C01ブランド/開発ストーリー
ペット用品に「エビデンス」を持ち込んだ理由
ペット用品に「エビデンス」という言葉を持ち込むのは、少し場違いです。犬猫用のスプレーやシャンプーの多くは雑貨で、効き目を審査する仕組みがありません。審査がない世界に、審査のための言葉を持ち込んでいることになります。それでも続けているのはなぜか、そして雑貨に何が示せて何が示せないのかを書きます。
義務がないので、やらなくてよい
はっきり書いておくと、mofuwaがやっている試験の大半は、法律上は不要なものです。雑貨として売るだけなら、外部の検査機関に依頼する必要はありません。
医薬品や医薬部外品であれば、決められた試験を通さなければ売れません。逆に言えば、その世界では全社が同じ関門をくぐっているので、比べることに意味があります。同じ物差しが先に用意されていて、その上に各社の製品が並ぶからです。雑貨には、その物差しがありません。試験をしている会社と、していない会社と、していても公開していない会社が、棚の上では同じ顔をして並びます。
食べるもの、つまりペットフードにはペットフード安全法という決まりがあります。ただし、体につけるケア用品はその対象ではありません。同じペット用品でも、口に入れるものとつけるものでは前提が違います。
積むと、比べる相手がいなくなる
義務がない場所で試験を積むと、おかしなことが起きます。比較できる相手が存在しないのです。
たとえば「30秒で生菌検出されず」という結果があっても、他社が同じ条件で測った数字を公表していなければ、優れているのか並なのかが分かりません。数字はあるのに、位置づけができないという状態になります。比べるためには、同じ菌を、同じ濃度で、同じ時間だけ置いた結果が、相手側にも要ります。どれかひとつでも条件が違えば、その2つの数字は並べた時点で意味を失います。読む人にできるのは、せいぜい「そういう試験をしたらしい」と受け取ることまでです。
- 単独の数字は解釈しにくい:良し悪しの基準がないので、読む人が判断できません
- 「他社より優れている」と書けない:根拠のない優良誤認は景品表示法に触れます
- 費用だけが増える:試験の数だけコストが乗り、価格に跳ね返ります
- 条件を書くほど文章が長くなる:誰が何と比べたかまで書くと、一言では終わりません。短い言葉のほうが強く見えるので、見た目では負けます
つまりエビデンスを積むことは、売るうえでは効率の悪い行為です。ここは正直に書いておきます。
比べる相手がいないと書きましたが、例外が1つあります。mofuwa 瞬間消臭スプレーだけは、他社の製品と同じ条件に並べた数字を持っています。コットンにアンモニア液を垂らし、それぞれのスプレーを2プッシュしてから、臭気測定器で読みました。mofuwaが141、比べた市販の3製品が786・999・324です(数値が低いほうがにおいが弱い/※自社調べ)。ただし、相手の3つの数字は、相手が公表したものではありません。こちらが買って、こちらの決めた条件で測ったものです。だから製品名は書きませんし、消臭力が上だとも書きません。書けるのは、この手順でこの数値が出た、というところまでです。同じ条件に並べたいなら、比べる相手のぶんまで自分でそろえるしかありません。義務がない場所では、比べるための土台まで自費でつくることになります。
雑貨が示せるのは「条件つきの事実」まで
では何が示せるのか。範囲をはっきりさせておきます。
| 示せる | 示せない |
|---|---|
| この装置で作った水である、という製法 | この水が病気に働く、という効き目 |
| この条件で測ったらこうなった、という試験結果 | 使い続けると体がこう変わる、という予測 |
| 清涼飲料水の規格基準をクリアしている、という事実 | 飲んでよい、安全が保証されている、という保証 |
| この成分を入れていない、という処方 | 入れていないから安全である、という結論 |
| 試験を依頼した検査機関の名前 | その機関が製品を認めた、というお墨つき |
左と右は、見た目が似ています。だから、うっかりすると右に踏み込みます。左の列はどれも「起きたこと」で止まっているのに対し、右の列はそこから一歩進んで「だからこうなる」と言い切っています。その一歩は、試験では埋まりません。左だけで書き続けるのは、想像以上に窮屈です。言いたいことの手前で毎回止まることになるからです。
瞬間消臭スプレーを例にすると、線の引き方がはっきりします。この1本は、床やケージにかけた水を犬や猫が舐めるところから逆算して、中身を決めています。香りでにおいを覆う作りにしなかったのも、その順番からです。ここまでは、どんな水をどうつくったかという処方の話なので、左の列に入ります。では「舐めても安全です」と書けるかというと、書けません。入れていないものを並べることと、何も起きないと保証することは、別の作業です。前者は測れば分かりますが、後者はその子の体の側で決まります。年齢も、皮膚の状態も、口に入る量も、こちらの手元にはありません。
「試験で菌が検出されませんでした」まではよいのですが、そのすぐ後にだから皮膚を清潔に保てますと続けると、右側に入ります。試験管の中の話と、体の上の話が、接続詞ひとつでつながってしまいます。
示せないことは、飼い主の判断に返す
示せない部分をどうするか。mofuwaでは、そこで文章を止めるようにしています。
-
条件つきの事実を書く
誰が、何と比べ、どんな条件で測ったか。ここまでは詳しく書きます。
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解釈は読む人に渡す
その結果が自分の子にとって意味があるかどうかは、飼い主のほうが判断材料を持っています。年齢、皮膚の状態、暮らし方。こちらには分かりません。毎日どのくらい外に出ているか、同居の子がいるか、去年の同じ時期はどうだったか。手元にあるその情報のほうが、試験の数字より判断の役に立つ場面は多くあります。
-
困っているときは動物病院へ、と書く
症状がある場合、判断すべきなのはメーカーではありません。この一行を省かないようにしています。
「使えば良くなります」と書かないぶん、読む人に考えてもらうことになります。不親切に見えるかもしれませんが、これが正確な距離だと考えています。
それでも積むのは、いつか比べられるように
効率が悪く、比較相手もなく、書ける範囲も狭い。それでも試験を続けているのは、理由が2つあります。
ひとつは、作る側が自分を確かめるためです。思ったとおりの水ができているか、工程が安定しているかは、測らないと分かりません。前と同じ手順で作ったつもりでも、同じものができているという保証はどこにもないからです。表示のためというより、製造のための試験です。パッケージに一文字も書かれない結果のほうが、実際には多くあります。
もうひとつは、いつか比べられる日のためです。条件つきの数字を公開する会社が増えれば、飼い主は使用感以外の手がかりで選べるようになります。1社ではどうにもなりませんが、1社もやらなければ、その日は来ません。
犬と猫は、自分で製品を選べません。選ぶ人の手元に、比べられる材料を置いておく。エビデンスという言葉を使い続けているのは、そのためです。
最後にもうひとつ。エビデンスという言葉は、使いようによっては相手を黙らせる道具にもなります。数字を並べられると、反論しにくくなるからです。それは本来の使い方ではありません。
条件を書き、出どころを書き、限界を書く。読んだ人が「それはこの場合には当てはまらないのでは」と言える状態にしておくこと。これができていなければ、数字を出す意味はないと思っています。
Product
mofuwa 瞬間消臭スプレー
500ml / 2,420円(税込)
香りでマスキングせず、においの元に働きかける無香料タイプ。舐めても安心な処方なので、床や家具にも場所を選ばず使えます。
商品ページを見るよくある質問
- ペット用のケア用品にエビデンスの提出義務はありますか?
- ありません。犬猫用のスプレーやシャンプーの多くは雑貨に分類され、発売前に効き目や安全性を審査する仕組みがないためです。試験を受けるかどうかは各社の判断に委ねられています。
- 試験結果があれば、その製品は効くということですか?
- いいえ。試験で分かるのは「その条件でそうなった」ということだけです。試験管の中の結果と、犬や猫の体の上で起きることは別に扱う必要があります。
- なぜ他社製品との比較を出さないのですか?
- 同じ条件で測った数字が公表されていないため、公平な比較ができないからです。根拠のない優良誤認は景品表示法に触れますし、そもそも読む人の判断材料になりません。
本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
