C01ブランド/開発ストーリー
「無添加」と書く前に、社内で揉めたこと
「無添加」という4文字を入れるかどうかで、社内の意見が割れました。実際に何も添加していない製品もあるので、書いても嘘にはなりません。それでも慎重になったのは、この言葉が法律で定義されていないからでした。書く側が範囲を決められてしまう言葉を、そのまま置いていいのか。この記事では、ペット用品の表示について整理したことを書きます。
ペット用品の表示に関わる、2つの法律
まず前提を整理します。犬と猫のケア用品に関わってくる主な法律は2つあります。
| 法律 | 何を見ているか |
|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 医薬品でないものに、医薬品のような効き目を書いていないか |
| 景品表示法 | 実際より著しく優れているように見せていないか、根拠のない比較をしていないか |
ペット用のスプレーやシャンプーは、動物用医薬品でも動物用医薬部外品でもなく、多くが雑貨にあたります。雑貨は効き目をうたえません。審査を受けていないのだから当然です。
この2つは、見ている方向が違います。薬機法は「その言葉を名乗る資格があるか」を、景品表示法は「その見せ方が実態と合っているか」を見ています。だから、効き目に触れていない文章でも、比較の仕方によっては景品表示法の側で引っかかることがあります。片方だけを気にしていると、もう片方で足をすくわれる、という構造です。
効き目を書かないのは、その製品に何もないという意味ではなく、審査を経ていないものに効き目を名乗る資格がないという手続きの話です。ここを混同すると、書ける・書けないの線がぼやけます。
「無添加」が難しいのは、定義がないから
本題です。「無添加」という言葉には、法律上の定義がありません。何を添加物とみなすかが決まっていないので、書く側が範囲を決められてしまいます。
- 元から必要ない成分でも数えられる:その処方に入る余地のない成分を並べても、フリーの数は増えます
- 数が多いほど良く見える:8フリーと11フリーでは後者が優れて見えますが、中身が違えば比較になりません
- 入っているものの説明にならない:何を入れていないかは、入っているものの安全性を何も語りません
- 製品どうしを並べても比べられない:A社の8つとB社の8つが同じ8つとはかぎらず、数字だけが横並びに見えてしまいます
つまり「無添加」は、それだけではほとんど情報量がない言葉です。にもかかわらず、読む人には強い印象を与えます。この非対称が、慎重になった理由でした。情報量が少ないのに印象が強い言葉は、書く側にとって都合がよすぎます。都合がよすぎると感じたときは、いったん止まって条件を足す。社内ではそういう扱いにしています。
決めた3つのルール
議論の結果、次の3つを決めました。いまも守っています。
-
「無添加」だけで終わらせない
使う場合は、何を入れていないかを必ず併記します。スキンケアミストなら8つ、モイストシャンプーなら11成分。数だけでなく中身を書きます。
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安全性の根拠は別に示す
無添加は処方の説明であって、安全性の証明ではありません。根拠として示すのは、外部の検査機関で測った条件のほうです。処方の話と、確かめた結果の話を同じ段落に混ぜないようにしています。混ぜると、片方の根拠がもう片方まで支えているように読めてしまうからです。
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体がどうなるかは書かない
「肌荒れを防ぐ」「かゆみから解放される」といった書き方はしません。主語を体から製品に移し、製品が何をしているかだけを書きます。主語が体になった瞬間、それは効き目の話になります。判断に迷ったときは、文の主語がどちらかを見れば、たいてい線が引けます。
3つ目は、いちばん守るのが難しいルールです。かゆみを抑えますと書けば伝わりやすいのに、それを避けて「洗浄成分の量を抑えています」と書くと、伝わり方が地味になります。
この3つを守ると、パッケージの文章は必ず地味になります。それを後から嘆かないよう、最初から地味である前提で設計するようにしました。パッケージの説明文を削っていったのも、同じ流れの中の判断です。
飼い主の側から、どう読むか
これはmofuwaにかぎらない話として書きます。ペット用品のパッケージを見るとき、次の3点を探すと判断しやすくなります。
- 「何を入れていないか」が具体的に書いてあるか:「無添加」だけなら、情報としては空です
- 試験の条件が書いてあるか:「試験済み」だけでなく、誰が・何と比べ・どんな条件で測ったか
- 効き目を断定していないか:雑貨なのに「治る」「効く」と書いてあれば、その時点で表示のルールから外れています
- 比べる相手が書いてあるか:「約2倍」「〇〇より」とあるなら、何を基準にした数字なのかが同じ面に書かれているか
3つ目は、逆説的ですが強く書いてある製品ほど注意して読むということでもあります。書ける立場にないものが強く書かれているとき、そこには何かの省略があります。省略されているのは、たいてい条件のほうです。条件が消えるほど、言葉は強くなります。逆に言えば、条件がきちんと書いてある文章は、読んだときに少し物足りなく感じるくらいがふつうです。
結局、「無添加」は使うことにした
議論の結論を書いておきます。使うことにしました。ただし、必ず中身を併記するという条件つきです。
使わないという選択肢もありましたが、それだと「入れていない」という事実そのものが伝わらなくなります。舐める動物に使うものである以上、何を入れていないかは、伝えるべき情報だと考えました。
言葉が曖昧だから使わない、ではなく、曖昧なぶんを具体で埋めて使う。落としどころはそこでした。
この整理をしておくと、あとの判断が速くなります。新しい商品を作るときも、パッケージの文言で迷ったときも、3つのルールに当てはめれば答えが出ます。迷う時間そのものが減ったのが、いちばん大きかったかもしれません。
表示のルールは、読む人を守るためのものです。同時に、作る側が言いすぎないための歯止めでもあります。歯止めがあるほうが、結果として長く書き続けられると思っています。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- ペット用品に効き目を書けないのはなぜですか?
- 犬猫用のスプレーやシャンプーの多くは動物用医薬品でも医薬部外品でもなく、雑貨にあたります。雑貨は発売前に効き目の審査を受けていないため、医薬品のような効き目をうたえません。
- 「無添加」と書いてある製品は安全ですか?
- 無添加は法律で定義された言葉ではなく、何を添加物とみなすかは書く側が決められます。入れていないものがあることと、入っているものが安全であることは別の話です。試験の条件が併記されているかを見てください。
- mofuwaはパッケージに何を書いていますか?
- 「無添加」と書く場合は、入れていない成分を具体的に併記しています。安全性の根拠としては、外部の検査機関で測った条件を示します。体がどうなるかという書き方はしていません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
