C03使い方・お手入れ手順
術後の子のケア手順
術後2日目の朝、寝床の横に座って、片手をその子の背中に添えたまま、もう片方でブラシを取ろうとして止まりました。床に並べていた道具は3つ、使える手は1本です。1つ取るたびに、支えている手を離すか、体をひねって腕を伸ばすかを選ぶことになります。術後のケアの手順で最初に決めるのは、触る場所の広さや1回の分数より、道具を持ち替える回数のほうです。持ち替えが4回ある並べ方と、2回で済む並べ方では、同じ内容でも終わる時刻が2分違います。この記事では、その2回に収める順番と、3回目が出てしまう場所を書きます。傷と縫合部の扱い、洗ってよい日の判断は、手術をした先生の指示が先です。
支える手を置いたまま残る1本|術後のケア手順で持ち替えの順番を先に決める
術後のケアの手順は、床に何をどう並べるかで半分が決まります。寝床の横に人が1人座り、片手はその子の背中か胸に添えたまま。この姿勢から動かせるのは、もう片方の1本だけです。mofuwa グルーミングスプレーとコットン、ブラシ、紙。この4つを取る順番を先に決めておかないと、取るたびに支えている手が離れます。数えるのは、支える手を離した回数です。これを持ち替えの回数と呼びます。
| 場面 | 置き場所を決めていないとき | 使う順に並べたとき |
|---|---|---|
| 1本目を取る | 立ち上がって棚から取る(1回) | 手の届く床から取る(0回) |
| コットンに取る | 容器を床に置き、両手を使う(1回) | 手のひらに出して、容器はそのまま(0回) |
| ブラシへ持ち替える | 1本目を棚へ戻してから取る(1回) | 床へ置いてそのまま取る(1回) |
| 紙に書く | 道具を全部片づけてから探す(1回) | 先に開いておいた紙へ(1回) |
| 合計 | 4回 | 2回 |
術後は、体をひねる動きがそのままその子に伝わります。こちらが腕を伸ばして棚へ手を出すと、添えていた手が3センチずれ、その3センチでその子が身をこわばらせることがあります。持ち替えを2回に減らすのは、時間の節約ではなく、その子の体が動く回数を減らすためです。4回の並べ方だと、1回のケアでその子の体は4度揺れます。
持ち替えの回数を数えるときは、秒数を一緒に見なくてかまいません。回数のほうが先です。回数が決まると、1回の長さは自然に短くなります。逆に分数から決めると、短くしようとして手の動きが速くなり、支える力のほうが先に抜けます。術後の手順で分数を先に置かないのは、この順番のためです。
傷と縫合部については、手術をした先生から受けた指示の範囲を紙の上に書き写しておいてください。触ってよい面がどこまでかは、その子の術式によって違います。動物病院で聞いた線を、家の側で広げたり狭めたりはしません。家が決めるのは、その線の内側をどの順番で、何回の持ち替えで回るかだけです。
並べる・当てる・梳かす・戻す|術後のケアのやり方を90秒の手順に収める
持ち替え2回の並びで組むと、術後のケアは1回90秒に収まります。準備に20秒、体に触るのが50秒、書いて終わるのに20秒。その子を起こさず、体勢も変えずに済む形です。5つの手順を、寝床の横に座った姿勢のまま通します。
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1|使う順に、床へ半円で並べる(20秒)
座ったときに利き手が届く範囲だけに置きます。奥から1本目、コットン、ブラシ、紙。半円に並べると、腕を伸ばす距離がどれも同じになります。並べ終わってから座るのではなく、座った位置から手を伸ばして届く場所に並べるのが順番です。ここを逆にすると、1回目で必ず立ち上がることになります。
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2|支える手を決めて、そこから動かさない(10秒)
背中の真ん中か、胸の横。その子が体重を預けてくる側に手のひらを置きます。この手は、90秒のあいだ一度も離しません。離さないと決めてしまうと、残りの手順が自動的に片手用に組み替わります。どちらの手を支えに使うかは、その子の寝ている向きで決まるので、日によって入れ替わってかまいません。
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3|手のひらに出してから、面で当てる(30秒)
容器を体に向けて押すのではなく、自由な手の手のひらへ出します。指先ではなく手のひら全体で、毛の向きに沿って一方向に運びます。舐めても困らないように作られた1本なので、量を数えずに使えます。手のひらが乾いてきたら、容器はそのままの位置で、もう一度出せばよいだけです。ここまで持ち替えは0回です。
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4|床に置いて、そのままブラシへ(20秒)
1本目を棚へ戻さず、床のもとの位置に置きます。ここが1回目の持ち替えです。湿っているうちに梳かすと、毛が浮かずに寝たまま流れるので、引っぱりが出ません。乾いた毛にブラシを入れると静電気で毛が立ち、その一瞬の引っぱりが、術後のその子にはいちばん伝わります。
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5|紙に2行だけ書いて、道具は並べたまま(10秒)
触った場所と、持ち替えが何回だったか。この2行です。書き終えても道具は片づけません。並べたままにしておくと、次の回が手順1を飛ばして始められます。これが2回目の持ち替えで、その日の合計が2回で終わります。片づけるのは、その子が自分で立ち上がった日からです。
この並びで mofuwa グルーミングスプレーを1本目に置いているのは、吹きかけるという動作をやめても使えるからです。術後は音と霧のどちらも避けたい時期なので、ノズルを体へ向けません。手のひらに出してから運べば、その子に届くのは手の温度と、手のひらに広がった液だけになります。犬も猫も体から脂を出すので、動けない日でも背中の真ん中は毎日汚れていきます。毎日きれいにしておきたい、という側から手順を組めるのがこの1本の位置です。
落ちるのは余分な皮脂のほうです。アルカリ性の電解水と毛についた油がなじんで乳化するので、手のひらに薄く汚れが移ってきます。必要な皮脂まで持っていかないので、90秒の手順を毎日続けても、毛のさわり心地が変わりません。手のひらに移った汚れの量が、その日の1か所を決める材料にもなります。多く移った面は、翌日も同じ場所から始めます。
起き上がれない時期は、浴室で立つ手順が全部使えません。そのぶんを寝床の横で埋める形になるので、手順の数を増やしたくなります。増やす前に、持ち替えの回数を見てください。2回のままで面を広げられるなら足してよく、3回に増えるなら足しません。術後のケアで足していいのは、持ち替えが増えない範囲です。
3回目の持ち替えが出る場所|術後のケア手順が崩れるところと、戻すコツ
2回で組んだ手順が3回になるのは、決まった場所です。そこが分かっていれば、手順そのものを組み替えずに戻せます。3つあります。
- コットンを床に落とす:拾うために支える手が離れ、その1回で3回目が発生します。落としたものは拾わず、半円の中に予備を1枚重ねておくほうが早い
- その子が自分で体をずらす:支える手の位置が合わなくなり、置き直すために両手を使います。ずらされたらその回はそこで終わりにして、次の回で続けます
- ほかの子が寝床のそばへ来る:手を伸ばして止めるので、支える手が離れます。始める前に扉を閉めるか、半円を壁側に組むと起きません
3つとも、原因は手順の中身ではなく、半円の組み方のほうにあります。落とす、ずれる、来る。この3つが週に何回出たかを紙の端に書いておくと、並べ方をどう直せばよいかが2週間で見えてきます。術後のケアのコツは、手を速くすることではなく、支える手が離れる場面を先に潰しておくことです。
持ち替えは2回のままなのに、5日続けて90秒を超えている/同じ面で毎回その子が身をこわばらせる/支える手を置いた場所を、毎回かわされる/手のひらに移る汚れが、1週間で急に増えた/触っていない面だけを、その子が舐め続けている。こうした変わり方は、並べ方の話では説明がつきません。持ち替えの回数と分数を書いた紙を持って、動物病院で体のほうを見てもらう日をつくってください。何日目から何秒に伸びたのか、どの面でかわされたのかが、紙1枚でそのまま伝わります。手順を足すのは、その日より後にします。
反対に、持ち替えが3回に増えているのに90秒で終わっている日は、直さなくてかまいません。その子が起き上がりはじめた時期は、こちらの手が離れても体勢が崩れないので、回数が1回増えても通ります。回数だけを見て直しにかかると、回復して動けるようになった変化を、手順の崩れと読み違えることがあります。
寝返りの回数に合わせて1回ずつ|術後のケアの頻度と手順を毎日へ戻していく
術後のケアの頻度を上げる合図は、その子が自分で寝返りを打った回数です。日数でも、抜糸からの週数でもありません。1日のうちに自分で向きを変えた回数を数えて、それが3日続けて増えていたら、90秒の手順を1回だけ足します。向きが変わるということは、支える手に預けてくる体重が減っているということです。
| 1日に自分で向きを変えた回数 | 1日の回数 | 触る面 | 持ち替えの上限 |
|---|---|---|---|
| 0〜1回 | 1回(90秒) | 背中の真ん中だけ | 2回 |
| 2〜3回 | 2回 | 背中と、上になっている側の脇 | 2回 |
| 4回以上 | 2回+ブラシだけの1回 | 反対側の脇まで | 3回 |
| 自分で立ち上がる | 朝と夜の2回 | 四肢のつけ根まで | 決めなくてよい |
表の右端を見てください。頻度を上げるより先に、持ち替えの上限が動きます。ここが逆になると、回数を増やした週に手順が崩れます。1日の回数を足すのは、前の段の面がひととおり済んでからです。面を広げる日と、回数を増やす日は重ねません。同じ日に2つ動かすと、うまくいかなかったときにどちらのせいか分からなくなります。
床に並べた半円を片づけるのは、いちばん最後です。自分で立ち上がる日が来ても、半円はそのまま置いておきます。立てるようになった週に体調が戻らない日が来ると、また寝床の横に座ることになります。そのときに並べ直すところから始めるのと、置いたままの半円に座るのとでは、始めるまでの時間が違います。
今夜やることは、寝床の横に座って、手の届く床に4つを半円で並べるところまでで足ります。持ち替えが何回になったかを1行書いて終わりにしてください。その回数が、明日の90秒をどこから始めるかを決めてくれます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 持ち替えを2回より少なくできますか。
- 1回までは減らせます。ブラシを使わない日を作ると、1本目を床に置く持ち替えが消えて、紙に書く1回だけになります。ただし毎日ブラシを抜くと、毛が寝たまま固まる面が出てきます。週に2日だけブラシなしの日にして、その日は手のひらで運ぶところまでで終える形が続きます。0回にはできません。紙に書く手は、どうしても支える手を離すことになるからです。書くのを後回しにすると、その日の回数を思い出せなくなります。
- 半円に並べる道具は、増やしてもいいですか。
- 4つまでにしてください。5つ目を置くと、半円の端が座った位置から遠くなり、腕を伸ばす距離が変わります。距離が変わると、支えている手が動く量も増えます。増やしたいものがあるときは、いま並べている4つのどれかと入れ替えるほうです。たとえばブラシをコームに替える、紙を壁に貼った紙へ替える。数を一定にしておくと、持ち替えの回数が毎日同じ意味で数えられます。
- 1人で支えながらやるのが難しいときは、どうしますか。
- 人が2人いる時間帯へ、手順ごと移します。回数を減らすより先に時刻を動かすほうが、90秒の形を崩さずに済みます。2人いる日は、支える役と触る役を分けてしまってかまいません。そのときも持ち替えの回数は数えておいてください。2人で0回だった手順を1人でやると、そのまま4回に戻ります。数字が残っていれば、1人の日に何を入れ替えればよいかが分かります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
