C01ブランド/開発ストーリー

エビデンスが揃うまで、売らないと決めた

公開日 2021年9月5日|文=mofuwa編集部

発売までに引いた線 技術が先にできていても、外から借りてきた基準が揃うまで発売しなかった判断の流れを示した図 技術 できた 基準 借りる 発売 揃って 審査の仕組みがない 清涼飲料水の規格基準 飲み物の基準を借りた理由 舐めるから/外部で測れるから/ 読む人が知っているから 先に基準を決めると、消えるもの 香料が入れられない/とろみが つけられない/色がつけられない
出せるのに出さない、という時間がありました。

犬と猫のケア用品は、試験を受けなくても発売できます。法律上は雑貨に分類されるため、効き目や安全性を発売前に審査する仕組みがないからです。ワンテンスの技術は先にできていました。それでもエビデンスが揃うまで、事業化しなかった時間があります。この記事では、その線をどこに引いたのかを書きます。

審査のない世界に、技術を持ち込むということ

ワンテンスの電解水の技術は、もともと人の医療の現場で使うために研究されてきたものです。そちらの世界には、越えなければならない手続きが山ほどあります。

ところが、犬と猫のケア用品として出す場合は事情が変わります。多くが雑貨に分類され、発売前に効き目や安全性を確かめる仕組みがありません。作って、容器に入れて、説明を書けば、それで棚に並びます。

Note雑貨だから雑、という意味ではありません

きちんと作られている雑貨はいくらでもあります。問題は読む側に見分ける材料がないことのほうです。試験をしたかどうかも、何と比べたかも、書かなければ分かりません。

自由度が高いということは、手を抜いても気づかれないということでもあります。ここが、いちばん怖いところでした。誰かに止められるわけではないので、止めるとしたら自分たちしかいません。しかも、止めなかったことは外からは見えません。

審査があるということは、面倒である以上に、越えたかどうかが記録として残るということです。その記録がない世界では、何をやったかを自分で書き残す以外に、示す方法がありませんでした。

基準がないなら、外から借りてくる

決めたのは単純なことでした。エビデンスの基準を、外から借りるということです。ペット用品の基準がないなら、人間の食品の基準を借りてこようということです。

採用したのが清涼飲料水の規格基準です。飲み物として売るために満たすべき決まりで、当然ながらペット用のスプレーには関係のない基準です。

なぜ飲み物の基準を使ったのか
理由内容
舐めるから犬と猫は、体に付いたものを自分で舐めます。口に入る前提で考える必要がありました
外部で測れるから自社の言い分ではなく、検査機関が同じ物差しで測れます
読む人が知っているから「飲み物と同じ基準」は、専門知識がなくても意味が伝わります

3つ目は、あとから効いてきた理由です。自分たちで作った独自基準は、どれだけ厳しくしても、厳しさが伝わりません。読む側からすれば、基準の名前と数値を並べられたところで、それが高いのか低いのか判断できないからです。すでに世の中にある物差しを借りると、説明しなくても位置が伝わります。

グルーミングスプレー、スキンケアミスト、瞬間消臭スプレー、涙やけクリーナーは、この基準をクリアしています。検査は江東微生物研究所によるものです。

Caution飲むための製品ではありません

基準をクリアしていることと、飲んでよいことは別です。飲用を想定して作られてはいません。あくまで「舐めてしまう量が問題にならないか」を確かめるために、厳しいほうの物差しを当てています。

基準を先に決めると、製品の形が決まる

順番の話をします。ワンテンスは、製品より先に基準を決めました。ふつうは製品を作ってから、通せる基準を探します。逆にすると、作れるものが大きく減ります。

結果として、無色・無臭で、水にしか見えないものができあがりました。店頭で他社製品と並べると、いちばん地味に見える種類の製品です。

これは我慢して受け入れたというより、先に線を引いた結果として、そうなるしかなかったという話です。順番を逆にしていたら、たぶん香りも色もついていました。あとから基準に合わせようとすると、そこまで作り込んだものを削ることになるので、たいていは基準のほうを緩めます。

地味であることの代償は、はっきりあります。棚に並んだときに手を伸ばしてもらいにくい。使った直後の満足感が弱い。手応えを、使用感ではなく結果のほうに預けることになります。その代わり、説明に書けることが増えました。

揃わなかったものは、いまも書かない

全部が揃ったわけではありません。むしろ、揃わなかった項目のほうが多いです。エビデンスが揃わなかったものは、いまも書きません。

たとえば「使い続けると被毛がどう変わるか」を数字で示すことは、いまもできていません。長期間、条件を揃えて観察する試験が必要で、それには年月がかかります。食べているもの、住んでいる環境、季節、その子の年齢。被毛の状態を動かす要素が多すぎて、製品の分だけを切り出すことが難しいという事情もあります。

なので、この点については続けると毛質が改善しますのような書き方をしていません。飼い主の方から届く声はありますが、それは個人の感想として紹介するにとどめています。

Point「書かない」は、いちばん安いコスト

試験を増やすにはお金と時間がかかりますが、書かないでおくのは今日からできます。データが揃っていない部分を空けたまま出す。これがいちばん現実的な誠実さだと考えています。

線は、売れ行きとは関係のないところに引く

この判断で、事業化は遅れました。ワンテンスにとっては、そこが線でした。地味な製品にもなりました。売り方の選択肢も減りました。

それでもこの順番にしたのは、あとから線を引き直すことができないからです。一度「効きます」と書いてしまえば、次からその水準で書き続けることになります。ゆるめた基準は、あとで戻せません。

犬も猫も、自分で製品を選べません。選ぶのは飼い主で、使われるのは本人という構造があります。この構造の中では、作る側が引く線が、そのまま安全の上限になります。

この記事を書いているいまも、揃っていないデータはあります。そのぶんは書かないままにしてあります。空欄が埋まったら足す、埋まらないうちは足さない。地味ですが、これを続けるしかないと思っています。

発売を遅らせた期間そのものに、意味があったかどうかは分かりません。ただ、あのとき出していたら書いていたであろう文章を、いま読み返さずに済んでいるのは確かです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

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よくある質問

ペット用のケア用品に発売前の審査はありますか?
多くは法律上「雑貨」に分類されるため、効き目や安全性を発売前に審査する仕組みはありません。試験を受けるかどうか、結果を表示するかどうかは各社の判断に委ねられています。
mofuwaはどんな基準を使っていますか?
人間の飲み物に適用される清涼飲料水の規格基準です。グルーミングスプレー、スキンケアミスト、瞬間消臭スプレー、涙やけクリーナーがクリアしています。検査は江東微生物研究所によるものです。
清涼飲料水の基準をクリアしていれば、飲ませてもよいのですか?
いいえ。飲用を想定して作られた製品ではありません。犬と猫が体を舐めることを前提に、厳しいほうの物差しで確かめているという意味です。飲ませないでください。

本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。