C04悩み解決
シニア期の口のにおい|若い頃と同じケアでは追いつかない
朝ごはんのあと、上唇を持ち上げようとしたら、顔をすっと横に向けられました。13歳の犬です。口臭が気になりはじめたのは、その少し前でした。若い頃は歯みがきに3分かけられたのに、いまは20秒で終わりにするしかありません。シニア期に入って先に変わったのは、においの強さではなく、口を触らせてくれる時間そのものでした。この記事は、3分の内容を早送りする話ではありません。20秒でやることを決め直す話です。
口臭より先に短くなったもの|シニアで歯みがきが続かない理由
若い頃の歯みがきは、ソファに座らせて、後ろから軽く抱えて、前歯の外側から奥へ順にブラシを動かし、最後に反対側へ移る、という流れでした。3分ほどかかります。その3分のあいだ、口を開けたまま待っていてくれました。いまは、上唇に指がかかった時点で頭が下がります。においは前より強くなっているのに、手をかけられる時間だけが短くなっていく。シニアの口臭で行き詰まる理由は、たいていここにあります。
このとき「嫌がるようになった」で片づけないでください。代わりに、秒数を数えます。手を口に持っていってから、顔を背けるまで何秒かを、心の中で数えるだけです。3日続けて数えると、だいたい同じところで止まることが分かります。冒頭の犬は18〜22秒でした。この数字が、いまのケアの前提です。
| 見る場所 | 若い頃 | いま |
|---|---|---|
| 触らせてくれる時間 | 3分ほど。途中で止めても戻れる | 18〜22秒。一度背けると、その日は戻らない |
| 姿勢 | 抱えられたまま、首を上に向けていられる | 10秒ほどで体が傾き、前足で踏ん張り直す |
| 途中で止まる場所 | とくに決まっていない | 右の奥のあたりで、毎回同じように頭を引く |
| においの出方 | 食後だけ、口を近づけると分かる程度 | 口を閉じていても、寝床の近くで分かる日がある |
右の列だけを見ると、口臭が強くなったことより、口に手が届く時間が7分の1以下になったことのほうが大きな変化です。歯みがきという作業は、口を触らせてくれることの上に成り立っています。土台の秒数が変われば、その上に載せる内容も変えるしかありません。犬でも猫でも、ここは同じです。
ストップウォッチは使わないでください。画面を見ているあいだに、その子の顔が動きます。手を近づけたところから、頭が横を向くまでを、頭の中で数えるだけで十分です。3日分の数字が10秒台なら10秒台の、30秒台なら30秒台の組み立てにします。日によって10秒違うのは普通です。いちばん短い日に合わせてください。
触らせてくれる時間が縮む、シニア期の3つの変化
秒数が縮む背景には、においとは別のところで起きている変化があります。大きく3つに分かれます。どれも「口臭が強くなったから嫌がる」のではなく、「口に手が届かなくなった結果、においの出どころが手つかずで残る」という向きの話です。
- 口の中に、触られたくない場所ができる:若い頃は口の中のどこに指が当たっても反応は同じでした。いまは、特定の場所でだけ頭を引きます。歯ぐきの一部、奥のほう、片側だけ。場所が決まっているのが特徴です
- その体勢を保てなくなる:歯みがきの姿勢は、体力を使います。首を上に向け続ける、後ろ足で踏ん張る、抱えられたまま体を立てておく。この3つのどれかができなくなると、口の中の状態とは関係なく、途中で体が抜けます
- 近づいてくる手が分かりにくくなる:目が見えにくくなると、手が来ることに気づけず、触れた瞬間に驚きます。耳が遠くなると、いつもの声かけが届きません。驚かせた回数だけ、翌日以降の秒数が短くなります
3つ目は見落とされやすいところです。においや歯の状態を疑って口の中ばかり見ていると、手の近づけ方という、口の外側の問題に気づけません。正面から急に顔へ手を出すのをやめて、肩に一度手を置いてから顔へ移すだけで、秒数が5秒伸びることがあります。まず、この経験をしてみてください。
そのあいだ、口臭そのものは待ってくれません。口のまわりの被毛には、よだれと皮脂と食べこぼしが混ざって残ります。部屋の換気をして、寝床のカバーを週に一度替えておくと、部屋にこもるにおいと、その子の口から出ているにおいを分けて考えられます。雑菌が増えるのは、湿ったものが乾かないまま置かれている場所です。口の中に手が届かない日でも、この外側は毎日整えられます。
20秒で終わるのを30秒に伸ばそうとして、体を押さえる。これをやると、翌日の秒数はさらに短くなります。シニア期は、一度こわい思いをしたことが長く残ります。今日30秒稼ぐより、明日も20秒あるほうが、1か月で見れば触れる回数はずっと多くなります。
3分を早送りしない|20秒でやることを決め直す考え方
いちばんやりがちなのが、3分の内容をそのまま20秒に押し込むことです。前歯から奥歯まで、両側を、急いで一周する。これは口の中を素早くこすることになり、いちばん触られたくない場所にも、いちばん雑に当たります。そして次の日、秒数はさらに減ります。早送りは、内容を薄くしながら嫌がられる、という一番よくない組み合わせです。
そこで、3分でやっていた内容を捨てて、20秒でやることをゼロから決め直します。考え方はひとつだけです。どこか1か所だけを、日替わりで。1日で口の中を一周するのをやめて、1週間で一周します。
| 曜日 | その日にさわる場所 | 口の中に入るか |
|---|---|---|
| 月 | 右上の外側だけ | 入る |
| 火 | 左上の外側だけ | 入る |
| 水 | 前歯の外側だけ | 入る |
| 木 | 口のまわりと、あごの下の拭き取りだけ | 入らない |
| 金 | 右下の外側だけ | 入る |
| 土 | 左下の外側だけ | 入る |
| 日 | 何もしない。顔を触って終わり | 入らない |
木曜と日曜を「口の中に入らない日」として先に決めておくのがコツです。毎日きっちり入れようとすると、疲れている日にできなかったことが失敗に見えて、そのまま週ごと崩れます。入らない日が最初から2日ある組み立てなら、崩れる余地がありません。
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声をかけて、手を見せてから触れる
目が見えにくい子には、手のにおいを嗅がせてから顔に触れます。ここに3秒使って構いません。驚かせないことが、20秒を守るための一手目です。
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上唇を持ち上げず、頬の外から指を当てる
外側から頬ごしに歯の位置を確かめます。口を開けさせないので、嫌がられにくくなります。この時点で頭を引くなら、その日はここで終わりです。
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その日の1か所だけ、5〜8秒
布を巻いた指でも、小さなブラシでも構いません。他の場所には行かないでください。行こうとした瞬間に、その子は「まだ続く」と分かります。
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顔を背けられる前に、自分から終わる
18秒で背けられる子なら、15秒で切り上げます。終わり方を飼い主の側が決めた日は、翌日の秒数が落ちません。ここがシニア期の口臭ケアで、いちばん効く一手です。
この組み立てにすると、1週間の合計時間は3分×週2回より短くなります。それで構いません。目的は合計時間ではなく、口の中を毎日ひと目見られることと、触られることに体が慣れたままでいることの2つだからです。週2回だった手が週5回になれば、変化に気づくまでの日数は確実に短くなります。
においが消えなくても続いた|飼い主の経験
冒頭の犬は、この20秒の組み立てに切り替えて2か月続きました。口臭が消えたかというと、消えていません。変わったのは、毎日口の中を見られるようになったことのほうです。ある朝、右下の外側にさわった瞬間だけ、いつもより早く頭を引きました。前の週まではなかった動きです。その日のうちに動物病院へ相談しました。20秒のケアが見つけたのは、においではなく、この一瞬の違いでした。
シニアの口臭を扱うときは、消すことを目標に置かないほうが続きます。目標を「毎日20秒、口に手が届く状態を保つこと」に置き換えると、できたかどうかがその日のうちに分かります。できたか分からない目標は、続きません。
- その日さわった場所と、かかった秒数(2つだけ。手帳に3文字で足ります)
- いつもより早く頭を引いた場所があったか
- よだれの量が増えていないか。口のまわりの毛が、朝から湿っていないか
- 口を気にするしぐさ(前足でこする、床に顔をこすりつける、口を開けたまま止まる)
- 水を飲む量と、体重。月に一度でかまいません
口を触ると声を出す、昨日まで触らせてくれた場所を急に触らせなくなった、よだれが増えた、顔の片側だけ腫れている、前足で口を気にし続ける、においが数日で急に強くなった、体重が落ちてきた。いずれかに当てはまるときは、家庭でのケアを続ける段階ではありません。動物病院にご相談ください。シニア期は、様子を見ているあいだに他のことも重なります。迷ったら早いほうを選んでください。
受診の前に、数えていた秒数と、頭を引いた場所のメモを持っていってください。「いつからか」より「どこを触ったときか」のほうが、伝わる情報になります。診察の直前に口のまわりを拭いてしまうと、よだれの量や色が分からなくなることがあるため、そのまま連れて行くほうが確実です。
木曜と日曜は、口の中に入らない日として先に決めてあります。この2日を「何もしない日」にすると、週の途中で手が離れます。口のまわりとあごの下には、よだれと皮脂と食べこぼしが混ざって残るので、入らない日はここを拭く日にしています。拭いたところは、そのあと本人がなめます。だから物差しは成分表の側ではなく、口に入ってよいかどうかの側に置きました。mofuwa スキンケアミストが通しているのは、化粧品の基準ではなく清涼飲料水の規格基準です。シニアの口臭を扱う場所に置く1本としては、そこが条件になります。布に含ませて、口のまわり、あごの下、前足の内側の順に。前足を最後にしているのは、口を気にしてこすった前足が、においをそこへ移しているからです。
この20秒は、口臭が消えたかどうかで続けるものではありません。3日かけて数えた秒数が、来月も18秒のままかどうか。見るのはそこです。終わり方をこちらで決めた日から、秒数は落ちなくなります。1年ぶん続けると、右の奥をいつから触らせなくなったのかが、手帳の3文字だけで分かるようになります。シニア期の口臭は、消す仕事ではなく、口に手が届く秒数を残す仕事として置いておくほうが、結局は長く続きます。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
