C01ブランド/開発ストーリー
使った人の紹介で、少しずつ広がっていった
2019年に販売を始めたあと、mofuwa の評判として戻ってきたのは、毎日の使い方の話でした。紹介で人から人へ渡っていたのは、吹いた量を気にしなくて済むこと、梳かす前に一度かけておけること、湯船を休む日でも手当てが途切れないこと。電解水のつくり方や特許の番号は、そこに一度も出てきません。この記事では、mofuwa の評判の中身をこちらで選べなかった経緯と、その紹介が商品の語り方に残したものを書きます。
評判の中身を、こちらでは選べなかった|mofuwa の紹介が動いた理由
株式会社ワンテンスを立ち上げたのは2019年です。父の代から続いていた電解水を、犬と猫のための製品に向けた年でした。ところが売り場に置いてみると、動きません。ボトルの中身は透明で、成分に並ぶのは水だけ。電解水100%という中身は、それが何なのかというところで止まってしまいました。売れなかった時期の理由は、値段でも置き場所でもなく、そこにありました。
数が動きはじめたきっかけは、こちらが足した説明の側にはありませんでした。動いたのは、助言をもらっていた医師のなかにいた獣医師のまわりと、実際に自分の家で使った飼い主からの紹介です。そこで mofuwa の評判が立ちはじめます。何が評判になるかを、こちらは一度も選べませんでした。
犬や猫の体に何が起きたか、という話はここに出てきません。ペット用のケア用品は雑貨の側に置かれていて、効きめを国が審査する仕組みがありません。追いかけているのは、mofuwa について人がどんな言葉を使い、その言葉が次の人にどう渡ったか、というところまでです。
紹介のなかで繰り返し出てきた言葉は、そろって毎日の側のものでした。夜に吹いておくと朝の毛が落ち着いている。散歩から帰ったあとの手数が1つ減った。吹いた量を数えないで済む。どれも、こちらが説明用に用意した文章のなかには入っていない言い方です。評判は、渡した人の生活の言葉でできていました。
こちらが用意していた言葉のほうは、ほとんど使われませんでした。3室ダブルイン型という電解槽の構造、特許の番号、20を超える大学や研究機関との研究。紹介の場でそれが出てくることは、ほぼありません。渡す人は、自分が毎日やっていることしか話さないからです。
つくり方を評価した人が一人もいなかった|mofuwa の紹介についての考え方
評判の中身を選べないことは、会社をつくるよりずっと前に一度分かっていました。片山貴嗣(COO)が大学生だったころの話です。慢性的な敏感肌に悩んでいて、父が医療のために開発した電解水を自分の肌に塗ってみた。変化を感じたので家業を継ごうと決めた。mofuwa より20年以上前に、この水の最初の使用者は身内でした。
同じころ、友人何十人に試してもらっています。肌荒れが落ち着いたという声はありました。それでも覚えている返事は、「水道水と何が違うの? 買いたいんだけど100円くらいかな?」のほうです。水のつくり方そのものを評価した人は、一人もいませんでした。配った数が何十本あっても、そこから次の人へ渡っていく紹介は生まれていません。
この一件があったので、2019年に紹介で評判が立ちはじめたときも、驚きはありませんでした。学生時代の配布と2019年以降の紹介では、何が違ったのか。並べると3つに分かれます。
- 渡す相手が変わった:友人に配ったときは、技術の話が通じる前提で渡していました。紹介で渡っていたのは、毎日その子の世話をしている飼い主どうしです
- 渡すものが変わった:ボトルを渡すのではなく、使い方のほうが先に渡っていきました。何をどの順でやるか、という話から入ります
- 返ってくる言葉が変わった:値段の見当を聞かれる代わりに、その子が嫌がらなかったという観察が戻ってくるようになりました
紹介という形は、渡す側に手間をかけます。自分で使い、続けられて、そのうえで人に話す。3つそろわないと1件も生まれません。かわりに、生まれた1件には渡した人が確かめた日数がまるごと入っています。だから mofuwa の評判は、増える速さは遅いのに、崩れにくいものになりました。
説明に使える言葉が増えていかない|mofuwa の紹介で分かった経験
事業を始めてすぐ、もうひとつの壁に当たります。父が積んできた検証の中身を、こちらの説明としてそのまま出せないことです。ペット用のケア用品は雑貨の側にあり、体への効きめを語れません。持っている材料が多いほうが説明しやすい、という話にはなりませんでした。
そこで、こちらから出せるものだけを整理し直しました。残ったのは、試験の条件と検査機関の名前、それに構造の事実です。3室ダブルイン型の電解槽は、槽を3つの部屋に分けて、電解のために入れた物質が取り出す水の側へ混ざらないようにした構造です。カソード側に還元水、アノード側に酸化水がたまります。水を2方向から入れる仕組みで、電解の効率を落とさずに済みます。
整理してみると、出せる言葉は評判のなかで一度も使われていないものばかりでした。試験の条件は、渡された人があとから自分で読むためのものです。渡す瞬間に必要なのは、その人が毎日やっていることの言い方だけでした。ここを分けてからは、材料を増やす作業と、紹介を受けやすくする作業を、別の仕事として扱うようになりました。
父と交わした約束のほうも、同じ考え方でできています。検証がそろうまで事業にしない、期間は少なくとも10年。この10年で増えたのは、説明に使える言葉ではなく、あとから確かめられる材料でした。評判は短くできますが、材料は長くしか積めません。
評判に合わせて、話す順番を入れ替えた|mofuwa の紹介が残した変化
紹介で回っていた言葉を並べてみると、こちらが用意していた順番と逆でした。こちらは水のつくり方から始めて、最後に毎日の話をしていました。評判の側は毎日から始まって、中身の話は最後まで出てきません。順番を入れ替えたのは、このずれを見たあとです。
| こちらが最初に置いていた順番 | 紹介で回っていた順番 |
|---|---|
| 1 電解水のつくり方と構造 | 1 毎日やれるかどうか |
| 2 だから安心して使えること | 2 吹いた量を気にしないで済むこと |
| 3 毎日使えること | 3 梳かす前に一度かけておけること |
| 4 続けた先で起きること | 4 中身の話は、あとから自分で読む |
毎日から入るという順番は、mofuwa グルーミングスプレーの説明にそのまま出ています。犬も猫も体から脂が上がってきます。昨日ふいた場所は、今日にはもう戻っています。散歩に行けば土やほこりも乗ります。それでもシャンプーを毎日やるのは手間がかかりますし、サロンへ毎日通うこともできません。足りていないのは気持ちの側ではなく、毎日やれる手段の側でした。
吹いて梳かすだけなので、手数が増えません。中身は電解水だけで、口に入る前提のまま確かめてあるので、かけた量を数えずに済みます。ブラッシングの前に全身へ吹いておけば、毛が跳ねにくい状態から梳かしはじめられます。湯につかること自体が負担になる子には、湯船を休むという選び方が残ります。紹介で語られていたのは、この4つの言い方でした。
評判を大きくする手は、こちらにはありません。できるのは、渡す人が説明しなくて済むようにしておくことです。グルーミングスプレーの言い方を短くしたのも、渡された人が「毎日これを吹くだけ」と受け取れるようにするためでした。特許の番号や試験の条件は、そのあとで自分で読めるところに置いてあります。
つくり方も中身も、販売を始めたときから変えていません。入れ替えたのは、話す順番のほうだけです。評判は数字として残っていませんが、毎日から入るという語り方になって、いまも続いています。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
