C09シーン別・暮らし
犬と猫の同居、はじめて犬を迎えた人はどうしている?
猫と7年暮らしてきた部屋に犬が来たのは、1月の土曜の午後でした。猫の爪を切る間隔も、毛玉ができやすい時期も、水の器を置く高さも、7年かけて手が覚えています。その手をそのまま伸ばして、3つめで止まりました。ブラシを当てる向き、拭く場所、足の裏の触り方。犬と猫の同居が始まった日にいちばん困ったのは、犬のことを知らないという事実ではなく、猫で覚えたやり方のどれが当てはまるのかを、初めて自分で決めなければならないことでした。初めて犬を迎えた家に基準がないというのは、何も知らないという意味ではありません。基準が猫の側に1つだけあって、それが合っているかどうかを確かめる相手がいない、という意味です。この記事では、猫にやっていたことを書き出して、犬に当てはまらないものを引き算していく手順を5つに分けて書きます。
猫のやり方を1つずつ当てはめて、3つめで止まりました|犬と猫の同居が初めての犬から始まる家の毎日
来た日の夜に、猫にやっていることを順にやってみました。まず毛の流れに沿ってブラシを一往復。これは犬にも通りました。次にあごの下。猫は自分で口が届かない場所なので毎日触っていましたが、犬はそこを触られても、猫のように顔を持ち上げません。3つめが足の裏でした。猫は帰宅という場面がないので、足の裏を拭く習慣そのものがありませんでした。猫の側に、当てはめる元がないのです。ここで手が止まりました。
初めて犬を迎えた人が困るのは、たいてい「どこまでが普通か分からない」という形で説明されます。ただ、先に猫がいる家では、少し形が違います。分からないのではなく、猫という基準を1つだけ持っていて、それを当てはめていいのかどうかが分からない。まったくの手ぶらより厄介なのはここで、猫の7年が「たぶんこれで合っている」という感覚を連れてくるので、確かめる前に手が動いてしまいます。
- ブラシの向き:毛の流れに沿って一往復。犬にもそのまま通りました
- あごの下:猫は毎日。犬は同じ触り方をすると顔をそらします
- 足の裏:猫にはやっていない。犬では毎日の帰宅後に必要になります
- 水の器の高さ:猫は床から高くしていました。犬は床置きで飲みます
- 爪:猫は自分でとぐぶん間隔が空きます。犬は歩く場所で減り方が変わります
- 体を洗う:猫にはほとんどしていません。犬では話が別になります
6つ並べると、通ったのは1つだけでした。残りの5つは、当てはまらないか、そもそも猫の側に元がありません。初めての犬に手を入れるとき、猫の経験は5分の1しか使えない、というのがこの家の出発点です。ただし、使えない5つも無駄ではありませんでした。猫でどうしていたかを覚えているからこそ、犬で何が違うのかを言葉にできます。犬と猫の同居では、この差そのものが手がかりになります。
7年続けてきた猫の手入れは、その猫に合わせて調整されたものです。変える必要はありません。問題は、その調整が猫という1頭に向けて済んでいることで、初めての犬に向けてはまだ何も済んでいないことです。犬と猫の同居が始まった家の毎日は、猫の分と犬の分を足すのではなく、猫の分を書き出して、犬の分を引き算で作るところから始まります。足し算にすると、猫にやっている手数がそのまま犬にも乗って、続きません。
猫にやっていたことを書き出して引き算する5つの手順|犬と猫の同居で初めての犬に家でできること
ここからが手順です。5つに分けますが、1週間にやるのは1つだけにしてください。初めての犬にとって、来たばかりの家で毎日やり方が変わるのはそれ自体が負担になります。犬と猫の同居で家でできることは、正解を早く見つけることではなく、確かめる順番を決めておくことのほうです。
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1日ぶん、猫にやっていることを時刻順に全部書く
朝起きて器を洗った、出かける前にあごの下を拭いた、帰宅後にブラシを当てた、寝る前に水を替えた。やっていることだけを、判断を挟まずに書きます。1日ぶんで足ります。7年ぶんの習慣は、書き出すと10行前後にしかなりません。これが、犬の側を作るときの元になる一覧です。初めて犬を迎えた家では、この紙が唯一の基準になります。
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犬にも当てはまるものに印をつける。迷ったら印をつけない
毛の流れに沿ってブラシ、器を毎日洗う、水を毎日替える。この3つはたいてい印がつきます。迷ったものには印をつけないでください。迷いを残したまま印をつけると、翌週にもう一度迷うことになります。印がつかなかった行が、これから調べる行です。うちでは10行のうち印がついたのは4行でした。
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印のつかなかった行を、1週間に1つずつ調べる
まとめて調べないのが要点です。あごの下を触る頻度、足の裏を拭く時刻、爪の間隔。1週間に1つに絞ると、その週にその子の様子が変わったとき、原因を1つに戻せます。3つ同時に変えると、何が効いたのかが分かりません。初めての犬では、この切り分けができるかどうかで、次の月の手数が変わります。
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道具を分ける。ブラシも布もスプレーも兼ねない
猫用のブラシで犬をとかさない、犬を拭いた布で猫を拭かない。同じ道具を使うと、どちらでどう反応したのかが混ざります。毎日かけるスプレーも、犬にはグルーミングスプレー、猫には猫用に容器から見直されたグルーミングウォーターというように分けておくと、噴射の音でその場から動かれることも減ります。どちらも吹きかけたところをそのまま梳かせるので、ブラシを当てる前の一手として毎日の中に置けます。置き場所は分けてください。手を伸ばした先で道具が決まる形にしておくと、迷う時間がなくなります。
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猫のペースを犬に合わせない。時刻を分ける
同じ時刻に2頭をやろうとすると、必ずどちらかが待つことになります。待っているほうは、その時間ずっと相手を見ています。猫は朝、犬は帰宅後、というように時刻ごと分けてください。犬と猫の同居では、同じ室内にいる時間が長いぶん、手を入れる時刻だけは重ねないほうが落ち着きます。初めての犬にとっても、自分の番が決まっているほうが分かりやすくなります。
| 猫にやっていたこと | 犬に当てはまるか | 犬の側で決めたこと |
|---|---|---|
| 毛の流れに沿ってブラシ | 当てはまる | 帰宅後に一往復。同じ向き |
| 器を毎日洗う | 当てはまる | 同じ。器は分ける |
| 水を毎日替える | 当てはまる | 同じ。高さだけ床置きに変更 |
| あごの下を毎日拭く | 当てはまらない | 週2回に減らし、顔をそらさない位置から |
| 爪を3週間ごと | 当てはまらない | 散歩の量で減るので、見てから決める |
| 高い場所に登る前提の掃除 | 当てはまらない | 犬は床から30センチの高さが中心 |
| 猫のいる部屋で音を立てない | 当てはまらない | 犬は帰宅後にいちばん動く時間がある |
| 足の裏を拭く | 猫の側に元がない | 新しく作る。帰宅後の毎日1回 |
| 散歩のあとの手入れ | 猫の側に元がない | 新しく作る。玄関を上がる前に |
| 体を洗う日を決める | 猫の側に元がない | 新しく作る。頻度は次の項で |
表にすると、犬の側の行は3つに分かれます。そのまま使える行、減らして使える行、猫の側に元がなくて新しく作る行。初めて犬を迎えた人が全部を一度に作ろうとして止まるのは、3つめの行があるからです。新しく作る行は3つしかありません。数が見えると、手のつけ方が決まります。犬と猫の同居で家でできることは、この3行を1週間に1つずつ立てていくところまでです。
引き算が止まるのは、道具を1つで兼ねているとき|犬と猫の同居で初めての犬がつまずく頻度の話
引き算の手順で、実際につまずいたところを3つ書きます。いちばん多かったのが、道具を兼ねていたことでした。同じブラシを両方に使っていた週は、犬がブラシを嫌がっているのか、猫のにおいがついたブラシを嫌がっているのかが分かりませんでした。2本に分けた翌日から、犬はブラシの前で座るようになりました。初めての犬では、こういう理由の切り分けに時間がかかります。道具を分けるのは、迷う回数を減らすためです。
2つめが頻度です。猫は自分でやれる範囲が広く、人が代わっているのは口の届かない数か所だけでした。犬はそこが逆で、人が代わる範囲がずっと広い。猫と同じ頻度を犬に当てはめると、犬の側が足りなくなります。逆に、犬に合わせた頻度を猫へ持っていくと、猫は触られる回数が増えて嫌がります。犬と猫の同居では、頻度をそろえないことが前提になります。
| 猫(7年) | 初めての犬 | そろえるとどうなるか | |
|---|---|---|---|
| ブラシ | 週2回 | 毎日1回 | 猫に合わせると犬の毛が絡みます |
| 足の裏 | していない | 毎日1回 | 猫に合わせると外のものが室内に入ります |
| あごの下 | 毎日 | 週2回 | 犬に合わせると猫の分が減ります |
| 体を洗う | 年に数回 | 月1回前後 | 猫に合わせると犬のにおいが残ります |
| 爪 | 3週間ごと | 見てから決める | 日数で決めると犬は合いません |
3つめが、時刻を重ねてしまうことでした。夜にまとめてやろうとすると、猫のほうが先に部屋を出ていきます。犬は待っているあいだ、こちらの手元をずっと見ています。順番を決めるのではなく、時刻そのものを離してください。猫は朝の10分、犬は帰宅後の5分。1日の中で2回に分かれるほうが、1回にまとめるより短く終わりました。初めての犬を迎えた家では、時刻が分かれていること自体がその子の目安になります。
犬を洗った日は、乾くまでのあいだ毛の表面がそろっていません。その状態で猫と同じソファに乗ると、においの行き来が増えます。洗う日と、洗う日のあいだの毎日を、別の手順として立てておいてください。犬にはグルーミングスプレーを布に含ませて、足の裏と背中を毛の流れに沿って一往復。すすぎがいらないので、帰宅後の5分の中で終わります。舐めても問題のない基準でつくられているぶん、量を気にせず布を湿らせられます。猫には猫用のグルーミングウォーターを、あごの下と背中に。同じ日にやってもかまいませんが、道具と時刻は分けます。初めての犬に何をどれだけ使うかは、この形で1か月続けてから決めれば足ります。
猫の経験は、そのままでは使えないが比べる基準になる|犬と猫の同居が初めてでも続くコツ
2か月たったところを書きます。犬の側の行は、そのまま使える3つ、減らして使える3つ、新しく作った3つの合計9行になりました。猫の側は10行のまま変わっていません。足したのではなく、猫の10行を写して削って組み直したので、増えた手間は帰宅後の5分だけです。初めての犬を迎えた家でも、この形なら毎日の中に収まりました。
続けるコツを1つだけ挙げるなら、猫のほうを変えないことです。犬が来ると、つい猫の側も見直したくなります。ただ、両方を同時に動かすと、どちらの変化が何によるものか分からなくなります。猫の10行は、犬の側を組み立てるあいだ、動かない基準として置いておくほうが役に立ちました。犬と猫の同居では、比べる相手が家の中に1頭いるというのが、実はいちばん大きい持ち物です。
比べ方も具体的にしておきます。犬の毛の抜け方が多いと感じた日に、猫の布と見比べます。同じ日に同じ室内で、両方とも増えているなら、その日の湿度や掃除の間隔のほうが動いています。犬だけが増えているなら、犬の側で何かが変わっています。初めて犬を迎えた人には、この2択に絞れるだけで判断がずいぶん早くなります。猫の経験そのものは犬に使えなくても、同じ室内で並べる相手としては毎日使えます。
最後に、比べても決められないことを書いておきます。片方だけ同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、毛が左右で違う減り方をしている、食べる量が3日以上戻らない、耳を気にする回数が増えた。こうした変化があるときは、手入れの頻度を変える前に動物病院にご相談ください。犬と猫の同居では、片方の変化がもう片方の様子に紛れて、気づくのが遅れることがあります。書き出した10行の紙と、いつから変わったのかをメモして持っていくと、その場で切り分けてもらえます。初めての犬でどこまでが普通か分からないときは、迷った時点で相談して構いません。
猫の7年は、犬にそのまま渡せませんでした。渡せたのは10行のうち3行で、残りは削るか、新しく作るかでした。それでも、書き出した紙がなければ、削ることも作ることもできませんでした。犬と猫の同居を初めて始める家では、犬のことを一から調べるより先に、猫にやっていることを1日ぶん書き出すほうが早く進みます。使えない行が見えることが、そのまま手順になります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 猫にやっていたことを書き出すのに、何日ぶん必要ですか。
- 1日ぶんで足ります。7年続けてきた習慣でも、時刻順に書き出すと10行前後にしかなりません。週に1回だけやっていることは、その行の横に「週1」と添えれば足ります。日数を増やすほど紙が長くなり、印をつける工程が進まなくなります。犬と猫の同居を始めた最初の週は、短い紙のほうが使えます。
- ブラシや布を分けると、置き場所が増えて散らかりませんか。
- 置き場所を分けることそのものが目的なので、まとめないほうが結果として早く終わります。犬の道具は玄関の近く、猫の道具は猫が過ごす部屋の近く、というように、使う場所の側に置いてください。手を伸ばした先で道具が決まる形にすると、初めての犬でも迷う時間がなくなります。数が増えて困るようなら、布だけでも色を分けてください。
- 猫が犬を避けています。手入れの時刻を分ければ戻りますか。
- 時刻を分けることで、少なくとも人の手が原因になる部分は減らせます。ただ、猫が距離を取るかどうかは、その猫がどれだけ変化を受け取れるかで決まるので、日数はその子ごとに違います。無理に近づけず、猫が自分から出てくる時刻を1週間書き留めてみてください。その時刻が少しずつ早くなっていれば進んでいます。食べる量や水の減り方が変わったまま戻らないときは、動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
