C09シーン別・暮らし

水が苦手な猫と暮らす人のための停電・断水のとき|5分で終わらせるケア

公開日 2025年3月15日|文=mofuwa編集部

明るく静かな部屋で、淡い色のクッションの上に丸くなって眠っている猫
電気が止まった日でも、その子の1日の過ごし方はほとんど変わっていませんでした。写真:Nadiye Odabaşı/Pexels

夜10時すぎに停電して、翌朝から水が出なくなった日、いちばん最初に確かめに行ったのは猫のいる部屋でした。その子は、いつもの窓辺のクッションで、いつもと同じ丸まり方で寝ていました。起きてもいません。こちらは懐中電灯を持って部屋を3往復していたのに、その子の1日は、昨日とほとんど同じ形のまま進んでいました。断水の日のペットのケアをどうするかを考える前に、水が嫌いな猫の側では、そもそも何が減っているのかを数えてみたほうが早い。この記事は、その5分ぶんの話です。

停電した夜、動いていたのは人のほうでした|水が嫌いな猫と断水の日に見た経験

その夜の記録を、時刻で並べます。22時すぎに照明が落ちて、冷蔵庫の低い音が止まりました。懐中電灯を探して、スマートフォンの残量を見て、居間と寝室を行ったり来たり。猫のいる部屋の扉を開けたのは、停電から10分ほどたってからです。その子は窓辺のクッションで丸まったままで、扉の音で耳だけ動かして、また戻りました。翌朝、蛇口をひねっても水が出ませんでした。

断水の初日、人の側では変わったことが山ほどありました。手が洗えない、食器が洗えない、床が拭けない、風呂に入れない。一方で、その子の1日を追いかけてみると、起きて、食べて、窓辺で寝て、夕方に少し動いて、また寝る。時刻もほとんど同じでした。うちの猫は水が嫌いな子です。ふだんから、こちらが水を使ってその子を洗うことはありません。だから、水が止まったことでその子の側から消えたものが、思っていたより少なかったのです。

気になって、その日の夜に紙へ書き出しました。停電で止まったもの、断水で止まったもの、そのうちその子が実際に使っていたもの。3つ目の欄が、ほとんど埋まりませんでした。照明は、暗くなれば寝る子なので使っていません。エアコンは季節によります。給湯は、ふだんから使っていません。テレビも掃除機も、その子にとっては無いほうが静かなくらいです。困っていたのは、こちらでした。

Note何もしなくていい、という話ではありません

6つのうち2つは、その子の側に届きます。飲み水と、居場所の温度です。この2つには手を入れます。ただ、残りの4つは、人が不便になっただけで、猫の生活は動いていません。断水の日にやることを考えるとき、6つ全部を埋めようとすると手が足りなくなります。先に、届いていない4つを外してしまうほうが、残った2つに時間を回せます。

水が嫌いな猫は、もともと蛇口の側で暮らしていません|断水がペットに届きにくい背景

水を使わない前提で毎日が組まれている家では、断水で失うものが少なくなります。当たり前のようですが、実際に停電と断水が重なるまで、そこを数えたことがありませんでした。水が嫌いな猫と暮らしていると、洗う工程は最初から毎日の中にありません。ブラシと、乾いた布と、猫用 mofuwa グルーミングウォーター。使っているのはこの3つで、どれも蛇口とつながっていません。水を張る、湯を沸かす、流す、という工程がどこにも入っていないので、蛇口が止まっても抜け落ちる手順がありません。断水の日に止まる工程が、はじめから存在しないのです。

そもそも猫は、体の手入れの多くを自分でやります。人が代わっているのは、その子の口が届かない場所や、届いても回数が足りない場所だけです。その代わりの手も、水を使わない形で組んであります。水が嫌いな子では、無理に濡らすとその日の残りが落ち着かなくなるので、濡らさない方法を選び続けた結果です。断水になっても、この部分は何も変わりません。ペットのケアで断水がいちばん効くのは、日常的に洗っている家のほうです。

停電と断水で止まるものを、人の側とペットの側に分けて数える
止まったもの人の側で起きること水が嫌いな猫の側で起きること
照明手元と足元が見えない変化なし。暗いほうが動きやすい子もいます
蛇口の水手洗い・食器洗い・掃除が止まる体には使っていないので変化なし
給湯湯が出ない使っていないので変化なし
洗濯機寝床の布が洗えない数日は変化なし。においは残ります
飲み水飲料の確保が必要になる毎日使っている。ここだけ手を入れます
冷暖房室温が動く居場所の温度が動く。ここも手を入れます
家電の音静かで落ち着かない嫌いな音が減る。むしろ静かで済みます

表の右の列を見ると、手を入れる場所は2つに絞られます。飲み水と、居場所の温度。残りの5行は、人が不便になっているだけで、その子の1日には届いていません。ここを混ぜてしまうと、断水の日に「猫のために何かをしなければ」という気持ちだけが残ります。そして、その気持ちのまま動くと、いちばんやってはいけないことをやってしまいます。ふだんと違うことを、その子にやってしまうのです。

水が嫌いな猫にとって、いちばん条件が変わるのは、人の動き方です。懐中電灯の光が壁を動く。人が同じ部屋を何度も往復する。声が大きくなる。ふだん開けない扉が開く。断水と停電で、その子の側に実際に届く変化は、水でも電気でもなく、人の落ち着かなさのほうでした。器の水は替えられます。温度は毛布で足せます。ただ、人の動きだけは、意識しないと元に戻りません。

飲み水の器と、居場所の温度|断水の日に5分で終わらせるケアの中身

ここからが、実際にやることです。5分と書いたのは、それ以上かけると、かえってその子の1日を動かしてしまうからです。手を入れる先は飲み水と居場所の温度の2つだけで、どちらもその子の体には触りません。猫の側に手を伸ばす工程が入ると、水が嫌いな子ほど、その日の残りの過ごし方が変わります。

  1. 飲み水を、いつもの器のまま入れ替える(2分)

    断水の日にいちばん先に手を入れるのはここです。ただし、器も置き場所も変えません。ペットボトルの水を、いつもの器へ、いつもの高さのまま注ぐ。器をすすげない日は、乾いた布で内側を一度ぬぐってから注ぎます。新しい器を出す、置き場所を安全な場所へ移す、といったことはしないでください。水が嫌いな猫は、水そのものではなく、水まわりの変化に反応します。器が変わると、飲む量のほうが落ちます。

  2. 居場所の床に、手のひらを置く(1分)

    エアコンが止まると、その子がいつもいる場所の温度が先に動きます。体温計ではなく、手のひらで足ります。朝と夕方の2回、その子が寝ている場所の床か、クッションの表面に手のひらを当てて、昨日より温かいか冷たいかだけを見ます。冷たければ、いま部屋にある毛布をクッションの下に1枚足す。暑ければ、日の当たらない側の床を1か所空けておく。動かすのは、その子ではなく周りのほうです。

  3. 人の動きを、いつもの時刻に戻す(1分)

    これがいちばん効きました。懐中電灯を持って歩き回る回数を、意識して減らします。ごはんの時刻を変えない。夜に部屋を何往復もしない。声の大きさを戻す。断水と停電のあいだ、その子が受け取る変化のほとんどが人の動きなので、ここを戻すだけで、その子の1日はほとんど元のままになります。何かをしてあげるより、いつもと同じ動きをするほうが、水が嫌いな猫には届きます。

  4. 気になる1か所だけ、乾いた布で一往復する(1分)

    口のまわりや、あごの下。食べたあとに気になる場所が1か所あれば、乾いた布か、グルーミングウォーターを含ませた布で、毛の流れに沿って一往復。全身はやりません。断水だからやるのではなく、ふだんと同じ回数で足ります。停電した部屋では冷蔵庫の音も換気の音も消えているので、ふだんは気にならない小さな音がよく通ります。押し出して使うボトルで噴射の音が出ないことは、この夜にかぎってはふだんより助かりました。断水を理由に回数を増やすと、その子にとっては触られる時間が増えただけになります。ふだん2日に1回なら、その日も2日に1回のままです。

この4つを合わせて5分です。ペットのケアとしては短いように見えますが、飲み水だけは断水の日に必ず手を入れる一方で、残りの3つは、どれも「その子に何かを足す」動作ではありません。温度を測る、動きを戻す、いつもの回数を守る。3つとも、こちらの側の調整です。猫は水が嫌いでも、生活そのものは水と切り離れて回っています。だから断水の日にやることは、猫を助けることではなく、猫の生活を人が崩さないことになります。

Pointこの日に、新しいものを出さない

非常用として買ってあったペット用品を、断水の日に初めて開けるのはおすすめしません。新しいにおいのするものが、いちばん落ち着かない日に1つ増えます。水が嫌いな猫は、水そのものより「見慣れないものが近づいてくること」に反応します。備えとして買っておくなら、平時に一度開けて、いつもの棚に置いて、においが部屋の一部になってから断水の日を迎えるほうが確実です。停電の夜に封を切るのは、いちばん条件が悪い使い方になります。

電気と水が戻った日に、取り返さない|水が嫌いな猫との毎日へ帰る変化

3日目の夕方に電気が戻り、その夜に水も出ました。人の側では、洗濯機を回し、床を拭き、食器を洗い、家中の明かりをつけました。その日、猫のいる部屋でやったことは、器の水を入れ替えたことだけです。止まっていた数日ぶんを取り戻そうとして、いつもより長く触る、いつもより念入りに拭く。これをやらなかったのは、断水のあいだにその子の側で減っていたものが、ほとんど無かったからです。

断水の3日間で、実際に減ったものと減らなかったもの
3日間で減ったか戻った日にやったこと
飲んだ水の量減らなかった(器を変えなかったため)いつもどおり入れ替えた
食べた量減らなかった何もしていない
寝ていた場所変わらなかった何もしていない
毛づくろいの回数見た範囲では変わらなかった何もしていない
人が触った回数ふだんと同じ回数を保った増やしていない
寝床の布のにおい3日ぶん残った翌日に洗って、完全に乾かしてから戻した
人の側の落ち着かなさ1日目がいちばん大きかった時刻を戻すことで2日目から収まった

戻った日に唯一やったのは、寝床の布を洗って、完全に乾かしてから戻すことでした。ここだけは、3日ぶんが積み上がる場所だからです。ただ、それも当日ではなく翌日にしています。電気が戻った日は、家電の音が一度に戻ってくる日でもあるので、その日に洗濯機まで回すと、静かだった3日間からの落差が大きくなります。水が嫌いな猫は、音の変化にも反応します。1日ずらすだけで、その落差が半分になりました。

ふだん使っているのは、猫用 mofuwa グルーミングウォーターです。中身は犬猫向けのグルーミングスプレーと同じもので、猫向けにイオンを少し調整し、容器をスプレーから押し出して使うボトルへ替えてあります。スプレーの音を嫌がる猫がいるという飼い主さんの声が多く集まって、中身ではなく容器のほうを直した1本です。嫌がっていたのは水ではなく音だった、という直し方をしています。家電が全部止まっていた3日間は、その差がふだんよりはっきり出ました。

使い方も変えていません。口のまわりと、その子が自分で届きにくい背中の一部に、布へ含ませて一往復させるだけです。断水だから増やす、電気が戻ったから取り返す、という使い方はしていません。水が出ない日は、使った布をその場ですすげません。だから、布に含ませるものが毛づくろいで口に入る前提かどうかは、こういう日ほど気になります。グルーミングウォーターは猫が自分で舐めても問題のない基準でつくられているので、断水の3日間に、そこを一度も確かめ直さずに済みました。水が嫌いな子では、回数の変化そのものがその子の1日を動かします。変えないでいられることのほうが、この数日はよほど大事でした。

もう1つ、数え分けておきたいことがあります。断水のあいだ、あるいは戻ったあとに、水を飲む量が明らかに変わった、食べる量が戻らない、トイレの回数が変わったまま、同じ場所をなめ続けている、隠れて出てこない日が続いている。こうした変化は、停電や断水では説明のつかない範囲です。器を替えたせいなのか、そうでないのかも、家では切り分けられません。数日たっても戻らないときは、拭き取りやケアの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。停電が何日目だったか、器を替えたかどうか、飲んだ量が減ったのは何日目からか。この3つは家の側でしか残っていない記録なので、書き出して持っていってください。

停電と断水を一度通って残ったのは、備えが増えたことではありませんでした。その子の1日が、思っていたよりずっと電気と水から離れたところで回っていた、という数え直しのほうです。水が嫌いな猫と暮らしていると、洗う工程がもともと毎日の中にありません。だから断水の日にやることは、5分で足ります。残りの時間は、人が自分の生活を立て直すほうに使って構いません。それが結果として、その子にとっていちばん静かな数日になります。

Product

猫用 mofuwa グルーミングウォーター

猫用 mofuwa グルーミングウォーター

300ml / 2,970円(税込)

猫のために容器から見直したケアウォーター。拭き取りが要らず、噴射音が出にくいタイプです。

商品ページを見る

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。