C01ブランド/開発ストーリー

水しか入っていない。それが売れない理由だった

公開日 2025年3月16日|文=mofuwa編集部

淡い色の床に伏せている犬と、そばに置かれた透明なボトル
中身が水だけだと、棚に並べたときに見分けがつきません。写真:MARTA NIETO/Pexels

電解水100%という中身は、売り出した当初まったく売れませんでした。成分表に書いてあるのは水だけです。手に取った人からすると、水道水と何が違うのかが分かりません。理解されないまま棚に並んでいた時期が、mofuwaにはありました。この記事では、なぜ伝わらなかったのかと、それでも広がっていった経路を書きます。

電解水100%という表示が、棚の上でどう見えたか

売り出した当初、この商品は売れませんでした。理由はひとつに絞れます。電解水100%という中身が理解されなかったからです。ペット用のケア用品として棚に並べたとき、隣の商品には成分名がずらりと並んでいます。こちらの成分表に書いてあるのは水だけでした。

買う側の見方に立つと、これはかなり不利な条件です。何が入っているかで価値を測る売り場で、何も入っていないと申告しているようなものだからです。成分の数が少ないことを、手抜きと読まれてもおかしくない。実際に、水と何が違うのかという問いは、開発の段階から繰り返し受けてきたものでした。

Note水だけと書いてあるのは、引き算をした結果です

成分表が短いのは、入れるものを用意できなかったからではありません。水の側に働きを持たせる設計にしたので、足すものが要らなくなったという順番です。ただ、その順番は成分表を見ただけでは読み取れません。理解されない原因は、中身よりも表示の形のほうにありました。

この時期に分かったのは、電解水100%という言葉が、売り場では説明として機能しないということでした。電解という語は聞き慣れず、100%は数字としては強いのに、何が100%なのかが伝わらない。読んだ人の頭に残るのは「水」だけになります。

見た目で差が出ないものは、理解されないままになる

電解水100%の中身には、色もにおいも粘りもありません。吹きかけても泡は立たず、拭き取ったあとに膜が残る感じもない。使った瞬間に「何かが起きた」と分かる手がかりが、ひとつもないということです。これが、理解されない側に働きます。

逆の作り方をすれば、伝わりやすくなります。香りを足せば、使った直後に変化が分かります。泡を立たせれば、汚れを落としている実感が出ます。とろみをつければ、何かが肌に残っている感触になる。どれも入れませんでした。ペットは自分のにおいが好きで、余分なにおいはそれ自体が負担になるという判断があったからです。

水の浸透力の対比 精製水と電解水で、浸透力を比べた自社試験の値を横棒で並べた図 見た目では差が出ないが、数字の側では差が出る 精製水 1倍 ワンテンスの電解水 35倍 出典:ワンテンス自社試験(精製水との比較)
手ざわりでは差が出ないものでも、測ると差は出ています。

測れば差は出ます。浸透のしかたは精製水と比べて35倍という自社試験の値があり、電解の効率も、飲料用のアルカリイオン水で一般的とされる約20%に対してほぼ100%です。ただ、この数字は棚の上では見えません。買う人が手に取って確かめられるのは、ボトルの見た目と成分表だけでした。

電解水100%が理解されない理由を、当時は伝え方の下手さだと考えていました。いまは少し違う見方をしています。差が見えないことは、この中身の性質そのものです。余分なものを入れないと決めた以上、見た目の手がかりは減ります。減った分を、別のところで補うしかありません。

そろっていた数字を、そのまま並べられなかった

厄介だったのは、数字が無かったわけではないことです。事業を始めた直後にぶつかった壁は、エビデンスを公開できないという規制の側の壁でした。父が15年かけて積み上げた検証が手元にあるのに、それを効き目として並べることができない。理解されない状態を、自分たちの手で解くための材料が使えませんでした。

手元にあった確かめ方は、次のようなものです。いずれも、試験条件と検査機関を添えたうえで事実として置くところまでなら書けます。効き目の保証として読ませることはできません。

この4つを並べても、電解水100%が何なのかは、まだ半分しか伝わりません。どれも「何をしていないか」を示す材料だからです。不純物が混ざらない、生菌が検出されない、余分なものを足していない。読む人が求めているのは、たいてい逆の情報のほうです。

Caution試験の結果は、効き目の言い換えにはなりません

上に並べた数字は、決まった試験条件のもとで測った値です。ペット用のケア用品は雑貨にあたり、効き目を審査する仕組みがありません。数字があることと、その子の肌がどうなるかは、別の話として読んでください。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。

理解されないまま、紹介だけで広がった

結果として広がった経路は、説明の外側にありました。獣医師と、実際に使ったお客様からの紹介です。電解水100%という言葉を理解してもらってから売れたのではなく、使った人が別の人に渡すという形で増えていきました。棚の上で負けていたものが、人の手から手へ渡るところでは通ったということです。

紹介という経路には、成分表を読ませない性質があります。渡す側がすでに使っていて、渡される側はその人の話を聞く。この順番だと、理解されないことが障害にならない。差が見えない中身にとっては、これがいちばん相性のいい伝わり方でした。売り場で数秒で判断される条件とは、ちょうど逆になります。

同じ中身が、経路によってどう扱われるか
経路電解水100%という中身の見え方
売り場で並べる成分表が短く、隣の商品と比べて薄く見える
数字を並べる規制の側の線があり、効き目として書けない
使った人が渡す先に使った人の経験が添うので、説明が要らない

この経験のあとも、中身は変えていません。いまのグルーミングスプレーも、電解水100%のままです。吹きかけて、拭くか梳かすだけで終わる商品で、成分表には水しか並びません。舐めることを先に置いて設計しているので、量を控えずに使えます。理解されにくいほうの設計を、そのまま続けているということです。

水しか入っていないことは、売るうえでは弱点でした。それでも直さなかったのは、足せば伝わりやすくなるものが、どれも入れたくないものだったからです。グルーミングスプレーの成分表がいまも短いのは、あの時期の判断をまだ引き継いでいる印だと考えています。

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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。