C01ブランド/開発ストーリー

香りをつけない、という一番むずかしい選択

公開日 2021年3月21日|文=mofuwa編集部

犬の鼻のクローズアップ
人が「いい香り」と感じる強さは、犬にとって同じ強さではありません。写真:https://kaboompics.com//Pexels

mofuwaは全製品が無香料です。これは、開発のなかでいちばん反対されやすい判断でした。香りがあれば使った実感が伝わり、店頭でも選ばれやすくなる。それでもつけなかったのは、香りが「隠してしまうもの」があるからです。この記事では、その理由と、無香料にしたことで受け入れた弱点を書きます。

香りをつけたほうが、売れます

先に正直なことを書きます。ペットケア用品に香りをつけると、たいてい売れやすくなります。使った瞬間に変化がわかり、飼い主が「きれいになった」と感じられるからです。無香料の製品は、その手触りがありません。

それでもつけないことにしたのは、香りが果たしている役割をよく見ると、飼い主が本当に得たいものとずれていくからでした。

実際、店頭に並ぶペット用のスプレーやシャンプーを見ると、無香料と書かれたものはかなり少数です。フローラル、シトラス、ベビーパウダー。棚の前に立つのは飼い主なので、飼い主が好きなにおいが選ばれる。その構造自体は自然なことだと思います。ただ、使われるのは飼い主ではありません。

売る側から見ると、香りは「効いた感じ」をいちばん安く作れる手段でもあります。中身を変えなくても、香料をひとつ足せば使用後の印象は変わる。体感と、実際に起きていることのあいだに差をつくれてしまうところが、便利であると同時に危ういところでした。

もうひとつ、判断を決めたのは使う回数のほうでした。mofuwa グルーミングスプレーは、毎日かける道具として作っています。においの元になる皮脂は、外から付くものではありません。その子の皮膚から毎日出続けるので、昨日ぬぐった場所が今日もう同じにおいに戻っています。それでも散歩には行かせたいし、毎日シャンプーはできず、サロンにも毎日は通えません。その間に落ちる「毎日」を引き受けるために、口に入っても差し支えのない水の基準に合わせ、量を加減しなくていい形にしました。

毎日、全身に、たっぷりかかるものです。そこへ香料をひとつ足すと、乾いても次の日にまた重なり、その子の体のにおいは香料のほうで固定されていきます。週に一度のシャンプーなら数時間で消えるものが、毎日のケアでは消えません。無香料にするかどうかは、毎日使うものにすると決めた時点でほとんど決まっていました。

嗅覚の差を、数字ではなく体感で考える

犬の嗅覚は人の数千倍から一億倍とも言われます。幅が大きいのは、対象となるにおいの種類によって差が違うためで、ひとつの数字にまとめられるものではありません。ただ、方向としてははっきりしています。人が心地よいと感じる強さは、犬にとっては同じ強さではない。

猫も同様で、しかも猫は香りに対して行動で反応します。逃げる、その場所を避ける、体をこすりつけて上書きしようとする。飼い主が「いい香り」と思っているあいだ、猫のほうは対処に追われていることがあります。

しかも、においがついているのは自分の体です。部屋のにおいなら別の部屋へ移れますが、体についたものからは離れられません。猫が使ったあとに何度も体をなめる、床にこすりつける、といった様子が出るのは、そのためだと考えられます。飼い主から見れば「気に入らなかった」ですが、猫の側では作業が増えているということになります。

Note香りの強さは選べません

人は香りが強すぎれば量を減らせますが、ペットは自分で調整できません。その場から離れるか、我慢するかの二択になります。ケア用品は体に直接つくので、離れることもできません。

香りは、においの元を消していない

もうひとつは、しくみの話です。においへの対処は、大きく3つに分かれます。

においへの3つのアプローチ
方法していること残るもの
マスキング(香りで覆う)別のにおいを上から重ねて、感じにくくする元のにおいは残る。混ざって別のにおいになることもある
吸着におい成分を素材に取り込む取り込みきれない分は残る。素材が飽和すると効かなくなる
元に働きかけるにおいを出している汚れそのものを浮かせて取り除く取り除いた分だけ、においが減る

mofuwaが選んだのは3つ目です。においの元は被毛そのものではなく、そこに残った皮脂と汚れなので、それを落とせばにおいは減る。香りを足す必要がありません。

逆に言えば、香りを足す製品は「落ちていなくても、においだけは変わる」ことになります。使った直後の満足感は高くても、数時間後に元に戻るのはそのためです。香料の揮発が先に終わり、残っていた汚れのにおいだけが後から出てくる。使う頻度が上がっていくときは、たいていこの循環に入っています。

においは、飼い主が最初に気づくサインでもある

これが、いちばん大きな理由かもしれません。体のにおいの変化は、飼い主が最初に気づける体の変化のひとつです。

こうした変化は、皮膚の状態や耳の中で起きていることを教えてくれます。ところが香りの強い製品を毎日使っていると、この情報が上書きされて届かなくなります。

とくに耳と足先は、変化が出やすい場所です。どちらも湿気がこもりやすく、皮膚のトラブルが起きると比較的早くにおいに表れます。週に一度、この2か所に鼻を近づけて確かめるだけでも、気づける時期がかなり早くなります。曜日を決めておくと続きます。ブラッシングのついでに10秒、というくらいで十分です。強さを覚えようとせず、「いつもと同じ種類かどうか」だけを見るほうが、あとから比べやすくなります。

確かめる機会は、あらためて作らなくても日課のなかにあります。ブラッシングの前にグルーミングスプレーをかけると、被毛が軽く湿って静電気が起きにくくなり、毛を分けて地肌まで見られる状態になります。耳の縁と足の指のあいだに鼻を近づけるのは、その数十秒のうちで足ります。においを足していないものを使っていれば、この確認を毎日そのまま続けられます。

ケア用品が、飼い主の観察力を下げてしまう。それは製品として本末転倒だと考えました。

無香料にして、受け入れた弱点

無香料は良いことばかりではありません。実際にお客様から届く声で多いのが、これです。

Point「なんだか臭いが気になります」

mofuwaは特許電解水を使っているため、成分の性質上、わずかに塩素のようなにおいがすることがあります。これは製品の異常ではなく、品質や安全性に問題があるものではありません。香料でこのにおいを隠すこともできましたが、そうすると上の話がすべて崩れるため、隠さないことにしました。

つまり「無香料」と「無臭」は同じではありません。香りを足していないという意味であって、中身のにおいがゼロという意味ではない。ここを曖昧にしないほうが、結果として信用が続くと考えています。

グルーミングスプレーの場合、このにおいは乾くとほとんど残りません。気になる場合は、量を少し減らして、根元が軽く湿る程度にとどめてください。使ったあとに風を通す、あるいは乾いた布で軽く押さえると、感じる時間はさらに短くなります。

弱点を先に書いておくと、買ったあとに驚かれずに済みます。あとから説明するより、先に書いておくほうが結局は早い。無香料という選び方は、その姿勢とセットになっているものだと考えています。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

mofuwaはなぜ無香料なのですか?
香りはにおいの元を消さず上から重ねるだけであること、犬や猫は香りの強さを自分で調整できないこと、においの変化が体調のサインでもあることの3つが理由です。
塩素のようなにおいがしますが、異常ですか?
異常ではありません。特許電解水を使用しているため、成分の性質上わずかにそうしたにおいがすることがあります。品質や安全性に問題はなく、乾くとほとんど残りません。
無香料と無臭は違うのですか?
違います。無香料は「香料を足していない」という意味で、中身そのもののにおいがないという意味ではありません。統一された基準がある言葉でもないため、表示だけで判断せず、実際のにおいを確かめてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。