C01ブランド/開発ストーリー
効能をうたわない、と決めた日
mofuwaの説明文には、治ります/効果がありますといった言葉が出てきません。法律で書けないから、という理由だけで決めたことでもありません。書けない制約を先に受け入れると、代わりに何を示すべきかがはっきりします。この記事では、薬機法の線引きと、それを設計にどう使っているかを書きます。
まず、どういう分類なのか
医薬品医療機器等法(薬機法)は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの分類ごとに、表示してよい内容を決めています。ペット用のケア用品の多くは、このどれにも当たらない「雑貨」として扱われます。
雑貨には、有効性を審査する仕組みがありません。審査を通っていないものが「効きます」と言えば、根拠のない効能表示になります。だから書けない。順序としては、規制で禁じられているというよりそもそも証明の枠組みを通っていないということです。
mofuwa グルーミングスプレーも、この雑貨の枠に入ります。毎日ペットの体に吹くものですが、承認を受けた薬ではありません。だから、この記事で線を引いているのは他社の話ではなく、自分たちが毎日書いている説明文の話です。
動物用医薬品・動物用医薬部外品という枠は別に存在します。そちらの承認を取れば書けることは増えますが、日常のケア用品がそこに入ることはあまりありません。承認という手続きは、特定の症状に対して有効であることを示すためのものです。毎日の手入れのために使うものとは、そもそも目的が違います。
つまり雑貨は、効き目を否定されたものではなく、効き目を語る土俵に上がっていないものです。ここを取り違えると、「言えないだけで本当は効く」という書き方に流れます。それは、審査を通った製品にも、読む人にも失礼な言い方だと考えています。
書けないことと、書けること
実務で迷いやすいところを、対比で並べておきます。
| 書けない(効能の標榜) | 書ける(事実・使い方・設計) |
|---|---|
| 皮膚炎が治ります | 皮膚に異常があるときは動物病院にご相談ください |
| かゆみに効きます | かゆがる部分に使う場合の手順と回数 |
| ノミ・ダニを駆除します | ディートを使わずに設計しています |
| 除菌して感染を防ぎます | ◯◯の条件で生菌が検出されなかった、という試験結果 |
| 涙やけが消えます | 眼刺激性試験をクリアした処方です |
| 体臭がなくなります | においの元になる皮脂と汚れを落とす設計です |
| アレルギーが良くなります | アレルギーの診断と治療は動物病院の領域です |
| これ1本で皮膚トラブルが解決します | 毎日の手入れとして、梳かす前に吹いて使う製品です |
右の列に共通しているのは、主語が製品の設計か、試験の条件になっていることです。「体がどうなるか」ではなく「製品が何をしているか」を書く。この置き換えができれば、たいていの説明は成立します。逆に言うと、左の列はどれも主語が犬や猫の体になっています。体に起きる変化を約束した時点で、雑貨の説明の範囲を越えます。
なお、表の左側は書いてはいけない例として挙げています。取り消し線で示しているのはそのためで、mofuwaの説明としてこれらを主張しているわけではありません。
効能を書かない代わりに、何を出すか
効き目を書けないなら、読む人は何を頼りに選べばいいのか。わたしたちが出すことにしたのは、次の3つです。
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設計上の事実
何を入れていて、何を入れていないか。界面活性剤・香料・アルコールの有無、原水が満たしている基準。これは効能ではなく、製品そのものの説明です。
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試験の条件と結果
何と比べて、どんな条件で、誰が測ったか。数字だけを出さず、条件をセットで書きます。条件が書かれていない数字は、読む側が検証できません。試験は特定の条件で行うものなので、条件が変われば結果も変わりうる、という前提も一緒に置きます。
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使い方の手順
どこに、どれくらい、どの順番で使うか。効き目を約束する代わりに、再現できる手順を渡す。ここがいちばん実用的です。手順が具体的であるほど、使う人は「やってみて、合わなければやめる」という判断ができます。
効き目を言い切れるうちは、それ以上具体的にする必要がありません。書けないと決まった瞬間から、具体的に書くしかなくなる。結果として、読む人が自分で判断できる情報が増えます。
グルーミングスプレーの説明に当てはめると、こうなります。書いているのは「アルカリ性の電解水が油と乳化して、余分な皮脂と外からついた汚れが浮く」という設計の話と、「梳かす前に吹く」という手順です。舐めることを前提にした基準で作っているので、使う量を先に決めておかなくても構わない、というところまでは書けます。そこから先、体がどう変わるかは書けません。毎日きれいにしてあげたいという願いに対して渡せるのは、毎日くり返せる手順のほうだ、という整理です。
体験談を載せるときのルール
お客様の声を載せることはあります。ただし、体験談は効能の証明にはなりません。個人の感想を並べて、実質的に効能をうたうことも認められていません。
そこで、次の3つを守っています。
- 個人の感想であり、効果を保証するものではないと必ず添える:小さく末尾に置くのではなく、その声のすぐ近くに置きます
- 体験談だけで結論を作らない:試験結果や設計の説明と並べる。感想が主役になった時点で、実質的な効能表示に近づきます
- 都合のいい声だけを並べない:うまくいかなかった声も同じ場所に載せる
3つ目がいちばん重いところです。良い声しか載っていないページは、読む側から見れば選別されたものです。合わなかった声が同じ場所にあるかどうかで、その情報の扱い方が変わります。
手入れと獣医療の、境目をどこに置くか
すべての記事と説明文の最後に、動物病院への相談をうながす一文を入れています。定型文だから入れているのではなく、ケア用品の役割の境目がそこにあるからです。
皮膚に傷、強い赤み、じゅくじゅくした部分がある、同じ場所を舐め続けて毛が薄くなっている、においが数日続けていつもと違う。こうしたときは、ケア用品を変えるより先に動物病院にご相談ください。
製品にできるのは、日々の手間を減らし、洗いすぎずに清潔を保てる状態をつくることまでです。治すのは獣医療の仕事で、そこを混ぜて書かないほうが、結果として飼い主のためになると考えています。境目をあいまいにした説明がいちばん困るのは、受診が遅れたときだからです。ケア用品を替えながら数週間を過ごすより、一度診てもらったほうが早いという場面は、実際にあります。
この線引きは、窮屈に見えるかもしれません。ただ実際に運用してみると、書き手の側がいちばん助かっています。言い切れないぶん、確かめたことしか書けなくなる。何を根拠にそう言えるのかを毎回さかのぼることになり、あいまいな表現が自然に落ちていきます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- なぜ効能をうたわないのですか?
- ペット用のケア用品は雑貨に分類されることが多く、有効性を審査する仕組みを通っていないためです。審査を経ずに効き目を書くと、根拠のない表示になります。
- 薬機法はペット用品にも適用されるのですか?
- 動物用医薬品・動物用医薬部外品として承認を受けた製品には適用されます。雑貨として販売されるケア用品は、その枠の外にあるぶん、効能効果を標榜できません。
- 体験談は載せてもいいのですか?
- 掲載できますが、個人の感想であり効果を保証するものではないと明記する必要があります。体験談を並べることで実質的に効能をうたうことも認められていません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
