C01ブランド/開発ストーリー
会社員をしながら、給料の半分を研究に回していた
電解水の研究を支えていたのは、会社員として受け取っていた給料の半分でした。父が研究に専念できるように、毎月その半分を渡していました。ただ、支える側が払えたものは、お金だけではありません。同時に、どうしても支えられない部分もありました。この記事では、電解水の研究を支えるということの中身を3つに分けて、それが2019年以降の製品に何を残したのかを書きます。
電解水の研究を支えると決めたときの背景
電解水の技術は父の代にできたものです。前身の株式会社レドックスで研究が始まったのが1995年で、目的は医療の現場で使える水をつくることでした。装置も、水のつくり方の見当も、すでにありました。足りていなかったのは、それを外へ向けて説明できる材料のほうです。自分の肌に使って手ざわりが変わったと感じても、それは他人に渡せる材料になりません。学生のころ友人に配ってみたときも、返ってきたのは水道水との違いが分からないという反応でした。
そこで父と決めたのが、エビデンスが揃うまで事業にしないという線でした。交わしたのは「少なくとも10年」という約束です。10年で仕上げるという意味の期限ではなく、どんなに早くてもそれくらいはかかるという見積もりのほうでした。この約束が先にあって、研究を支えるやり方はそのあとに決まっています。
順番が逆だと、うまくいきません。先に使える金額を決めてしまえば、その金額が尽きた時点で約束のほうを折ることになります。10年以上もつ形でなければ、約束を守れる支え方になりません。だから、研究の期間を先に置いて、それがもつように支え方を選んでいます。
実際に会社の形になったのは、それより5年あとの2019年です。約束が下限として置かれていたので、延びたこと自体は約束を外したことになりません。支え方も、締め切りではなく下限に合わせて選んでいます。
勤めを続けながら支えるほうを選んだ理由
電解水の研究を支える道は、当時いくつか並んでいました。自分も研究の側に入る。外から投資を受ける。勤めを続けて毎月渡す。選んだのは3つめです。
外から資金を入れなかった理由は、金額ではありません。返す時期が決まると、そこが研究の締め切りになるからです。まだ揃っていないものを、揃ったことにして先に出す圧力が生まれます。15年かかると分かっている仕事に、5年で返す資金を入れるわけにはいきませんでした。
給料は額が小さいぶん、毎月決まって入ります。翌月も同じ額が入ると分かっているので、途中で手を止める必要がありません。研究を支えるうえで効いたのは、額の大きさより、途切れないことでした。装置を動かす費用も、試薬も、外の機関へ出す試験の代金も、一度に大きく使うものではなく、毎月少しずつ必要になるものです。
勤めを辞めなかった理由も、ここにあります。辞めれば給料が止まり、給料が止まれば研究を支える手も止まります。研究をしている本人が資金の心配までしている状態を15年続けるのは難しい、と考えていました。支える側は、研究の外側にいたほうがよかったということです。
支える側の経験と、支えられなかったもの
15年のあいだ、渡す割合は動かしていません。半分という数字を決めたまま置いたのは、判断を毎月しないためでもありました。毎年見直していれば、そのたびに研究の進みぐあいを言い訳の材料にしていたと思います。
支える側が払えたものは、はっきりしています。父が研究だけをしていられる時間です。お金で買っていたのは装置や試薬というより、その時間のほうでした。相手先との話が動き出すまでに何年かかっても待てたのは、待つあいだの費用が毎月入っていたからです。
逆に、支える側からどうしても動かせない部分もありました。何が出てくるか、いつ出てくるかです。研究は注文した順に返ってくるものではないので、支える側が急かせば、出てきていないものを出てきたことにする力が働きます。支えるというのは、速さを決めないと引き受けることでもありました。
| 積み上がったもの | 支える側が関われた範囲 |
|---|---|
| 20を超える大学・研究機関との研究 | 相手先が決まるまで待つ時間を用意した |
| 1997年に始まった東京大学との共同研究 | 分野の選び方には関わっていない |
| 2003年から続く小児科の医院での使用試験 | 20年以上という期間そのものは買えない |
| 特許5253483として登録された電解槽の構造 | 研究の側が出したもの。支える側は待っただけ |
並んだ分野は、医学から歯学、農学、工学まで散らばっています。ひとつの計画表に沿って進んだものではありません。散らばったまま積める形でいられたのは、支える側に急ぐ理由がなかったからです。これが15年やってみて残った経験のうち、いちばん説明しにくい部分でもあります。
水のほうが先に仕上がっていた、という変化
2019年2月、株式会社ワンテンスができました。約束した10年の1.5倍の時間が経っています。このときいちばん大きかった変化は、製品をつくる前に、水のほうが先に仕上がっていたことです。ふつうは商品の企画があって、それに合う原料を探します。順番が反対でした。
電解水のつくり方は、そのときすでに番号で示せる状態になっていました。電解槽を3室に分け、中間室に電解質を置いて、両側の部屋とのあいだをイオン交換膜で仕切る構造です。行き来できるのはイオンだけなので、汲み出す水には電解質そのものが持ち込まれません。還元水が取れるのはカソード側、酸化水が取れるのはアノード側です。この構造があるので、清涼飲料水の規格基準に照らして確かめることができます。
- そのまま使っているもの:mofuwa グルーミングスプレーは、アルカリ側の高機能性電解還元水がそのまま入っています
- 形だけ変えたもの:猫向けの1本は、同じ系統の水にわずかなイオン調整を加えて、音の出ない容器に入れ替えています
- 原料水として使っているもの:モイストシャンプーは、水の部分をこの電解水に置き換えているので、界面活性剤を減らせます
3つとも、水に何かを足して強くしたものではありません。足りないぶんを成分で埋めるのではなく、仕上がっている水に形だけを足しています。15年を支えた結果として残ったのは、この「足すものがない」という状態でした。
グルーミングスプレーがどういう1本になったかも、ここから決まっています。犬も猫も、体から脂を出しながら一日を過ごしています。外に出れば、その上に土やほこりも乗ります。しかし、シャンプーを毎日はさむのは現実に難しく、サロンも毎日の受け皿にはなりません。吹くだけという形にしているのは、その毎日のほうに合わせたからです。吹いたところは、そのままその子が舐めます。だから、量を数えながら使う場面が出てきません。湯につかること自体が負担になる子では、洗う日の間隔が開いても、日々の手当てのほうが途切れません。
給料の半分という配分は、うちの子の毛の手ざわりとは何の関係もない話です。それでも書き残しておきたいのは、研究を支えた15年が、製品の側で足すものを減らしたからです。急いで出す理由がなかったぶん、水そのものに時間をかけられました。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
