプレーを足してもみこむと、よりほぐれやすくなります。芯に抜け毛が入っているもつれも、先にゆるめてから根元の側へ運び出すほうが、引っぱらずに外せます。切ってしまえばその日は片づきますが、切った場所だけ毛の長さが変わり、生えそろうまで同じところが絡みます。毛玉予防ジェルは、そのはさみを持たずに済ませるためのジェルです。
11月と3月は、両方が混ざる|場所ごとに手を決める
1年のうち2か月だけ、2つの型が同時に出ます。11月と3月です。換毛期の終わりと、空気が乾く時期のはじまりが重なるためです。この時期は、体の場所によって芯があるものとないものが混ざります。1か所ずつ確かめて、場所ごとに決めてください。
| 時期 | 多い型 | 先にやること |
|---|---|---|
| 3〜5月 | 抜け毛が芯 | 被毛の中の抜け毛を外へ出す |
| 6〜8月 | どちらも少ない | 濡れた日に、根元まで乾かしきる |
| 9〜11月 | 抜け毛が芯 | 同じ。ただし秋は春より期間が短い |
| 11月と3月 | 両方が混ざる | 1か所ずつほどいて、確かめてから決める |
| 12〜2月 | こすれて絡む | 触れているものを1つ減らす |
使い分けといっても、道具をそろえ直す必要はありません。同じ日のうちに、場所によって手を変えるだけです。体の側面で抜け毛が出たなら根元から浮かせる、ハーネスの当たる面で何も出なかったなら、その日は当たり面のほうを見直す。それで足ります。
もつれの下の皮膚が赤い、湿っている、においがある、毛が抜けて地肌が見えている、触られると鳴く・振り返る、季節に関係なく同じ1か所だけが戻ってくる。これらは、もつれの手当てで様子を見る対象ではありません。動物病院にご相談ください。とくに、季節が変わっても同じ場所だけが増えるときは、その場所をなめている、こすっているなど、毛の外に理由があることがあります。
季節でもつれが増えること自体は、被毛のある動物では起こります。困るのは、増えた理由を取り違えて、逆の手をかけ続けることのほうです。ほどいて何が出てくるかを見る。1分で終わるこの確かめ方だけで、その日にやることが決まります。
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よくある質問
- 短毛の子でも、季節でもつれは増えますか?
- 下毛のある短毛の子では増えます。毛が短いぶん束が小さく、指で触るまで気づきにくいのが違いです。換毛期は、脇の下と後ろ足のつけ根を指の腹でなでて、引っかかりがないかを確かめてください。小さいうちにほどけば、芯が育ちません。
- 猫にも同じ見分け方が使えますか?
- 使えます。猫は自分で毛づくろいをするぶん、被毛に残った抜け毛が口に入る量が増えます。ほどいて抜け毛が出るようなら、被毛の中に残っている量が多いということなので、その時期だけ人の手で外へ出す回数を増やしてください。
- もつれが増える季節は、シャンプーの回数を増やしたほうがいいですか?
- 回数だけを増やすことはおすすめしません。濡れたまま乾ききらない時間が長いと、かえって絡みやすくなります。洗うなら、洗ったあとに根元まで乾いているかを確かめるところまでを1回と数えてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
