C03使い方・お手入れ手順

避難所でのケア手順

公開日 2026年4月1日|文=mofuwa編集部

明るい部屋のクリーム色のブランケットの上で、静かに伏せている淡い色の犬
場所が変わっても、その子の皮膚から脂が出る速さは変わりません。写真:https://kaboompics.com//Pexels

体育館の壁ぎわ、畳一枚ぶんに区切られた場所で膝にその子を乗せた夜、水場まで行けるのは朝と夜の2回だけだと分かりました。避難所でのケアの手順は、持っていく道具の一覧から組まれることが多いものです。けれど並びを決めていたのは、道具の数よりもこの往復2回でした。避難所でのケアは、水場までの往復回数を数えるところから手順が決まります。2回の内側にケアを詰めると列に間に合わず、2回の外側に置けば毎日続きます。

水場まで行けるのは1日2回|避難所でのケアの順番を決める前提

避難所でのケアの手順は、水場まで行ける回数を数えてから組みます。朝と夜、給水と手洗いの列が動く時間に1回ずつ。その2回の外側では、蛇口の前に立てません。持ち物の一覧を先に作ると、この2回に収まらない道具ばかりが並びます。避難所でのケアで先に決まるのは、道具の中身よりも往復回数のほうです。

避難所の1日で、水場まで行ける回数と、その外側に残る時間
時間帯水場の状態その子の体で起きていることケアでできること
朝の列並べば使える(往復1回目)夜のあいだに毛の根もとへ砂が落ちている手を洗う。水を使う作業はここに寄せる
午前列が途切れず、区画を離れられない人の出入りで抱き上げられる回数が増える何もしない。手は空かない
午後配給と点呼で動けない床に近い高さでほこりが被毛に入るブラシだけを膝に置いておく
夕方使えない皮膚から出た脂が、朝の汚れと重なる膝の上で6つを通す。ここが本番
夜の列並べば使える(往復2回目)口のまわりに水と食べ物が残る手を洗い、汚れたものを出す
避難所の1日で、水場までの往復2回がどこに来るか 水を使える時間は朝と夜の列に固定されています。ケアの6つを夕方に寄せると、往復回数は2回のままで済みます。午前と午後は手が空かないので、手順を置いてもその日は流れます。 数えるのは道具の数ではなく、水場までの往復回数です 朝5:40 給水と手洗いの列が動く 往復1回目。水を使う作業はここ 朝7:00 配給と点呼で区画を離れられない 手が空かないので手順は置かない 昼13:00 人の出入りがいちばん多くなる 抱き上げられる回数が増える時間 夕17:30 膝の上で6つの並びを通す 水場に行かずに終わる並びにする 夜20:10 最後の列に並ぶ 往復2回目。ここで手を洗う 夜21:00 紙に回数とふれた場所を書く 翌日の並びは、この2つの数字で決まる 往復が3回になった日は、翌日の朝の列にも間に合わなくなります
夕方に寄せるのは、前後の列にぶつからない時間がそこしかないからです。

避難所では、その子の被毛に入るものが家と変わります。床に近い高さで一日を過ごすので、砂やほこりが毛の根もとまで落ちます。人の出入りが多いぶん抱き上げられる回数も増え、抱かれた面の毛だけが先に寝ます。それでも皮膚から脂が出る速さは、家にいたときと変わりません。昨日ぬぐった場所が、今日また脂とほこりで重くなります。

この前提を置くと、避難所でのケアの順番は自然に決まります。水を使う作業を朝と夜の列に全部寄せ、毛と皮膚にふれる作業は夕方にまとめる。往復2回にふれずに終わる並びかどうかが、毎日続くかどうかの分かれ目です。手順の善し悪しではなく、列の時間に勝てるかどうかで決まっているところが、避難所の特徴です。

紙は1枚で足ります。日付と、その日水場まで行った回数と、ふれた場所の数だけを書きます。数字が「2」と「4」で並んでいれば、避難所でのケアは続いています。往復が3や4に増えた日は、そのまま翌日の列にも遅れが出るので、並びのどこかを削る合図になります。

膝の上で6つ終わらせる|避難所でのケアのやり方と手順

手順は6つです。膝に拭き取り用の1枚を敷き、毛に吹きかけ、背中から順にブラシを通し、ブラシについたものを膝の1枚で取り、足の裏と口のまわりを最後にして、紙に回数を書きます。途中で一度も立ち上がらないことが、この並びの条件です。

  1. 1|膝の上に、拭き取り用の1枚を先に敷く

    座ったまま、たたんだ布か使い捨ての紙を膝にのせます。この1枚が、このあと出てくる汚れの行き先になります。床に広げると隣の区画へはみ出すので、膝の上で足ります。始める前にブラシと1本を膝のそばに並べておくと、途中で道具を探して立ち上がらずに済みます。

  2. 2|毛に直接、mofuwa グルーミングスプレーを吹きかける

    毛の根もとが湿るくらいまでかけます。中身は電解水で、舐めることを前提に設計されている1本なので、避難所でその子が毛づくろいを始めても、かけた量をあとから数え直す必要がありません。周りに人が寝ている時間なら、手のひらに出してから毛になじませる形にすれば、ノズルの音を立てずに済みます。

  3. 3|毛の流れに沿って、背中から順にブラシを通す

    背中、腰、胸、前足のつけ根の4か所を、それぞれ一方向に1回ずつ。アルカリ電解水は毛についた油となじんで乳化するので、余分な皮脂とほこりが毛の外へ出て、ブラシの側へ移ります。必要な皮脂は毛に残ります。水で流す工程が要らないので、ここは列の時間と関係なく進みます。

  4. 4|ブラシについたものを、膝の1枚で取る

    ブラシの毛のあいだに固まって残ったものを、膝の1枚で挟んで取ります。ここで手を洗いに行きたくなりますが、立った時点で往復が3回目になります。取ったものはその1枚ごとにたたみ、袋の口を結んでから次へ進みます。袋は膝のそばに置いたままにします。

  5. 5|足の裏と口のまわりは、いちばん最後にする

    人の通路に触れる足の裏と、水や食べ物が残る口のまわりは順番の最後です。先にやると、背中を梳かしているあいだにまた汚れて、同じ場所を2回やることになります。この2か所は毛に吹きかけず、手のひらに出してから当てます。避難所では、細かい霧が隣の区画まで飛ぶのを避けたい場面があります。

  6. 6|紙の端に、水場まで行った回数を書く

    日付、往復回数、ふれた場所の数の3つだけ。文章は書きません。避難所でのケアの手順が続いているかどうかは、この並びだけで読めます。往復が3回以上の日が3日続いたら、手順を増やすのではなく、どれか1つを翌日へ回します。

この並びに mofuwa グルーミングスプレーが入るのは、吹きかけてブラシを通すだけで終わる形をしているからです。犬も猫も皮膚から脂を出すので、避難所にいても体は毎日汚れます。避難所には湯を使える場所がなく、シャンプーの工程を置く余地もありません。それでも毎日きれいにしてあげたい、という部分をそのまま毎日やれる形にしたのがこの1本です。量を控える必要がないので、毛の量が多い子でも、根もとまで届くまでかけられます。

香りを足していない1本であることも、避難所では意味が変わります。区画の間仕切りは薄く、においは人の側にも届きます。香りの強いものを毎日使えば、隣で寝ている人にも、その子自身にも、家では起きなかった負担が乗ります。ペットは自分のにおいが好きで、余分なにおいはその子の側のストレスになります。無香料であることは、この場所では周りへの配慮とその子への配慮が同じ方向を向きます。

猫では、避難所という場所そのものが手順を1つ増やします。人が近くにいるところでノズルを押すと、プシュッという音が区画の外まで届きます。その音で猫が動き、キャリーの奥へ入ってしまえば、そこから先の手順は全部飛びます。猫用 mofuwa グルーミングウォーターは、音を嫌がるという飼い主の声を受けて、容器を音の出ない形に替えた1本です。中身は犬用と同じで、変えたのは容器だけなので、上の6つの並びをそのまま使えます。避難所では、この持ち替えが往復回数と同じくらい手順の続きやすさを左右します。

乾いた空気の体育館でブラシを通すと、毛が浮いて静電気が起きます。毛が指に絡んで手が止まり、その一瞬でその子が膝から降りると、続きは翌日になります。梳かす前に吹きかけておけば、静電気の起きにくい状態で毛を通せるので、止まる回数が減ります。避難所でのケアは、手が止まった回数がそのまま往復回数に化けていきます。

Point膝から降ろさずに6つを通すための、置き場所の決め方

道具は膝のそばの床に、腕を伸ばさずに届く範囲で3点まで。ブラシ、1本、袋です。それ以上をそろえると、4つ目を取るために体をひねり、その動きでその子が降ります。届く範囲に入らないものは、その日の手順から外してかまいません。6つのうち2つを翌日へ回しても、往復2回を守れた日は続いた日として数えます。

時刻は列の時間から逆算します。夜の列の1時間前に始めれば、終わったあとの手洗いを往復2回目にそのまま重ねられます。始める時刻を変える日と、ふれる場所を増やす日を重ねないでください。途中でその子が降りたときに、時間帯のせいなのか場所を増やしたせいなのかが分からなくなります。避難所でのケアは、動かす条件を1日に1つに絞れているあいだは、だいたい崩れません。

往復が3回に増えた日|避難所でのケアが崩れる3つと戻し方のコツ

避難所でのケアの手順が崩れるとき、増えているのは道具の数ではなく、水場までの往復回数です。3回目が入った日は、その日のうちには戻りません。列の時間がずれ、翌朝の1回目も後ろへ動きます。崩れ方は3つに絞れます。

戻し方にも順番があります。全部を最初から組み直すのではなく、直前に往復2回で終えられた日の並びまで戻して、そこから数え直します。3日続けて3回になっているなら、6つのうち後ろの2つ、つまり足の裏と紙の記録を翌日へ回します。記録だけは口で覚えずに、袋にペンを1本入れておけば1行で済みます。

紙の上では崩れているのに、並びのせいではない日が混じります。放送や点呼が重なった日、消灯が早まった日、配給の列が長く伸びた日です。こういう日は往復回数の欄に数字を書かず、横線を1本引きます。あとで見返したときに、手順の並びが悪かったのか、その日の避難所の側で起きたことなのかを、区別して読めるようになります。

もう1つ、数字では出てこない崩れ方があります。ふれた場所の数は4のままなのに、同じ1か所だけ毎日やり直している場合です。膝にのせる向きが毎回同じだと、こちらの手が届きやすい面だけを繰り返し梳かすことになります。3日に1回、抱く向きを左右で入れ替えると、届いていなかった面が数に入ります。

Caution往復回数の紙に、体の側の変化が先に出ているとき

ふれた場所の数が4から2に減った日が3日続く/毛をかき分けると地肌が赤く、さわると熱い/同じ場所だけをなめ続けている/梳かす前から毛が根もとで固まって離れない/膝にのせた瞬間に体をひねって降りる。こうした変化は、避難所という場所の慣れなさだけでは説明がつかないことがあります。皮膚の側に理由があると、手順をどれだけ短く組み直しても数字は戻りません。避難所には巡回の窓口が置かれることがあり、地域の動物病院の受け入れ先を案内してもらえます。往復回数とふれた場所の数を書いた紙をそのまま持っていってください。どの日から数字が落ちたのかが、紙1枚で伝わります。そのうえで、翌日からは残った2か所だけを続けます。

毛と地肌に何が残るか|避難所で毎日続けるケアの範囲

数日たったら、6つ全部が通ったかではなく、ふれた場所の数がいくつで止まっているかを見てください。4か所で止まっていれば足ります。避難所でのケアが目指すのは全身をきれいにすることではなく、毎日ふれられる場所を減らさないことです。

ふれる場所の順番と、その場所で数えるもの
順場所数えるもの翌日へ回してよいか
1背中一方向に通した回数(1回)回さない。ここが残れば続いている
2腰ブラシに移った量(1枚の汚れ)回さない
3胸その子が向きを変えた回数混み合った日は回してよい
4前足のつけ根手が入った深さ(指2本)混み合った日は回してよい
5足の裏床に触れている面の数回してよい。夜の列の前で足りる
6口のまわり水と食べ物が残っていた回数回してよい

表の右端が、避難所でのケアで唯一の物差しです。日数でも、きれいになったかどうかの見た目でもありません。上の2つが残っているかぎり、下の4つはその日の避難所の混み具合に合わせて動かしてかまいません。背中と腰の2か所は、皮膚から出た脂がいちばん早く重なる場所なので、ここだけは往復2回の内側に入れずに守ります。

一週間たったとき、紙には数字が7行並びます。往復回数が2のまま並んでいれば、その一週間は列に一度も負けなかったということです。ふれた場所が4から2に減った行があっても、横線の日と並んでいれば、避難所の側の事情で動いただけだと読めます。数字が読めるようになると、次に何を削るかを迷わずに決められます。

今夜は、膝に1枚敷いて、背中と腰の2か所だけで終わりにしてかまいません。紙は袋の内側に折って入れておきます。避難所での毎日で効いてくるのは、6つを通せた回数よりも、往復2回を守れた日数のほうです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

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300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

避難所では、ブラシを何本持っていけばいいですか。
1本で足ります。2本目を入れると、膝のそばに置ける3点の枠から袋があふれ、道具を探すために立つ回数が増えます。毛の長さで替えたいときは、目の細かいほうを1本だけ。太い毛の子でも、背中と腰の2か所なら細かい目で通せます。長毛で根もとが固まりやすい子は、ブラシを増やすより、吹きかけてから通すまでの待ち時間を10秒だけ長く取るほうが早く進みます。避難所でのケアは、道具の数を増やした日に往復回数も増えます。
区画が狭くて、膝にのせられない子はどうしますか。
キャリーの扉を開けたまま、中にいる状態で背中だけを通します。出さないぶん、こちらの手が届く面は上からの1面だけになりますが、その1面を毎日続けるほうが数字は残ります。ふれた場所の数は1で書いてかまいません。1が7日並んだ紙は、4が3日で途切れた紙より読める紙です。扉の前に膝の1枚を敷いておけば、ブラシについたものの行き先もそのまま確保できます。
避難所を出て家に戻ったあとは、この手順をどう変えればいいですか。
往復回数の欄を、湯を使った回数に書き替えます。数える対象を入れ替えるだけで、紙の形はそのまま使えます。家に戻ると水場までの距離が数歩になるので、往復という縛りは消えますが、そのぶん毎日の手順がゆるみます。ふれた場所の数の欄を残しておくと、避難所で4か所を守れていたことが目に見えるので、戻ってからも同じ数を保ちやすくなります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。