C09シーン別・暮らし
共働きで時間がない人のための多頭で暮らす|5分で終わらせるケア
犬2頭と猫2頭の多頭飼いで、平日に帰り着くのが19時40分、そこから寝るまでに自由に使えるのは30分ほどです。ケアそのものは3分で終わります。ブラシを一往復、足の裏を拭く。それだけです。それなのに、帰宅後の作業は毎晩7分かかっていました。差の4分がどこへ消えているのかを、1週間ぶん時計を見ながら数えてみたことがあります。時間がないと感じていたのは、手を動かす時間ではなく、4頭のうちどの子に何かあったのかを見分ける時間のほうでした。この記事は、その見分けを目から場所へ移した話です。
4頭を見分けるのに4分、手を入れるのは3分でした|多頭飼いで時間がないと感じる帰宅後の中身
帰宅後の7分を、実際に分けて書きます。19時40分に玄関の鍵を開けると、犬2頭が来ます。猫は来ません。荷物を置いて、まず室内を歩いて4頭の居場所を確かめます。ソファの下、カーテンの裏、台所の足元、寝室のベッドの上。4頭が同時に見える瞬間は、一日のうちに一度もありません。探し終えるまでに、だいたい4分かかっていました。
そこからが手を動かす時間です。ブラシを毛の流れに沿って一往復、四つ足の裏を拭く。1頭あたり45秒ほどで、4頭で3分。つまり、ケアの3分より、その前の4分のほうが長い。共働きの家で時間がないと言うとき、頭に浮かんでいるのはブラシと拭き取りのほうですが、実際に削れていたのはそこではありませんでした。多頭飼いの毎日で伸びていたのは、見るだけの時間です。
- 19:40〜19:41:玄関で犬2頭。ここは待っていてくれるので早い
- 19:41〜19:44:室内を歩いて、猫2頭の居場所を探す。夜は場所が毎日変わる
- 19:44〜19:45:4頭それぞれの様子を、前の晩と比べて思い出す
- 19:45〜19:48:ブラシと足の裏。ここだけが手を動かしている時間
- 19:48〜:食器と水の器。これは人の夕食の支度と一緒にできる
この内訳を見て最初に思ったのは、探す時間を短くすれば済むということでした。実際、呼べば来る子を先に呼び、来ない子を後から探す順にしてみましたが、7分は6分半にしかなりません。探す時間を削ろうとしても、探す対象が4つあるという条件は変わらないからです。多頭飼いで時間がない家では、順番の工夫より前に、見るという行為そのものの置き場所を疑ったほうが早いという結論になりました。
ブラシの3分は、これ以上短くできません。むしろ1頭45秒はかなり短いほうで、ここを削ると触れなくなります。多頭飼いで削れるのは、手を動かしている時間ではなく、手を動かす前の時間です。時間がないという感覚は、作業の総量ではなく、判断が終わらないまま次の用事が来ることから生まれています。夕食の支度も洗濯も待っているので、判断が長引くほど、その晩は何もできなかったという印象だけが残ります。
触る時間は頭数で割れても、見分ける時間は割れない|多頭飼いで時間がない理由と背景
頭数が増えると1頭あたりの時間が減る、というのはよく言われます。実際そのとおりで、ブラシの時間は頭数で割られます。ただ、割られるのは手のほうだけです。見分けの時間は、頭数で割れません。むしろ増えます。多頭飼いで時間がないと感じる理由は、割られる側と増える側が同じ7分の中に混ざっていることにあります。
増える理由は3つあります。1つめは、見る対象が4つあるのではなく、4つそれぞれについて「前の晩はどうだったか」を思い出す必要があることです。目の前の状態だけを見ても、変化かどうかは決まりません。前の晩と比べて初めて意味が出ます。頭数が増えると、思い出す相手も増えます。
2つめは、ほとんどの晩、ほとんどの子がいつも通りだということです。4頭のうち3頭がいつも通りだと、その3頭を見た目が「いつも通り」に慣れます。残りの1頭に少しだけ違うところがあっても、直前に見た3頭が基準を上書きしてしまいます。1頭だけと暮らしていたころは、その子の前の晩としか比べようがありませんでした。多頭飼いの背景には、比べる相手が横に増えるという条件があります。
3つめが、探す時間です。犬は玄関に来ますが、猫は来ません。来ない子は、室内のどこかにいます。探している数分間は、見分けが一度も進んでいない時間です。そして探す時間は、頭数ではなく部屋数と家具の数で決まります。だから頭数を増やしていない家でも、模様替えをしただけで帰宅後が延びることがあります。
| 中身 | 頭数が増えるとどうなるか | うちの4頭での実測 |
|---|---|---|
| ブラシと足の裏 | 1頭あたりが短くなる(割られる) | 1頭45秒/合計3分 |
| 居場所を探す | 部屋数と家具で決まる(頭数では割れない) | 3分 |
| 前の晩と比べて思い出す | 頭数のぶんだけ増える | 1分 |
| どの子から手を入れるか決める | 選択肢が増えるほど長くなる | 20秒ほど |
| 食器と水の器 | まとめてできる(割られる) | 夕食の支度と同時 |
共働きの家には、もう一つの条件が重なります。使える時刻が朝と夜の2つしかないことです。朝は出勤の時刻が決まっているので動かせません。残るのは夜だけで、その夜に7分かかると、他のことが押し出されます。時間がないというのは総量の話ではなく、入れられる時刻がひとつしかないという意味です。だから、伸びている4分を短くできるかどうかが、そのまま毎日続くかどうかを決めます。
寝る場所を1頭に1か所ずつ決めて、目のかわりに場所を見る|多頭飼いの毎日でできること
変えられるのは、見る側ではなく見られる側の条件でした。その子がどこにいるかが毎晩変わるから、探すことになります。逆に、その子の場所が決まっていれば、探す工程はなくなります。見る対象は4頭ではなく、決まった4か所に変わります。多頭飼いの家でできることは、目を速くすることではなく、目が行く先を固定しておくことです。
ここで大事なのは、人が場所を決めないことです。こちらが決めた寝床に寝てくれる子は、そう多くありません。決めるのはその子で、こちらがやるのは、すでにその子が選んでいる場所を見つけて、そこを整えることです。順番にすると5つになります。
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1週間、どこで寝ていたかを書くだけにする
この週は何も変えません。帰宅後に見つけた場所を、日付と一緒に紙へ書きます。犬2頭は同じソファのことが多く、猫は日によって寝室と台所に分かれました。1週間ぶんそろうと、その子の場所が2〜3か所に絞れます。ここで多頭飼いの現状が分かるので、この1週間は時間が増えたようには感じません。実際に増えるのは翌週からです。
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いちばん多かった場所を、その子の場所として残す
7日のうち4日以上いた場所を、その子の場所とします。2か所が並んだ子は、玄関から遠いほうを残します。帰宅後にこちらが歩く距離が短くなるからです。残さなかった場所は、片づけずにそのまま置いておきます。取り上げると、別の新しい場所に移ってしまいます。
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場所どうしを離す
犬2頭が同じソファに並んでいると、そこは1か所ではなく2頭ぶんです。片方をソファの下か、隣の部屋の入口側に移します。目安は、こちらが立った位置から2頭が同時に視界に入らないくらいの距離です。同時に見えると、また比べる目が働いて、いつも通りの側に引っぱられます。室内が狭ければ、高さを変えるだけでも足ります。
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その場所に、洗える布を1枚だけ敷く
その子専用の1枚にします。色は明るいものを選んでください。布があると、その子がそこにいない時間の情報が残ります。抜けた毛の量、湿り、においの強さ。触らなくても、布を見ればその日ぶんが分かります。週に1回、日を決めて洗います。4頭なら4枚なので、洗濯機に一度で入ります。
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帰宅後は、触る前に4か所を順に見る
順番は玄関から遠い順に固定します。1か所5秒、4か所で20秒。見るのは布と、その上にいるかどうかの2つだけです。いれば、その子の様子をそこで見ます。いなければ、布の毛の量を見ます。ここまでで、探す3分がまるごと消えます。手を入れるのはこのあとです。
この形にすると、判断の順番が入れ替わります。以前は、4頭を見つけて、全員を見て、そのあとどの子から触るかを決めていました。いまは、4か所を20秒で見て、いちばん変わっていた1か所の子から触ります。残りの3頭は、ブラシを一往復するだけです。多頭飼いで時間がない夜に、4頭へ同じ手を入れようとすると、必ずどこかで止まります。手の量を頭数で均等に割らないほうが、結果として続きました。
毎晩ちがう順で見ていると、前の晩と比べるときに、記憶をたぐる工程が入ります。順番が固定されていると、4番目に見た布の状態は、前の晩の4番目と自動的に並びます。紙に書き残さなくても、順番そのものが記録の代わりになります。多頭飼いで習慣が続かないのは、やることが多いからではなく、毎回決め直しているからです。決め直す回数を減らすほど、時間がない夜でも同じ手順が通ります。
触る前に場所を見るようにして3週間で起きた変化
布を敷いてからの3週間を、時計で測った数字で書きます。1週目は、4頭ともまだ布の上とそれ以外を行き来していて、探す時間は2分ほど残りました。2週目には犬2頭が布に定着し、猫のうち1頭も夜だけ同じ場所に来るようになりました。3週目で、帰宅後の合計が4分になりました。減ったのは見分けの4分が1分になったぶんで、ブラシの3分は変わっていません。
| 探す時間 | 見分けの時間 | 手を動かす時間 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 導入前 | 3分 | 1分20秒 | 3分 | 7分20秒 |
| 1週目 | 2分 | 1分 | 3分 | 6分 |
| 2週目 | 40秒 | 40秒 | 3分 | 4分20秒 |
| 3週目 | 20秒 | 40秒 | 3分 | 4分 |
数字より大きい変化は、別のところにありました。2週目の途中で、猫1頭の布に、いつもより毛が多く落ちている日が2日続きました。以前なら気づかなかったと思います。その子は帰宅時に姿を見せない子で、こちらが探し当てたときには、たいてい落ち着いて丸くなっていたからです。その子を見て気づいたのではなく、その子がいない場所を見て気づきました。多頭飼いの経験として、これがいちばん大きい変化でした。
手を入れる側も変わりました。時間がない夜は、4頭全部に同じことをしません。布を見て、いちばん変わっていた1頭にだけ手を伸ばします。足の指のあいだと足先は、毛づくろいで届くのが表面までなので、そこから先はなめて減らそうとするしかありません。使っているのは mofuwa 入浴シャンプーで、お湯に溶かして使うものです。泡を被毛の上からのせてかき分けるのではなく、湯のほうを洗浄液にしてしまう形なので、擦る工程がありません。洗面器に湯を張って、その1頭の前足だけを入れます。全身をやろうとせず、その晩に見た1か所から始めます。残りの3頭は、ブラシだけで終わりにします。順番は次の晩に回ってきます。
犬と猫が混ざっている多頭飼いでは、道具を1つで兼ねないほうが楽でした。犬用と猫用で洗面器と布を分けておくと、どちらに使ったかを迷わずに済みます。猫のほうは、湯を張る音が届かない場所で先に用意しておくと、帰宅後にその場から動かれません。道具を分けるのは衛生のためというより、迷う時間をこれ以上増やさないためです。時間がない夜に効くのは、判断の数を減らす工夫のほうです。
最後に、場所で見分ける形にしても、家では決められないことを書いておきます。布の毛の量が3日以上続けて増えている、同じ子だけが毎晩ちがう場所へ移る、いつもの場所から動かない時間が急に長くなった、水の減り方が変わった。こうした変化が重なっているときは、ブラシの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。多頭飼いの家では、1頭の変化がほかの子の様子に紛れて遅れて見つかります。布を敷いた日からの記録を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。迷ったときは早いほうを選んで構いません。
共働きで時間がない条件は、この3週間で変わっていません。帰る時刻も、使える時刻が夜だけなのも同じです。変えたのは、4頭を目で追うのをやめて、4か所を順に見るようにしたことだけでした。触る前に、場所を見る。多頭飼いの毎日で最初に手をつけるのは、ケアの中身ではなく、その手前にある見分けのほうだと思います。
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mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
