C05犬種・猫種別ケア
シャムのケア|毛づくろいの減りを減らす3つの習慣
シャムが膝の上で丸くなって、前脚を一度だけ舐めて、そのまま目を閉じました。さっきまで床で続けていた毛づくろいが、人が座った途端に途中で終わっています。シャムの毛づくろいは、人と過ごす時間に置き換わることがあります。猫が起きている時間はもともと限られていて、その中に寝る・遊ぶ・人といる・毛づくろいが同居しています。どれかが伸びれば、どれかが短くなります。シャムは呼びかけに声で答え、部屋から部屋へついてきて、人のそばで過ごす時間が長い子が多い猫種です。だから短くなる側に、毛づくろいが回りやすい。この記事では、なぜそうなるのかを先に書いて、そのあとで1日の配分を記録してから手を決める順番を書きます。減り方のうち、暮らし方で説明がつく範囲と、そうでないときの線引きも入れます。
呼ぶと来て、膝で寝る|シャムの毛づくろいが毎日、人といる時間に置き換わるわけ
猫が一日のうちで起きている時間は、そう長くありません。その限られた時間の中に、食べる、動く、周りを見る、毛づくろいをする、人とやり取りをする、が全部入っています。時間が足し算で増えることはないので、どれかが伸びた日は、必ずどれかが短くなります。シャムの毛づくろいを考えるときは、まずこの一日の総量から見てください。
シャムは、人の動きに反応して声を返す、部屋を移動するとついてくる、座ると膝や隣に来る、という過ごし方をする子が多い猫種として知られています。人が家にいる時間が長い日ほど、その子が人といる時間も伸びます。伸びたぶんは、起きている時間の中から取られています。取られる先として毛づくろいが選ばれやすいのは、毛づくろいが「ほかにすることがない時間」に入りやすい行動だからです。
もう一つ、なでている時間そのものが毛づくろいを止めます。人の手が背中に乗っているあいだ、その子は舐めるのをやめてじっとしています。ここで大事なのは、なでる手は、毛づくろいの代わりにはなっていないということです。手のひらは被毛の表面をなでていますが、その子の舌は根元の側を起こして、毛先の向きをそろえて、抜けかけた毛を外へ運んでいます。やっていることが違います。
シャムは短くて体に沿う被毛を持つ子が多く、下毛の量も控えめです。手入れの手間が少ない作りなので、毛づくろいが少し減ったくらいでは見た目が変わりません。変化は見た目より先に、指で触った感触に出ます。毛の流れが乱れないまま、根元の側だけがしっとりまとまる、毛先に細かい引っかかりが残る、という形です。だから「減っている」と気づくのが遅れます。
- あごの下:自分の舌が届かず、前脚で拭う場所です。人といる時間が伸びると、拭う回数から先に減ります
- 耳のうしろ:後ろ足でかいてから舐める、という二段の動きが要ります。途中で人に呼ばれると止まります
- 肩甲骨のあいだ:背中の中でいちばん舌が届きにくい帯です。ここが最初にまとまります
- しっぽの付け根:体をひねる姿勢が要るので、寝そべったままでは進みません
- 脇の下と内股:座っている時間が長い日は、そもそも開きません
毛づくろいの時間は、その日にあったことで毎日動きます。来客があった日、遊びが長かった日、人が在宅していた日は短くなり、留守番の日は長くなります。一日単位の増減は、暮らし方で説明がつく範囲です。この記事で見るのは、その増減が何日か続いたときに、どこが手つかずになるかのほうです。減った日を数えるのではなく、減った日にどこが残ったかを見てください。
寝る・遊ぶ・人といる・毛づくろい|シャムの1日を4つに分けて、家でできる記録の手順
ここからが手順です。ねらいは、その子の毛づくろいが「どの時間に置き換わったのか」を、記憶ではなく紙の上で見えるようにすることです。時計で分数を測る必要はありません。数えるのは回数です。3日ぶんあれば、置き換わりの形は出ます。シャムは人が見ているところで過ごす時間が長いので、記録しやすい猫種でもあります。
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手順1:1日を4つの枠に分けて、紙かメモアプリに縦に並べる
枠は「寝る」「遊ぶ」「人といる」「毛づくろい」の4つだけにします。食べる・トイレは入れません。増やすと続きません。4つの枠に、その日に見かけた回数を正の字で足していきます。見ていない時間があって構いません。見ていた時間の中での配分を見ます。
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手順2:毛づくろいは「始まり」ではなく「終わり方」で数える
舐め始めた回数ではなく、最後まで進んだのか、途中で止まったのかを分けて書きます。止まった理由も一言だけ添えてください。呼んだ、なでた、遊びに誘った、来客があった。シャムは人の声に反応して顔を上げる子が多いので、止まった理由の欄が埋まりやすくなります。
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手順3:人といる時間が長かった日と、短かった日を並べる
3日のうち、いちばん人といる回数が多かった日と少なかった日を選んで、毛づくろいの回数を見比べます。人といる側が増えた日に毛づくろいが減っているなら、置き換わりで説明がつきます。関係が見えないときは、ここで止めて次のセクションへ進まず、記録を数日足してください。
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手順4:毛づくろいが減った日に、どこが手つかずかを指で確かめる
あごの下、耳のうしろ、肩甲骨のあいだ、しっぽの付け根。この4か所に、毛の流れと直角に指を沈めます。指が地肌まで届くか、途中で止まるかだけを見ます。止まった場所が、その日に置き換わったぶんです。全身を触る必要はありません。4か所を順に回すだけで足ります。
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手順5:止まった場所に限って、人が代わる時間を1つ入れる
その子の毛づくろいが届かなかった場所を、人が代わります。乾いた柔らかい布か、目の細かいブラシで、毛の流れに沿って短く。代わるのは手順4で止まった場所だけです。ついでに全身をブラッシングしないでください。回数の記録が動いて、次の日の比較ができなくなります。
| 記録に出た形 | 読み方 |
|---|---|
| 人といる回数が多い日ほど、毛づくろいが少ない | 置き換わりです。手順4へ進んでください |
| 毛づくろいの回数は同じだが、途中で止まる回が増えた | 回数ではなく1回の長さが削られています |
| 人といる回数と関係なく、毎日少ない | 暮らし方では説明がつきません。最終セクションへ |
| 毛づくろいは多いが、一か所だけを繰り返している | 減りではなく偏りです。その場所を見てください |
| 4か所とも指が地肌まで届く | 今のところ手を入れる場所はありません |
春と秋は、抜ける毛の量そのものが増えます。この時期に同じ紙で比べると、毛づくろいが減ったのか、抜ける量が増えて追いつかなくなったのかが混ざります。シャムは下毛が少なめの子が多いぶん、換毛期の変化も控えめですが、それでも根元にたまる量は増えます。換毛期の3日間は「換毛期」と書いた別の紙に取って、季節が終わってから前の記録と並べてください。
記録が終わってから決める3つの習慣|シャムに手を入れる頻度のものさし
記録で置き換わりが見えたら、そこで初めて習慣を決めます。順番が逆になると、その子の一日と関係のない回数を毎日こなすことになります。3つ挙げますが、決める単位を意図的にずらしてあります。1回のケアの中で決めることが1つ、1週間の中で決めることが1つ、季節の中で決めることが1つ。忙しい週でも3つが同時に止まりません。
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習慣1:人といる時間の終わりに、手を入れる場所を1か所だけ決める
膝から降りるとき、遊びが終わったとき。人といる時間の締めくくりに、その日に指が止まった場所を1か所だけ代わります。時間を新しく作るのではなく、すでに人といる時間の端に足すのが要点です。シャムは人のそばにいることを嫌がらない子が多いので、この置き場所がいちばん続きます。1か所につき10往復もいりません。毛の流れに沿って、3〜4回で足ります。
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習慣2:1週間のうち、手を入れない日を先に決める
毎日やる前提にすると、できなかった日が「抜けた日」になります。そうではなく、週のうち2日を、最初から手を入れない日として決めてしまいます。その2日は指で4か所を確かめるところまでで終わりです。頻度のものさしは回数ではなく、指が止まる場所の数で持ってください。止まる場所が2か所を超えた週だけ、手を入れる日を1日足します。
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習慣3:季節の変わり目だけ、あごの下と肩甲骨のあいだを先に回す
空気が乾く時期は、被毛のうるおいが逃げて毛どうしが滑りにくくなり、静電気で毛先が立ちます。立った毛先は絡んでほどけにくくなります。この時期だけ、4か所を回る順番を変えて、あごの下と肩甲骨のあいだを最初に見ます。この2か所は、その子の舌が最後に回す場所だからです。順番を入れ替えるだけで、道具も回数も増えません。時期が終わったら元の順に戻します。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 人といる時間の終わりに代わる、1か所 | 1回のケアの中 |
| 習慣2 | 手を入れない日を先に置く。増やすのは指が止まった数で決める | 1週間の中 |
| 習慣3 | 4か所を回る順番。乾く時期だけ入れ替える | 季節の中 |
つまずきやすいのは、毛づくろいが減ったぶんを取り戻そうとして、遊ぶ時間や人といる時間を削ってしまうことです。削ると、起きている時間の総量そのものが減ります。シャムは人とのやり取りが暮らしの中心にある子が多いので、そこを削ると全体が静かになり、結果として毛づくろいも増えません。置き換わりは、なくす対象ではありません。置き換わったぶんだけ人が代わる、という形に落としてください。
人が代わる場所が決まったら、その場所を毎日きれいにしておく道具として、猫用の mofuwa グルーミングウォーターが使えます。中身は犬猫用のグルーミングスプレーと同じ電解水で、猫向けに少しイオンを調整してあります。変えたのは容器です。スプレーの音を嫌がる子がいるという飼い主さんの声から、音の出ないチューチューボトルになりました。膝の上で目を閉じているシャムのそばでも、音で起こさずに手を入れられます。グルーミングウォーターを布や手に含ませてから、あごの下や肩甲骨のあいだを、毛の流れに沿ってなでるように拭きます。猫は自分で毛づくろいをするので、口に入るものであることが前提になります。舐めても問題のない基準でつくられているので、拭いたあとをその子が舐めても量を気にせずにいられます。顔に向けて直接かけない、拭いたあとは乾いた布で軽く押さえる。この2つだけ守れば足ります。
人といる時間の終わりに手を入れるのは、その時間を心地よいままで終わらせるためです。逃げる、耳を伏せる、しっぽを打ちつける、という合図が出たら、その日はそこで止めてください。無理に続けると、次から膝に乗らなくなり、人といる時間そのものが短くなります。1か所を最後まで終わらせる必要はありません。半分でやめて、翌日に残りを回すほうが、結果として続きます。
暮らし方では説明がつかない毛づくろいの減り方と、シャムと暮らすうえでのコツ
ここまでは、人といる時間との置き換わりで説明のつく減り方の話でした。記録を取っても人といる時間と結びつかない減り方は、別のものとして扱ってください。毛づくろいが減ること自体を体調の話として決めつけないこと、そして決めつけないまま放っておかないこと。この2つを同時に守るために、線をはっきり引いておきます。
| 観察したこと | 暮らし方で説明がつく | そうでないとき |
|---|---|---|
| 減る日と戻る日がある | 人といる回数と連動している | 人といる回数と関係なく減り続ける |
| 手つかずの場所 | 4か所のうち1〜2か所に偏る | 全身のどこを触っても指が止まる |
| 止まり方 | 呼ばれて顔を上げ、そこで終わる | 途中で急にやめて動かなくなる |
| 戻る速さ | 留守番の日に自分で取り戻す | 留守番の日も増えない |
| ほかの様子 | 食欲も遊びもふだんどおり | 食欲や動きも一緒に落ちている |
- 毛づくろいが減ったのではなく、一か所を舐め続けている:減りではなく偏りです。舐めている場所の地肌を見てください
- 口を気にする、食べ方が変わった:毛づくろいは口を使う行動なので、口の側の話と切り離せません
- 体をひねる動きだけが減った:しっぽの付け根や腰が手つかずになります。動きの側の変化です
- 指を沈めた場所の地肌が赤い、においがある:手を入れる前に見てもらってください
- 触ると嫌がる、声を出す:痛みがあるときは、ブラッシングの前に相談が先です
- 毛が根元から抜けて、地肌が広く見えている:換毛期の抜け方とは別のものとして扱ってください
毛づくろいが数日以上ほとんど見られない、一か所を舐め続けている、地肌が赤い、においがある、触ると痛がる、毛が根元から広く抜けている、食欲や元気が一緒に落ちている。これらが出ているときは、人が代わる回数を増やす前に、動物病院で地肌と口のほうを見てもらってください。シャムは短い被毛で体の線が見えやすいぶん、指を沈めれば気づける猫種です。4つの枠で取った回数が人といる時間と結びつかないままなら、それは置き換わりの話ではありません。
相談に行くときは、4つの枠で取った3日ぶんの記録、指が止まった場所、いつから変わったかの3つを持っていってください。毛づくろいの回数は家でしか分かりません。診察室では、その子は緊張してふだんの動きをしません。紙が1枚あるだけで、暮らし方で説明のつく減りなのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。
最後に、シャムと暮らすうえでのコツを1つだけ。毛づくろいの時間を人といる時間から取り戻そうとしないでください。その子が人のそばで過ごすことを選んでいるのなら、置き換わりは暮らしの形そのものです。動かせるのは、置き換わったぶんの中で、その子の舌が届かなかった場所を人がどれだけ早く代われるか。指を4か所に沈めるだけなら、膝に乗せたまま10秒で終わります。シャムの毛づくろいで手を入れられるのは、そこです。
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よくある質問
- シャムの毛づくろいが減りました。すぐに病気を疑ったほうがいいですか?
- 一日単位の増減は、来客・遊び・在宅時間で毎日動きます。まず3日ぶん、寝る・遊ぶ・人といる・毛づくろいの4つの枠で回数を記録して、人といる回数と連動しているかを見てください。連動していれば暮らし方で説明がつきます。連動せずに減り続ける、一か所を舐め続ける、食欲や元気も落ちているというときは、記録を持って動物病院にご相談ください。
- なでたりブラッシングをすれば、毛づくろいの代わりになりますか?
- 同じことはしていません。人の手は被毛の表面をなでていますが、その子の舌は根元を起こし、毛先の向きをそろえ、抜けかけた毛を外へ運んでいます。代われるのは「その子の舌が届かなかった場所」だけです。あごの下、耳のうしろ、肩甲骨のあいだ、しっぽの付け根に指を沈めて、止まった場所に限って手を入れてください。
- 毎日ブラッシングをしたほうが、シャムには良いのでしょうか?
- 毎日やる前提にすると、できなかった日が抜けた日になってしまいます。週のうち2日を先に「手を入れない日」と決めて、その日は指で4か所を確かめるところまでにしてください。頻度は回数ではなく、指が止まる場所の数で決めます。止まる場所が2か所を超えた週だけ、手を入れる日を1日足せば足ります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
