C09シーン別・暮らし
散歩から帰ったあとを楽にする、保護犬・保護猫を迎えた人の毎日の習慣
迎えて3週目の夕方、散歩から帰って玄関のドアを開けたら、その子はたたきの上で9秒立ち止まりました。リードは緩んでいて、外を振り返るでもなく、ただそこにいます。数えたのはあとから思い出したからで、そのときは秒数など見ていません。見ていたのは、こちらが勝手に思いついた3つの理由のほうでした。散歩後の玄関で、その子が何を思っていたのかは、いまも分かりません。保護犬・保護猫を迎えた家では、分からないことのほうが多い状態から毎日が始まります。それでも人は空白を埋めます。埋めた推測は翌日には別のものに変わり、そのたびに散歩後のケアの手つきまで変わっていきました。この記事は、推測をやめて玄関で起きている動作だけを見るようにした、6週間の話です。
玄関で9秒立ち止まった日に、こちらは理由を3つ思いつきました|保護犬・保護猫を迎えた家の散歩後の経験
その日の夕方に起きたことを、順番に書きます。18時前に散歩から戻って、鍵を開けて、ドアを引きました。先に入るだろうと思って半歩よけたのですが、入りません。たたきの上で止まったまま、正面を向いています。リードは緩んでいて、こちらを見上げるでもなく、外を振り返るでもありません。声をかけて、少し待って、それから一緒に上がりました。あとで思い返して数え直すと、9秒くらいだったと思います。
そのあいだ、こちらの頭の中にあったのは秒数ではありませんでした。思いついた理由は3つです。散歩が短すぎてまだ帰りたくないのかもしれない。玄関の段差が高いのかもしれない。それとも、家に入るのがまだ落ち着かないのかもしれない。3つとも、こちらが勝手に思いついたことです。この家に来て3週間の保護犬で、それより前のことは何も分かりません。分からないものを埋めるのに、思いつきを使っていました。
問題は、その思いつきが翌日の手を動かしてしまったことです。散歩が短かったのかもしれないと思った日は、翌日コースを長くしました。段差かもしれないと思った日は、玄関にマットを足しました。落ち着かないのかもしれないと思った日は、帰宅後に触るのをやめました。1週間で、散歩後のケアの手順が3回変わっています。その週にその子の側で何が変わったのかは、結局まったく分かりませんでした。手のほうが毎日動いていたからです。
保護犬・保護猫を迎えた家で、この形になっている人は多いと思います。悪意のある推測ではありません。むしろ、その子のことを考えようとした結果です。ただ、考えた中身が推測だと、次の日には別の推測に置き換わります。置き換わるたびに、こちらの手が動く。そうすると、比べる相手がどこにも残りません。散歩後のケアがうまくいっているのかどうかも、判断できないままになります。
- たたきの上で立ち止まった:秒数だけなら数えられます。理由は数えられません
- ドアを開けたとき、先に入ったか:入ったか入らなかったかの2択です
- 上がってから外を振り返ったか:振り返った回数で足ります
- 片足を上げたまま止まったか:どの足かまでは、無理に見なくていいです
- たたきに座ったか:座った日と座らなかった日を分けるだけ
- 寝床までまっすぐ行ったか:途中で止まったなら、その位置を書きます
保護犬・保護猫を迎えると、玄関で止まる、音に振り向く、特定の場所を避けるといった動作を見ることがあります。それを以前の暮らしの話に結びつけて説明することは、この記事ではしません。こちらには確かめようがないからです。使うのは「この家に来てから何日目か」という数え方だけにしています。分からないことを分からないままにしておくと、代わりに数えられるものが見えてきます。この記事はそちらの話です。
気持ちを当てにいくほど、散歩後のケアの手が毎日入れ替わる背景
なぜ推測が増えるのか。理由は単純で、手元にある情報が少なすぎるからです。ふつう、犬猫と暮らしていると、その子の来歴が判断の材料になります。何を食べてきたか、どこで寝ていたか、どんな音に慣れているか。保護犬・保護猫を迎えた家では、その材料が最初からありません。人は空白があると埋めようとします。埋める材料がないと、思いつきで埋まります。
もう1つ、玄関という場所の性質もあります。散歩後の玄関は、一日のうちでその子の動作がいちばん多い場所です。外から帰ってきて、リードを外して、足元に手が入って、部屋へ上がる。動作が多いということは、読み取れそうな材料が多いということでもあります。実際には読み取れないのですが、多く見えるぶん、こちらの解釈も増えます。台所で水を飲んでいるところより、玄関のほうが理由を思いつきやすいのは、そのためです。
| 推測から始める | 動作から始める | |
|---|---|---|
| 出発点 | たぶん落ち着かないのだろう | たたきで9秒止まった |
| 翌日やること | その日思いついたことによる | 前日と同じ手順をそのまま |
| 1週間後に残るもの | 変えた手順が3つ | 秒数が7日ぶん |
| 比べられるか | 手が毎日違うので比べられない | 手が同じなので、その子の側だけが動きます |
| その子の側の負担 | 毎日ちがう手が来ます | 毎日同じ手が同じ順で来ます |
| 人の側の負担 | 毎晩考える時間が要ります | 書くのに20秒 |
表の右下が、いちばん言いたいところです。推測でやると、毎日考える時間が発生します。帰宅後にリードを外しながら、今日は何をどうするかを決め直す。保護犬・保護猫を迎えた最初の数週間は、それでなくても決めることが多い時期です。ここに毎日の判断を足すと、続きません。動作を1つ数えるだけなら、玄関に紙を貼っておいて20秒で済みます。
手が毎日変わることは、その子の側にも影響します。散歩後の玄関でこちらの動きが日ごとに違うと、次に何が来るかが読めません。触られることにまだ慣れていない子にとって、読めない手はそれ自体が条件になります。拭く場所が日によって変わる、順番が変わる、触る時間の長さが変わる。よかれと思って組み替えているつもりが、室内へ上がるまでの数分を毎日新しくしていることになります。
室内へ運ばれるものの話も、ここに関わります。散歩後の玄関でこちらが手を止めなければ、外から持ち帰ったものはそのまま床へ運ばれます。においも一緒に上がります。つまり玄関でやることは、必ず毎日やる必要があります。毎日やることだからこそ、手順を固定しておく価値があります。日によって手を変えていいのは、そもそも毎日やらなくていいことのほうです。
動作は数えられて、気持ちは数えられない|保護犬・保護猫の散歩後のケアで推測をやめる理由
やり方を変えたのは、迎えて4週目です。玄関に紙を1枚貼って、その日に見る動作を1つだけ決めました。その日に見る動作を先に決めておくのが、いちばん大事なところです。帰ってきてから何を見るか考えると、また解釈が始まります。朝のうちに「今日はたたきで止まった秒数」と決めておけば、夕方はそれを見て書くだけになります。
選んだ動作は4つです。たたきで立ち止まる/ドアを開けたときに先に入る/上がってから外を振り返る/片足を上げたまま止まる。この4つにしたのは、どれも玄関のたたきの上で、10秒以内に終わるからです。道具は要りません。しゃがむ必要もありません。散歩後にリードを持ったまま見られるものだけを残しました。見るのに手が要る動作を選ぶと、続きません。
| 動作 | 書き方 | 変わったときに動かす場所 |
|---|---|---|
| たたきで立ち止まる | 秒数を1つ(9秒、5秒、0秒) | 短くなってきたら、玄関で触る場所を1か所足せます |
| ドアを開けたとき先に入る | 入った/入らない の2択 | 先に入る日が続いたら、待つ時間を短くできます |
| 上がってから外を振り返る | 回数(0回・1回・2回以上) | 0回が続いたら、リードを外す位置を玄関の内側へ動かせます |
| 片足を上げたまま止まる | あった/なかった | なくなったら、足の裏を拭く順番をいつもの1本に固定できます |
| (共通) | 1日1つだけ | 4つ全部を毎日見ようとすると、3日で止まります |
右の列を見ると分かるとおり、動作が変わるまで、こちらの手は動かしません。ここが推測でやっていたときとの違いです。前は「たぶんこうだから」でその日のうちに手を変えていました。いまは、数字が2回続けて変わってから動かします。1回だけの変化では動かしません。散歩後のケアの手順は固定したままで、動くのはその子の側だけ、という形になります。
固定する手順のほうも、短くしてあります。玄関でやるのは四つ足の裏を、立たせたまま片足ずつ一往復。それだけです。抱き上げません。体をぐるりと拭くこともしません。保護犬・保護猫では、触る面積を増やすほど、その日ごとの許容の幅が結果に出ます。面積が小さいほうが、日ごとのぶれも小さくなります。ぶれが小さいと、動作の変化のほうが読み取りやすくなります。
拭くものは mofuwa スキンケアミストにしています。においが1つ増えたことを、その子がどう受け取ったかは、玄関では読み取れません。読み取れないなら増やさない、というのがここでの決め方でした。香りを足す設計になっていないので、一往復に加わる条件は、布が湿っているかどうかだけになります。体に直接吹きかけないのも同じ理由で、音と風がその子にとって新しいできごとになるからです。布のほうを湿らせてから手に持てば、動きはいつもの一往復と同じままです。毎日やることの中身を変えずに、拭くものだけが変わる。散歩後の数分に足していいのは、この程度の変更だと思っています。
紙は玄関の壁に貼ってあります。ペンも一緒にぶら下げてあります。部屋に持ち込んで夜に書こうとすると、たいてい書けません。その日の帰宅後の記憶は、夕食の支度が始まると消えます。玄関で、リードを掛けるついでに1つ書く。1日20秒です。日付と、動作の名前と、数字か○×だけ。文章にしないことも大事で、文章にすると解釈が入ります。保護犬・保護猫を迎えた最初の数週間は、記録に手間をかけないほうが最後まで残ります。
1日1つの動作だけを書く|6週間で見えたことと、散歩後のケアの考え方
6週間ぶんの紙が残っています。空欄の日もあります。書けなかった日は空欄のままにしました。思い出して埋めると、その行は比べる相手として使えなくなるからです。それでも、42日のうち34日ぶんは埋まりました。並べてみると、こちらが毎晩考えていたころには見えなかったものが出てきます。
| 週 | いちばん長い日 | いちばん短い日 | 書けた日数 |
|---|---|---|---|
| 1週目(記録の開始) | 11秒 | 6秒 | 6日 |
| 2週目 | 9秒 | 4秒 | 5日 |
| 3週目 | 9秒 | 2秒 | 6日 |
| 4週目 | 6秒 | 0秒 | 5日 |
| 5週目 | 5秒 | 0秒 | 6日 |
| 6週目 | 3秒 | 0秒 | 6日 |
1日ずつ見ていたときは、まったく分かりませんでした。3週目にも9秒の日があるので、その日だけを見れば「変わっていない」と感じます。変わっていたのは、長い日ではなく短い日のほうでした。6秒より短い日がなかった週から、0秒の日が出る週へ。この動き方は、週ごとに並べないと見えません。気持ちを推し量っていたころのこちらには、そもそも並べるものがありませんでした。
散歩後のケアの手順は、この6週間で1回だけ変えました。4週目に0秒の日が2回続いたので、玄関で触る場所を足の裏4本から、足の裏と前足の甲に増やしています。変えたのはそれだけです。推測でやっていた最初の1週間で3回変えたのと比べると、ずいぶん少ない。それでも、その子の側の数字は動いています。手を動かさなくても変わるものがある、というのがこの6週間でいちばんはっきりしたことです。
保護猫を迎えた家でも、置き換えれば同じことができます。散歩に出ない子なら、玄関の代わりに「部屋の扉を開けたときに出てくるまでの秒数」や「人が座ってから同じ部屋に来るまでの時間」を数えます。数える場所が違うだけで、考え方は変わりません。気持ちを当てにいかず、動作を1日1つ書く。保護犬・保護猫のどちらでも、この形は組めます。
- 1日に見る動作は1つだけ:4つ全部を毎日見ようとすると、3日で止まります
- 朝のうちに、今日見るものを決める:帰宅後に決めると、また解釈が始まります
- 数字か○×だけ書く:文章にすると推測が混ざります
- 書けない日は空欄:埋めた行は比べる相手になりません
- 手順は、2回続けて変化が出るまで動かさない:1回の変化では動かしません
- 週ごとに並べて見る:日ごとに見ると、長い日に引っぱられます
毎日の習慣としては、これで全部です。玄関で足の裏を一往復して、紙に1つ書く。かかる時間は合わせて2分もありません。散歩後のケアを厚くする話ではなく、むしろ薄くして固定する話になりました。保護犬・保護猫を迎えた家では、こちらの手を厚くするより、同じ手を同じ順で毎日出すほうが、その子の側の変化が見えやすくなります。手が薄いぶん、変化はその子の動作のほうに出ます。
ここまで書いてきたのは、玄関での動作を数える話です。体の側の変化は、これとは別に扱ってください。足を頻繁になめている、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、耳を振る回数が増えた、食べる量が減ったまま戻らない、水を飲む量が明らかに増えた、触ると声を出す。こうした変化があるときは、記録を続ける前に動物病院にご相談ください。保護犬・保護猫では以前のことが分からないぶん、家で原因を決めにいかないほうが早く済みます。書きためた紙をそのまま持っていくと、いつからかを伝えるのに使えます。
最後にもう一度書きます。玄関で立ち止まっているとき、その子が何を思っているのかは、いまも分かりません。分からないことは、分からないままでいいのだと思います。代わりに数えられるものが玄関にはいくつもあります。立ち止まる、先に入る、振り返る、足を上げる。1日1つ書いておくと、6週間後に紙のほうが教えてくれます。保護犬・保護猫を迎えた家の散歩後のケアで、いちばん先に決めておくとよかったのは、手順ではなく、何を数えるかのほうでした。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
