C02技術・エビデンス
洗浄力の検証にごま油を使う理由
洗浄力を調べる試験でいちばん先に決まるのは、水の種類より、落とす相手のほうです。その子の背中から皮脂を集めてこようとすると、取れる量が少なく、部位で中身が違い、採った時点から空気に触れて変わっていきます。同じ相手をもう一度用意できないので、2回目の試験と並べられません。そこで登場するのがごま油です。ワンテンスの電解水の検証では、皮脂に近い脂としてごま油を相手に選び、3つの水で落ち方を比べています(東洋ビューティー/ウェーブコーポレーション調べ)。この記事では、くり返せるかという軸と、皮脂にどれだけ近いかという軸の2つで、ごま油が選ばれた理由と、その結果をどこまで読めるのかを書きます。
軸1・同じ条件でくり返せるか|本物の皮脂を相手にすると出てくる、洗浄力の試験の違い
洗浄力という言葉は、落とす相手を決めた瞬間に意味が固まります。相手が変われば、同じ水でも結果が変わるからです。いちばん正しそうに見えるのは、犬や猫の体から実際の皮脂を集めてきて、それを落としてみる方法です。ところがこの方法は、試験としては成り立ちません。集められる量がごくわずかで、背中と足先で中身が違い、採ったあとは空気に触れて性質が動いていきます。
ここで効いてくるのが、料理のレシピと同じ考え方です。同じ煮物を2回つくって味を比べるには、材料の分量と火加減を書き留めておく必要があります。書いていない条件は、次の回で必ずずれます。試験条件というのは、このレシピにあたるものです。条件を書けない相手を使った試験は、結果が出ても比べる先がありません。
ごま油には、この点での強みがあります。瓶を開ければ、去年も今年も同じものが出てくる。塗る量をはかりで決められて、塗ったあとの置き時間も秒で書けます。洗浄力の試験で本物の皮脂とごま油を比べたときの違いは、落ち方の違いではなく、条件を書けるか書けないかの違いです。ここを取り違えると、ごま油を使っていること自体を手抜きのように読んでしまいます。
軸2・皮脂にどれだけ近いか|犬や猫の脂とごま油のあいだにある、性質の違い
もう1つの軸は、相手が本物にどれだけ近いかです。くり返せるだけなら、機械油でもインクでもかまいません。それでは皮膚の上で起きることから離れてしまうので、性質の側で近いものを選ぶことになります。ごま油が選ばれているのは、この2つの軸が交わるところにあるからです。
- 近いところ:含まれる脂肪酸の構成が、犬や猫の皮脂に近い並びをしている
- 近いところ:常温で液体のまま流れるので、毛や布にしみ込んでいく動きが似ている
- 近いところ:色がついているので、どこに残ったかを目で追える
- 違うところ:皮脂には汗や角質のはがれたものが混ざるが、ごま油は油だけ
- 違うところ:体温で温められ続ける皮膚の上とは、温度の条件が違う
上の2行目は、洗浄力の試験でとくに大事なところです。ごま油は布や毛にしみ込んで、表面をふいただけでは残ります。浸透して残るということは、落ちたかどうかの判定が甘くならないということです。表面に乗っているだけの汚れなら、どの水でもある程度は落ちてしまい、差が出ません。
下の2行が、この試験の限界にもなっています。犬と猫では皮脂の量も出る場所も違い、同じ子でも季節や年齢で動きます。ごま油はそこまで再現しません。だから試験で分かるのは、油という相手に対して水がどう働いたかというところまでで、その子の背中で同じことが起きるかは別の話になります。
2つの軸で並べてみる|ごま油の試験と、家で見ている洗浄力の使い分け
2つの軸で相手を並べると、ごま油の位置がはっきりします。縦にくり返せるかどうか、横に皮脂への近さを置いた表です。どちらか片方しか満たさない相手は、試験の相手になりません。
| 落とす相手 | 同じ条件でくり返せるか | 皮脂への近さ | そこから分かること |
|---|---|---|---|
| その子から集めた皮脂 | そろえられない | そのもの | 1回きりの観察になる |
| ごま油 | そろえられる | 脂肪酸の構成が近い | 水ごとの落ち方の差 |
| 台所のフライパンに残った油 | 毎回ちがう | 加熱で変わっている | 家庭での実感にとどまる |
| 機械油・インク | そろえられる | 皮膚の上のものと違う | 皮膚の話につながらない |
この相手を固定したうえで、比べているのは3つの水です。水道水にごま油、飲料用のアルカリイオン水に油、そして高機能性電解還元水にごま油という3条件で、乳化とけん化の起こり方を並べています。同じ「アルカリ性の水」と書かれていても、電解のかかり方が違えば油への働きが変わるので、水道水だけでなく飲料用のものも条件に入っています。検証は東洋ビューティーとウェーブコーポレーションが調べたものです。
この電解水をつくる仕組みには特許5253483があります。特許は、その装置の構造が新しいことを国が登録したもので、できた水の効きめを証明した書類ではありません。ごま油の試験と特許は、別の場所にある別の話です。試験のほうは外部の会社が調べた結果、特許のほうは構造の登録、と分けて読んでください。
結果を見るときに、どちらの軸で読むか|洗浄力の数字の選び方
洗浄力の話で数字や結果を見たときは、くり返せる側の話なのか、本物に近い側の話なのかを先に分けてください。くり返せる試験は、水どうしを比べるのに向いています。本物に近い観察は、その1頭で起きたことを知るのに向いています。どちらも要るもので、片方をもう片方の代役にはできません。
結果だけが書かれていて、この3つが添えられていない数字は、読む手がかりがありません。①何を落としたのか(相手と量)②何と比べたのか(並べた条件)③誰が調べたのか(検査機関の名前)。ごま油の検証なら、①がごま油、②が3つの水、③が東洋ビューティーとウェーブコーポレーションです。
検査機関の名前が入っている意味は、条件を第三者が書き残しているところにあります。同じ電解水について、生菌の数を調べた試験は別の機関が受け持っています。洗浄力と生菌は測るものが違うので、装置も手順も別になります。ひとつの会社がすべてを調べているわけではない、というのは、資料を読むときの目安になります。
家で洗浄力を見分けたいときは、数字の側ではなく手ざわりの側で見ます。洗い流したあとに指の腹で毛をつまんで、すべる感じが残っているか、きしむ感じに変わっているか。すべるなら脂が残っていて、きしむなら残したい脂まで持っていかれた合図です。ごま油の試験が測っていたのは、この2つのあいだのどこに落ち着くか、という話でした。
ごま油の試験から言えることと、言えないことの見分け方
最後に、線を引いておきます。この検証で確かめられたのは、ごま油という相手に対して、3つの水の働きに差が出たというところまでです。下の表の右側は、書かれていないのに読み取られやすいものを並べたものです。
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| ごま油を相手にすると、水ごとに落ち方が違う | その子の皮脂が同じように落ちる |
| 条件を書き残せる相手を選んで比べている | 家のシャンプーと比べた順位がつく |
| 外部の会社が同じ相手で調べている | 製品の効きめが証明されている |
| 乳化とけん化という現象が起きている | 皮膚の変化が起きる |
もうひとつ、混ざりやすいところがあります。ごま油の検証で使われている水はアルカリ側の電解水で、スキンケアミストの水は酸性側の電解水です。同じ電解水という言葉でも、つくられる部屋が違い、受け持つ仕事も違います。洗う側の水で出た結果を、そのままスキンケアミストの説明に持ち込むことはできません。
スキンケアミストが置かれているのは、洗い終えたあとの地肌の側です。成分は水だけで、飲みものに求められる規格基準に照らした検査を受けた水を使っています。洗う日と洗う日のあいだに、気になったところへそのまま通せるのは、口に入ることを前提にして設計されているからです。ごま油の試験は、この設計とは別の場所で、水と脂の関係だけを見ていたことになります。
洗浄力という言葉を見かけたら、落とす相手の名前を探してみてください。相手の名前が書かれている試験は、読み手が条件をたどれます。ごま油という、台所にもある油の名前が出てくるのは、そのためです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- 家にあるごま油で、同じことを試せますか
- 同じ結果を出すのは難しいです。ごま油は布や毛にしみ込んで浸透するので、塗った量と置いた時間、洗うときの水の温度がそろっていないと、落ち方の差が条件の差に埋もれます。試すなら、毛ではなく同じ皿を2枚使って、水だけで流す場合と洗剤を使う場合を比べるほうが分かりやすいです。毛の上で油を使うと、落としきるまでに何度も洗うことになります。
- ごま油ではなく、オリーブオイルやワセリンでも結果は同じですか
- 変わります。油は脂肪酸の構成と粘りで動きが違い、常温で固まるものは塗り広げ方まで変わります。だから試験条件には、油の種類まで書かれている必要があります。ごま油が使われているのは、皮脂に近い並びをしていて、常温で液体のまま扱えて、同じものを毎回用意できるという3つが重なっているからです。
- 洗浄力の試験結果は、犬と猫で読み分けたほうがいいですか
- 試験そのものは水と油の話なので、犬と猫で結果が分かれることはありません。読み分けが必要になるのは、そのあとの使い方のほうです。猫は自分で毛づくろいをするので、口に入るものの前提が犬より重くなります。試験の数字を見るときは種でなく条件を見て、使い方を決めるときは種を見る、という順番になります。
本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
