C02技術・エビデンス
ドライヤーの風量と温度、どちらを優先するか
ドライヤーの送風口に手のひらを近づけると、風が当たっている面は熱いのに、そのすぐ横には動いていない空気が残っています。乾かしているあいだに起きているのは、毛のそばにたまった湿った空気が、乾いた空気と入れ替わることです。風量が受け持っているのがこの入れ替えで、温度が決めているのは、地肌まで届く熱の量のほうです。同じ「早く乾かす」に見えて、上げたときに体の側へ残るものが違います。この記事では、風量と温度のどちらを先に上げるのかを、7つの問答に分けて書きます。犬でも猫でも、決める順番は同じところから始まります。
乾くというのは、水がどこへ移ることですか|ドライヤーの風量と温度が分け持っている仕事
乾くというのは、毛と皮膚にあった水が、空気の側へ移ることです。移った先の空気は、その分だけ湿ります。毛のあいだは風が通りにくいので、湿った空気はそこにとどまります。とどまったままだと、次の水が移っていく先がなくなって、乾き方がそこで止まります。ドライヤーという道具が何をしているのかを1行にすると、とどまった空気を押し出して、乾いた空気と入れ替えている道具です。
ここで、風量と温度の受け持ちが分かれます。風量は、ひと呼吸のあいだに入れ替わる空気の量を決めています。温度は、その空気が水をどれだけ抱えられるかと、地肌まで届く熱の量を決めています。どちらも乾く速さに関わりますが、上げたときに体の側へ残るものが違います。風は当たっている面を動かすだけで、熱は毛をこえて皮膚の側まで届きます。
この記事の答えの形は、ここでもう決まります。先に上げるのは風量で、温度は必要な分にとどめる。順番を逆にすると、熱くしたのに乾き終わらない時間が生まれます。空気が動いていないところに熱を足しても、水の行き先はできないからです。
風量を上げて大丈夫ですか|強い風が皮膚の側にしていること
ドライヤーの風量そのものは、皮膚に熱を足しません。風が強くなって増えるのは、毛の動きと音のほうです。だから風量を上げるときに気をつけるのは、皮膚の心配より、その子がその風のなかで座っていられるかという側になります。乾かす時間を短くできるのは風量の側なので、ここを最初から弱くしておくと、そのぶん当てている分数が延びます。
- 音:風量を上げると送風の音も上がる。壁や洗面台に向けて跳ね返らせると、耳に届く音が変わる
- 毛の寝かた:強い風を毛の流れと同じ向きに当てると、毛が寝て根もとにふたをする
- 顔まわり:目と耳の側は風量を落とすより、当てる向きを横へずらすほうが早い
- 距離:送風口を近づけるほど風は強くなるが、熱も一緒に近づく
上の2行目が、風量の話でいちばん取りこぼされるところです。強い風を毛の流れにそって当てると、表面はきれいに整うのに、根もとの湿りはそのまま残ります。毛が寝てしまうと、せっかく増やした空気の量が根もとに入っていきません。風量を上げたぶんを根もとで受け取るには、指で毛を分けて、風の通り道をこちらで作っておく必要があります。
顔や耳のあたりで風を弱めたくなったときは、設定を落とすかわりに、送風口の向きを体の後ろへ30度ほどずらしてください。風量はそのままで、当たる面だけが変わります。設定を落としてしまうと、そのあと体に戻ったときに上げ直すのを忘れて、全体の分数が延びます。
温度を上げると早く乾く気がするのはなぜですか|熱が進める部分と、そこで止まる部分
温度を上げると、確かに水は空気へ移りやすくなります。暖かい空気は、冷たい空気より多くの水を抱えられるからです。ここまでは熱の側の仕事です。ところが、抱えられる量には限りがあって、その空気がいっぱいになった時点で水の移動は止まります。止まった空気を外へ出せるのは、温度ではなく風量です。
| どこの話か | 温度を上げると | そこから先を決めているもの |
|---|---|---|
| 毛の表面にある水 | 空気へ移りやすくなる | 移った水を運び出す風量 |
| 毛のあいだの空気 | 抱えられる量が増える | いっぱいになった空気の入れ替え |
| 根もとの湿り | ほとんど変わらない | 毛を分けて風の通り道を作ること |
| 地肌そのもの | 熱が届いて水分も出ていく | 当てている時間と送風口の距離 |
表の下の2行が、温度を上げたときに起きる困りごとの正体です。根もとは変わらないまま、地肌の水分だけが先に出ていく。表面が乾いたように見えるので手を止めてしまい、あとから根もとの湿りに気づく、という順番になります。熱で押し切ろうとすると、乾かす分数はかえって延びます。
ドライヤーの温度の設定をどこに置くかは、機種によって表示の刻みが違います。数字で決めるより、送風口の風を自分の手の甲で3秒受けて、我慢せずにいられる範囲を上限にするほうが確かです。手の甲で熱いと感じる風は、毛をかき分けた先の地肌には、もっと近いところで当たっています。
部屋干しの洗濯物で、同じことが起きていますか|風を向けた日と、部屋を暖めた日
同じことは、家の部屋干しで確かめられます。暖房を1度上げた日と、洗濯物に扇風機を向けた日では、乾く速さの出かたが違います。暖房を上げた日は、部屋全体の空気が水を抱えられるようになるので、じわじわ乾きます。扇風機を向けた日は、洗濯物のすぐそばにたまっていた湿った空気が押し出されるので、当たっている面から先に乾きます。
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同じ厚みのタオルを2枚、同じだけ濡らす
ハンガーに離して掛けます。片方には何もせず、もう片方に扇風機かサーキュレーターを向けます。
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30分たったら、両方の内側をさわる
表面ではなく、折り返した内側です。風を向けた側だけ、内側まで乾き始めています。
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風を止めて、部屋の温度だけを上げてみる
今度は両方が同じ速さになります。温度は部屋全体にかかり、風は向けた面だけにかかります。
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同じ見かたを、乾かす場面に移す
その子の毛を、折り返したタオルの内側だと思ってください。風を向けた面から順に乾いていきます。
この実験でいちばん分かりやすいのは、3番目です。温度は場所を選べませんが、風量は当てた場所だけを動かせます。乾かす作業は、体のどこを先に乾かすかを決めながら進める作業なので、場所を選べる側の道具を主に使うほうが合っています。ドライヤーの風量を先に決めるのは、そういう理由です。
皮膚が薄いという話は、温度とどうつながりますか|数字を見たときに出てくる疑問
犬や猫の皮膚について、角質層の厚みが人の1/3〜1/2ほどとされるという数字があります。測る部位や年齢で動く目安の数字で、小数点まで決まった値ではありません。それでも、この幅のなかにいるということから言えることが1つあります。外から触れたものの影響が届くまでの距離が、人より短いということです。
ここが温度の話とつながります。同じ温度の風でも、届く先が近ければ、そこにある水分は早く出ていきます。温度を上げる側には、もともと余裕が少ないわけです。風量を上げても皮膚に熱が入らないのに対して、温度を上げると入ります。この差が、2つの設定を同じ天びんに乗せられない理由です。
1/3〜1/2という厚みの目安から言えるのは、影響が届くまでの距離が短いというところまでです。薄いから弱い、という意味ではありません。また、この数字は温度の上限を℃で決めてくれるものでもありません。決められるのは、上げる順番を風量の側からにする、という手順のほうです。
この数字は、mofuwa の製品をつくっている側が設計の前提にしている数字でもあります。皮膚が薄くて、しかも自分で舐める動物に何を置けるかという出発点から、成分を水だけに絞る設計が出てきています。ドライヤーの当て方の話と、乾かしたあとに地肌へ置くものの話は、同じ前提の上にあります。
いまある道具のまま、風量と温度をどう決めますか|手順として知りたいところ
新しい機種を買う前に、いまのドライヤーのままで動かせるものが4つあります。順番は、水を減らす・風量を上げる・毛を分ける・温度を最後に決める、です。シャンプーの日に毎回この順でやると、当てている分数がどこで縮んだのかが自分で分かります。洗う日と洗う日のあいだ、足先だけを濡らして拭いた間の日にも、同じ順番がそのまま使えます。
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1. タオルで水の量を先に落とす
押さえて吸わせます。こすると毛が絡んで、あとの風が根もとに入りにくくなります。タオルを2枚使って、1枚目で受けて2枚目で押さえると、ここで落ちる水の量が変わります。
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2. 風量は使える範囲でいちばん上に置く
音を嫌がるときは、設定を落とす前に距離と向きを変えてみます。壁に向けて跳ね返らせると、同じ風量でも耳に届く音が下がります。
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3. 指で毛を分けて、風の通り道を作る
片手で毛をかき分けて、送風口をその割れ目に向けます。分けた場所だけが乾くので、体を6つくらいの区画に割って回すと抜けが減ります。
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4. 温度は最後に、低いほうから足す
まず低い設定で回して、乾き終わるまでの分数を1回だけ計ります。足りないと感じたときに1段だけ上げて、同じ分数と比べます。
乾かし終わったあとの地肌に何かを置くなら、この順番と相性がいいのは水だけでできたものです。スキンケアミストは成分が水だけで、飲みものに求められる規格基準に照らして検査を受けた水を使っています。だから、乾かしたあとに口の届く場所へ置いても、その子が舐めてしまう心配で手が止まりません。乾かす日と乾かす日のあいだにも、根もとが気になったところへそのまま通せます。スキンケアミストを使うのは、風量と温度を決め終わって、根もとの湿りがないことを確かめたあとです。順番が前に来ると、濡れている毛の上で広がって、地肌まで届きません。
乾かし終わったのに、同じ場所を気にして舐める日が3日続くようなら、そこだけ写真に残してください。当てた分数と、その子が気にしている場所の数を書いたメモを持っていくと、動物病院で話が早く進みます。風量と温度の設定を変えても戻らない変化は、乾かし方の外側にある話です。
風量から決めて、温度は下げる方向へ|7つの問答を通した整理
通して整理すると、ドライヤーの設定は次の順番で決まります。風量は、湿った空気を運び出す量そのものなので、先に上げる。温度は、地肌に届く熱の量なので、必要な分だけにとどめる。この2つを同じ「強さ」の話にしてしまうと、上げやすいほうから上げることになって、乾き終わらない時間が延びます。
- 水の量は、風を当てる前のタオルで決まっている
- 風の通り道は、指で毛を分けたところにしかできない
- 温度は、手の甲で3秒受けられる範囲を上限にする
- 乾き終わりは、毛を分けて根もとを指で探して決める
最後の1行だけ、今夜から変えられます。スイッチを切ったあとに、いちばん湿りが残りそうな場所を1か所だけ選んで、毛を分けて指の腹を当ててみてください。そこが乾いていれば、その設定でよかったということです。湿っていれば、次の日は温度ではなく風量と分け方を先に動かします。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
