C01ブランド/開発ストーリー

擦らないほうが、地肌に届く|お湯そのものを洗浄液に

公開日 2023年3月19日|文=mofuwa編集部

泡をのせて擦る洗い方と、湯そのものを洗浄液にする洗い方 被毛の上に泡をのせてから指でかき分ける洗い方と、湯に溶かして全身を浸す洗い方を左右に並べ、地肌に届くまでの道筋の違いを比べた図 同じ「洗う」でも、地肌に届くまでの道筋が入れ替わります 泡をのせてから擦る 泡は被毛の表面で止まる 指でかき分けて押し込む 擦る力が皮膚の面に残る すすぎに時間がかかる 湯そのものを洗浄液にする 浸かるだけで全身が浸る かき分ける工程が要らない 擦らないので力を入れない すすぎは軽くて済む 図は本文に書いた工程の数え方から作成しています
擦らないほうが地肌に届く、という順番でできています。

泡を立ててから3分、毛のあいだに指を差し込むと、地肌はまだ乾いていました。被毛が二層になっている子では、これがふつうに起きます。泡は毛の上で立っているのに、地肌の面までは降りていない。だから毛をかき分けて、指で押し込むことになります。mofuwa 入浴シャンプーは、この押し込む工程を外すところから形が決まりました。湯に溶かして、溶けた湯そのものを洗浄液にする。擦らないほうが地肌に届く、という順番です。この記事では、入浴シャンプーが擦らない形になった背景と、そこで何が減ったのかを書きます。

泡を3分立ててから、指で確かめた地肌|入浴シャンプーで擦らないと決める前の経験

洗い場に湯を出して、ボトルから泡を立てて背中にのせる。手を動かして3分ほど経ったところで、毛のあいだに指を差し込んでみます。指の腹は、まだ乾いていました。泡は毛の上でしっかり立っているのに、地肌の面までは降りていません。下毛のある子や、毛が上に向かって立つ子では、これがめずらしいことではありません。

届いていないと分かれば、やることは一つに決まります。毛をかき分けて、指で地肌まで泡を送り込む。ここから先は、洗っているというより押し込んでいる作業です。背中、腰、内股、しっぽの付け根と順に進めると、それだけで何分もかかります。シャワーの音が続くあいだ、その子は足を踏み替えながら立っています。

泡をのせて擦る洗い方で、洗い場で数えていたもの
工程人の手がしていたことその子の側で起きていること
泡をのせる被毛の上に泡を広げる毛の表面だけが濡れる
かき分ける指で毛を割って地肌まで送る手の力が皮膚の面に加わる
擦る汚れを泡と一緒に動かす立ったまま動けない時間が続く
すすぐ泡が消えるまで湯をかけるシャワーの音がいちばん長く続く
乾かすタオルで押さえてから風を当てる根元が乾くまで待つ

この5つのうち、長いのはかき分けと擦る工程でした。擦っている時間は、その子がじっと耐えている時間でもあります。タオルで押さえて風を当てるところまで足すと、洗い場にいる時間は毎回同じだけ必要になります。手順を覚えても短くならないのは、覚えることではなく工程の数が変わっていないからです。

そして、いちばん引っかかるのはここです。これだけ手をかけても、地肌に届いた証拠はどこにも残りません。指を入れて乾いていれば届いていないと分かりますが、濡れていたとしても、それが全身のどこまでなのかは分かりません。届いたかどうかを人の手ざわりで確かめる洗い方は、確かめられない場所が必ず残ります。

被毛が厚い子ほど、泡は地肌の手前で止まる|入浴シャンプーが擦らない形になった背景

泡が止まるのは、毛の量が多いからというだけではありません。泡は空気を含んだ膜なので、毛と毛のすきまが細かくなるほど、そこで引っかかって降りていきません。下毛が密に生えている子は、毛の層そのものが泡を受け止める面になります。だから、毛が多い子ほど泡は上で止まり、届かせるために加える力が増えていきます。

ここで増える力の行き先が、地肌です。犬や猫の皮膚の角質層は、人の1/3〜1/2の厚さだとされています。人が自分の頭を洗うときと同じ感覚で指を動かすと、手ごたえより先に刺激のほうが積み上がります。届かない泡を届かせようとする動きが、そのまま皮膚への負担に変わっていく。これが、擦って洗う形の行き止まりでした。

Point地肌は、人の肌と同じ力では扱えません

犬や猫の角質層の厚さは、人の1/3〜1/2だとされています。同じ強さで指を動かしても、受け取る側の条件が違います。擦らないという設計は、力を弱めるという話ではなく、力を加える工程そのものを外すという話です。

すすぎも同じ問題を抱えています。地肌の手前まで押し込んだ泡は、地肌の手前から出てこなければなりません。押し込んだぶんだけ湯をかける時間が伸び、シャワーの音が長く続きます。音を嫌がる子では、この時間がいちばんつらいところです。乾かす前にすでに疲れている、という状態がここでできあがります。

つまり、擦って洗う形には三つの負担が同時にぶら下がっていました。届かせるための力、押し込んだぶんを出すためのすすぎ、そのあいだ立っている時間です。この三つはどれも、泡を毛の上にのせるという最初の一手から生まれています。工程を丁寧にしても、最初の一手が変わらなければ三つは残ります。

湯そのものを洗浄液にすると、かき分ける手が要らない|入浴シャンプーで擦らない理由

mofuwa 入浴シャンプーは、ボトルから泡を出すものではありません。洗い場に張った湯や桶の湯に溶かして使います。溶けた湯そのものが洗浄液になるので、被毛の上に泡をのせるという最初の一手がなくなります。つけ置きという言い方をされることが多いのは、この形のためです。

  1. 湯に溶かす

    洗い場や桶に張った湯に入浴シャンプーを溶かします。ここで洗浄液ができあがるので、体に泡をのせる工程がそのまま消えます。

  2. 体を浸ける

    湯に浸けます。液体は毛のすきまを伝って、毛の量に関係なく地肌の面まで入っていきます。人の手でかき分ける必要がありません。

  3. 浸かっている時間にまかせる

    浸かっている時間が、擦る力の役目を引き受けます。手を動かして汚れを動かすのではなく、液体が触れていることで汚れがゆるみます。

  4. 軽く流す

    押し込んだ泡がないので、出すための時間も要りません。すすぎが軽くなるぶん、シャワーの音が続く時間そのものが短くなります。

  5. 乾かす

    タオルで押さえてから風を当てます。根元まで均一に濡れているので、どこが乾いていないかを探し回らずに進められます。

ここでいちばん大きいのは、時間ではありません。かき分けないほうが、地肌にむらなく届くということです。人の指で毛を割って泡を送る方法は、どうしても届く場所と届かない場所ができます。液体に浸かる方法は、浸かっている面がそのまま届いた面になります。擦らないというのは、手間を省いた結果ではなく、届き方を均すための選び方でした。

だから、時短は目的ではなく結果の側にあります。工程が減ったから早くなった、という順番です。売りにしているのは早さではなく、むらなく届くことのほうです。この順番を逆にすると、早く済ませたい人向けの簡易版という話になってしまいます。入浴シャンプーが擦らない形をとっているのは、そこを避けるためでもあります。

浸かるだけで済む形は、立っていられる時間が短い子にも向いています。足腰の力が落ちてきた子、体が大きくて立ちっぱなしがつらい子、頭数が多くて一頭ずつに時間をかけられない家。どれも、擦る工程を外すことで先に楽になる側です。おすすめの理由を聞かれたときに、まずここを話しています。

洗う日と洗う日のあいだが変わる|擦らないという入浴シャンプーの考え方

湯に溶かして使うという形は、浴室の外にも出ていきました。散歩から帰って、家に入る前に桶に湯を張り、そこで足だけ洗うという使い方をしている方がいます。全身を洗う日ではないのに、足の汚れだけがその日のうちに落ちる。これは、泡を立ててかき分ける洗い方では玄関先でできなかったことです。

こうして見ると、入浴シャンプーが変えたのは洗い方というより、洗う日の位置です。全身を洗う日は残しながら、洗う日と洗う日のあいだに小さく使える形が増えました。間の日に足だけ、お尻のまわりだけ、という選び方ができると、次に全身を洗うまでに積み上がる量が変わります。

その間の日を、水のスプレーで受け持つ形もあります。mofuwa グルーミングスプレーは吹きかけて拭き取るものなので、湯を張らない日はそちらで足ります。湯を使う日と、湯を使わない日で、道具の側を変える。どちらも擦って届かせる工程を持たない、という点では同じ考え方の上にあります。

擦らないと決めたことは、いまの入浴シャンプーの形にそのまま残っています。泡を立てるポンプがなく、600mlという量で売られていて、湯に溶かす前提で作られている。地肌に届くかどうかを人の手加減にあずけない、というところから逆算された形です。洗い場で指を入れて乾いていた、あの手ざわりを二度作らないための形だと考えています。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。