C05犬種・猫種別ケア
デボンレックスはなぜ耳の汚れが起きやすいのか。巻毛から考える
膝の上で眠っているデボンレックスの耳のふちに指が触れると、体よりはっきりあたたかいことがあります。背中は落ち着いた温度なのに、耳だけが違う。光にかざすと、うっすら透けて血の色が見えます。その耳を、3日前にきれいにしたばかりなのに、入り口のあたりにまた同じ色がついている。デボンレックスの耳の汚れは、間隔が短いことのほうが特徴です。掃除の仕方が足りないのだろうかと、手を増やす方向へ考えたくなります。ただ、この猫種の耳は、体のほかの場所と同じようには扱えません。大きくて、毛が薄くて、いつもあたたかい。それは飾りではなく、働いている場所だからです。この記事は、その働きから耳の汚れを考え直す読みものです。
膝の上で、耳だけが先にあたたかい|デボンレックスの耳と汚れをめぐる背景
デボンレックスの耳は、頭の大きさに対してかなりの面積があります。付け根が広く、そこから外へ張り出して、輪郭が丸い。横から見ると、顔よりも先に耳が目に入ります。そして、その耳にはほとんど毛がありません。被毛そのものが細くやわらかく、波打っていて、上毛が少ない猫種です。体でいちばん毛が薄い面が、体でいちばん外に張り出している。この2つが重なっているのが、デボンレックスの耳です。
抱いていると、そのことがよく分かります。指先が耳のふちに触れると、背中や脇腹より温度が高い。日なたにいたわけでもないのに、耳だけが先にあたたかくなっています。薄い皮膚のすぐ下を、血が通っているからです。そこに光を当てれば、うっすら透けます。手のひらで包むと、数十秒で手のほうがあたたまってきます。
その耳の入り口に、こまかい汚れがつきます。デボンレックスと暮らしている方の多くが経験するのは、この汚れが早く戻ってくることのほうだと思います。日曜にきれいにして、水曜にはもう同じ色がある。間隔が短いので、掃除の腕が足りないのだと考えてしまいます。そこから、綿棒を使う回数を増やす、奥まで届かせようとする、という方向へ進みがちです。
けれど、この耳は飾りではありません。頭の横についている大きな面は、見た目のためにそこにあるのではなく、仕事をしています。デボンレックスの耳の汚れを考えるときの出発点は、その仕事のほうです。働いている場所だから汚れが早い、という順番で見ると、増やすべきものが変わります。増やすのは掃除の回数ではなく、汚れが留まっていない時間のほうになります。
もうひとつ、デボンレックス特有の事情があります。体格は細く、骨は華奢ですが、体温そのものが低いわけではありません。被毛が薄く、体の表面から熱が抜けやすい作りをしているので、その子はあたたかい場所を探して移動します。人の膝、寝ている人の首元、日の当たる床。そういう場所で過ごす時間が長いぶん、耳のまわりに人の衣類の繊維や部屋のほこりが触れる機会も増えます。汚れの出どころは、耳の中だけではありません。
大きな耳は、熱を逃がすために働いています|デボンレックスの耳に汚れが早く出る理由
猫は、人のように全身で汗をかいて体温を下げる作りをしていません。体にこもった熱は、毛の薄い面から外へ逃げていきます。耳のように、広くて、薄くて、外気にじかに触れている面は、その役目を引き受けやすい場所です。あたたかい部屋から涼しい部屋へ移ったあと、耳のふちの温度がすっと変わるのは、そこで熱の出入りが起きているからです。
デボンレックスは、この面がとくに大きい猫種です。耳の付け根が広く、張り出しがあり、外側にも内側にも毛がほとんど乗っていません。被毛は細く短く波打っていて、上毛が少ないぶん、耳の地肌は空気に対してむき出しに近い状態です。つまり、熱を逃がすための面としては、よくできています。働きが大きい場所には血が通い、温度が保たれます。
ここから汚れの話につながります。あたたかい面は、空気中に浮いているこまかいほこりや、抜けた毛が触れたときに、そのまま留まりやすくなります。皮脂もやわらかく伸びるので、面に薄く広がります。働いていない場所より、働いている場所のほうが、出てくるものが早い。デボンレックスの耳の汚れが3日で戻ってくるのは、掃除のあとに何も起きていないからではなく、その3日のあいだ耳がずっと働いていたからです。
耳のかたちも関わっています。デボンレックスの耳は立っていて、入り口が上を向いて開いています。垂れ耳の子のように、外のものをさえぎるふたがありません。開いているぶん、通気はよく、湿気はこもりにくい。そのかわり、外にあるものは直接入ってきます。湿ってこもるタイプの汚れではなく、乾いた細かいものが早く積もるタイプの汚れになりやすいのは、このためです。
被毛の側からも足されます。デボンレックスは抜け毛が目立ちにくい猫種として知られていますが、毛が入れ替わらないわけではありません。換毛期には、細くやわらかい毛が少しずつ抜けます。その毛は軽いので、床に落ちる前に空気の中をしばらく漂います。漂った先に、あたたかくて開いている面がある。ブラッシングをしたあとの数時間に、耳の入り口の汚れが増えたように見えることがあるのは、これが理由です。
整理すると、デボンレックスの耳の汚れには、3つの流れ込み口があります。熱を逃がしている面そのものから出る皮脂。空気中から触れて留まるほこり。そして、自分の抜けた毛。どれも、その子の体が普通に働いた結果として出てくるものです。止めるべきものではありません。だから、この先の考え方は「出さない」ではなく「留めない」になります。
中を掃除するより、耳のまわりを回す|デボンレックスの耳の汚れをめぐる考え方
まず、動かさないものを決めます。耳の中には、何も入れません。綿棒でも、指でも、布の角でもです。見えるところまでが人の担当で、そこから奥は動物病院の領域だと線を引いてしまうと、毎日のケアはとても短くなります。デボンレックスの耳は入り口が広く開いているので、奥まで届きそうに見えます。届きそうに見えることが、この猫種でいちばん危ないところです。
人が触るのは3か所です。耳の外側の面、耳の付け根、そして入り口のふちの、外から見えている範囲まで。この3か所を、やわらかい布を湿らせて、なでるように拭きます。乾いた布は皮脂を動かさず、薄い面をこするだけになります。1か所ひとなでで足ります。往復させると、そのぶん薄い皮膚に力がかかります。
触る時間帯にも、決め方があります。耳があたたかいときは、その耳が働いている最中です。走り回ったあと、寝起き、暖房の効いた部屋から出てきた直後。この状態で耳を押さえると、その子は嫌がります。膝の上で落ち着いて、耳のふちの温度が下がってきてから触ってください。デボンレックスは人のそばで過ごす時間が長い子が多いので、その機会は1日のうちに何度もあります。
力の入れ方は、支えることから始めます。耳のふちを直接つまむのではなく、耳の裏側に指を2本添えて、面を支えてから、表を拭きます。支えがないと、拭く力がそのまま耳を折る力になります。デボンレックスの耳は大きく、面が薄い。折れる方向へ力が入ると、その子は次から耳に手が来るのを避けるようになります。
頻度は、汚れを見てから決めないでください。曜日で決めます。汚れてから拭くやり方だと、間隔が短いこの猫種では、気づいた日にまとめて長く触ることになります。1回の時間を短くして、回数のほうを分けるほうが、耳への負担は小さくなります。火曜と金曜、というように決めてしまえば、その日以外は見るだけで済みます。
耳のふちの温度が下がったかどうかは、手のひらで挟んだ人にしか分かりません。その子は、いま耳が働いている最中かどうかを申告してくれません。触る時間帯を決めているのは、いつも人の手のほうです。mofuwa スキンケアミストは、耳のまわりや口のまわりのように、ほかのものを持っていきにくい場所にも回せる1本です。置ける場所が広いのは、舐めても問題のない基準でつくられていることの裏返しで、前足で顔をこすってから、その前足をなめる猫では、この順番がそのまま条件になります。使うのは火曜と金曜の1回、耳のふちの温度が下がってからです。容器を耳に向けて吹きかけず、布に取ってから、耳の外側と付け根を毛の流れに沿って一往復させます。耳の中には入れません。音と風を、その子は嫌がります。
そして、耳と同じくらい手を入れる価値があるのが、部屋の側です。デボンレックスの耳の汚れの一部は、空気中から来ています。寝床の高さ、暖房の吹き出しの向き、その子がよくいる場所の床のほこり。この3つを月に一度見直すだけで、耳の入り口に触れるものの量は変わります。毎日のケアで耳をこする回数を増やすより、こちらのほうが薄い面には優しいやり方です。
耳の中が赤い、においがある、黒っぽいものが急に増えた、頭を振る回数が増えた、後ろ足で耳のうしろをかき続ける、触ると痛がる、片方だけ様子が違う。いずれかに当てはまるときは、拭く回数を増やす前に動物病院にご相談ください。デボンレックスは耳が大きく開いているぶん、外から見えている範囲が広く、家で対処できるように感じます。見えていることと、家で扱えることは別です。迷ったら早いほうを選んでください。
量ではなく、戻ってくるまでの日数|デボンレックスの耳の汚れで追いかける変化
デボンレックスの耳の汚れを、量で追いかけるのは向いていません。もともと間隔が短いので、多いか少ないかの判断がその日の気分に左右されます。そのかわり、この猫種にはとても分かりやすい目盛りがあります。前回きれいにしてから、同じ色が戻ってくるまでの日数です。3回記録すれば、その子のふだんの間隔が出ます。
書き留めるのは日付だけで足ります。拭いた日に丸をつけて、次に気づいた日に丸をつける。そのあいだの日数を数えます。3日で戻る子が3日で戻っているのは、変化ではありません。4日だった子が2日になったとき、はじめて変化として扱います。量ではなく間隔で見ると、こういう判断ができるようになります。
左右の差も、同じやり方で見えます。デボンレックスの耳は左右とも大きいので、片方だけ早いことに気づきにくい。日付を左右で分けて書いておくと、差が出た時点で分かります。片方だけ間隔が短くなっているときは、その耳の側で何かが変わっています。寝る向き、体を寄せている面、その子がよくいる場所の風の当たり方。原因が家の中にあることもあります。
温度も、その子の耳ならではの手がかりになります。両方の耳を、同じタイミングで手のひらに挟んでみてください。片方だけ明らかに熱い、という日が続くようなら、それは記録に値します。この猫種の耳は、そもそもあたたかいのが普通です。だから比べる相手は、他の猫でも昨日でもなく、その日のもう片方の耳になります。
季節でも間隔は動きます。暖房が入る時期には、空気が乾いて、こまかいほこりが舞いやすくなります。換毛期には、抜けた細い毛が空気の中に増えます。ブラッシングをした日と、耳の汚れに気づいた日が重なるようなら、順番はそのとおりです。ブラッシングをやめる必要はありません。そのあとに耳のまわりをひとなでする、という順番を足すだけで足ります。
動物病院で相談するときは、戻ってくるまでの日数、左右のどちらが早いか、直近で家の中で変えたことの3つを持っていってください。デボンレックスの耳は見えている範囲が広いので、その場で見てもらえば分かることも多くあります。ただ、間隔の変化は家でしか分かりません。前の日に念入りに拭いてから行くと、その情報が消えてしまいます。気づいた状態のまま連れて行くほうが、判断の材料が残ります。
デボンレックスと暮らしていて、耳の汚れが早いこと自体は、これから先も変わりません。大きくて毛の薄い耳は、その子が体の熱を逃がすために持っている作りだからです。働きを減らすことはできませんし、減らす必要もありません。人の側で動かせるのは、留まっている時間と、触るときの力と、部屋の空気のほうです。その耳は飾りではなく、毎日ずっと働いている場所です。汚れは、その働きの裏側についてくるものだと考えると、手の入れ方が静かになります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
