C01ブランド/開発ストーリー

水にしか見えないものを売る|最初はまったく売れなかった

公開日 2021年6月13日|文=mofuwa編集部

淡い色の木の床で横になっている、淡い金色の犬
見た目で差が出ない商品は、試してもらうところまでが遠くなります。写真:PicsbyFran/Pixabay

mofuwa の販売開始から最初のうち、製品はほとんど売れない状態が続きました。手に取った人に見えるのは、透明な液体が入ったボトルです。成分表に書かれているのは水だけ。つくり方の説明はいくらでもできるのに、売り場では見た目のほうが先に届きます。この記事では、販売開始の時期に売れない理由をどこに置いたのか、そして値段と中身のどちらも動かさずに何を変えたのかを書きます。

販売開始の前に、説明できることは揃っていた

mofuwa の販売開始は2019年です。株式会社ワンテンスを設立して事業を始めた年で、中身の電解水そのものは、それよりずっと前からありました。父の代、1995年に前身の株式会社レドックスで研究が始まっています。目的は医療の現場で使うことでした。つくり方の説明は、販売開始の時点で出揃っていました。

特許5253483に登録されている3室ダブルイン型という電解槽の形。中間室に電解質を置いて、膜が通すイオンだけを取り出すつくり方。電解の効率がほぼ100%まで上がっていること。浸透力が精製水の35倍という自社検証の数字。菌を相手にした試験では、30秒や60秒といった試験条件ごとに生菌が検出されなかったという結果が、江東微生物研究所などの検査機関の名前つきで残っています。飲みものに使う水と同じ規格基準に照らした確認も通っていました。

つまり、開発の側で書けることは足りていました。足りていなかったのは、それを手に取った人がその場で確かめる手段です。説明できることの量と、売れるかどうかは、まったく別の話でした。数字と番号をどれだけ並べても、ボトルの見え方は1ミリも変わりません。

Noteこれは売れなかった時期の記録です

mofuwa の製品が病気に働くという話は、ここに出てきません。ペット用のケア用品は雑貨に分類され、効きめを国が審査する仕組みを持ちません。書いているのは、販売開始のころに売れないという事実をどう扱ったか、というところまでです。

mofuwa が売れない理由は、成分表の短さにあった

販売開始からしばらく、mofuwa はほとんど売れない状態でした。原因を品質の側に探すと、どこにも見つかりません。見つかるのは、いつも見え方のほうでした。

成分表に書かれているのは水だけです。ふつう、成分表が短いのは安心の材料になります。ところが売り場では逆にも働きます。何も入っていないものに見える、という読まれ方です。ボトルのなかは透明で、振っても泡が立つわけでもなく、においもありません。

電解水100%という書き方が、そのまま伝わらなかったということです。水道水と何が違うのか。そこが分からないまま値段を見れば、売れない理由は十分に揃います。見た目で差が出ない商品は、一度試してもらうところまでが遠い。mofuwa の販売開始でつまずいたのは、この距離でした。

売る側が用意したものと、買う側に届いたもの
売る側が用意したもの売り場で届くもの
特許5253483と、電解槽を3つに分けた構造の説明ボトルの中身は透明な液体に見える
30秒・60秒といった試験条件と、検査機関の名前その場で確かめる手段がない
浸透力が精製水の35倍という自社検証の数字水に35倍という言い方がつながらない
成分が水だけであること何も入っていない、という読まれ方になる

この表の右側を左側に近づける手当ては、値段を下げるところからは出てきません。安いほうが選ばれる場面はありますが、安くしたところで違いが見えないという条件は動かないままです。売れないことの原因が値段でないなら、値段を動かしても売れない状態は続きます。

もう一つ、売れない状態が長く続いたことで見えたものがあります。売り場で比べられているのは、製品どうしではなく、買う前に持てる確信の量でした。香りがある、泡が立つ、色がついている。どれも品質の証明ではありませんが、買う前に手持ちの感覚で確かめられます。水にしか見えないものには、その手がかりが一つもありません。販売開始のころに足りなかったのは説明ではなく、買う前に自分で確かめられる材料のほうだったと思います。

売れないときに、値段から動かさないという考え方

そこで決めたのが、書き方の側を変えることでした。売れないからといって中身を変えれば、これまでの試験条件で確かめた結果を全部やり直すことになります。値段を下げれば、研究を続けるための原資が細ります。手をつけられるのは説明のしかただけでした。

ただし、説明を増やせばよいという話でもありませんでした。父の代から積み上げてきたエビデンスには、規制の関係でそのまま公開できないものがあります。いちばん説明したいところを、いちばん説明できない。販売開始のころに抱えていたのは、この形のねじれでした。

この考え方は、いま書いているコラムの書き方にもそのまま残っています。条件のない数字を置かない、番号と年月を添える、家で起きたことは家の記録として書く。売れない時期に決めた作法のほうが、そのあとも長く使われています。売れないという事実は、そのときは困りごとでしたが、書き方を決めてくれた側面もありました。

販売開始のあと、売れないまま起きた小さな変化

mofuwa の販売開始が、そもそも社内の計画から始まったものではなかったことも、ここに関係しています。きっかけは外から来ました。父の研究に助言をもらっていた医師のなかに獣医師がいて、この電解水を犬や猫のために役立てられないかという提案を受けたことが、mofuwa の出発点です。

つまり、最初から人から人へ渡って始まった事業でした。売れない時期に起きたのも、同じ形のことでした。売り場の説明では届かなかったものが、実際に使った人の言葉では届いた。変化はここから始まっています。数字が動くよりずっと前に、渡され方のほうが決まっていたということです。

mofuwa グルーミングスプレーは、その時期から中身が変わっていません。ペットは体から脂を出しますし、散歩に行けば外の汚れもつきます。それでも毎日シャンプーをするのは手間で、サロンに毎日通うこともできません。毎日きれいにしてやりたいのに、毎日できる手立てがない。この空きは、売れようが売れまいが飼い主の側にずっとあります。そこに置く1本として、つくり方も成分も販売開始のときのままです。

スプレーしたところは、そのままその子の舌が通ります。飲みものと同じ規格基準に照らして確かめてあるぶん、使う量を数えずにすみます。グルーミングスプレーという名前のとおり、ブラッシングに入る前に吹いておく使い方もできて、静電気が起きにくい状態で梳かせます。湯船に入れることそのものが負担になる子なら、風呂を省いたままでも毎日続けられます。

水にしか見えないものを売るのは、いまも簡単ではありません。売れないという事実は、品質の話ではなく伝わり方の話として読むのが、いちばん正確でした。販売開始から変えていないのは中身で、変え続けているのは書き方のほうです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。